ハイ・ライズの紹介:2016年イギリス映画。トム・ヒドルストン(「アベンジャーズ」)ほか、英国が誇る豪華俳優陣が大集結! 巨匠J・G・バラードの名作SF小説を完全映画化。真新しいタワーマンションへ入居した、医師のロバート。しかし整然と管理されているように見えたタワーの均衡は崩れ、次第に狂っていく。
監督:ベン・ウィートリー 出演者:トム・ヒドルストン(ロバート・ラング)、ジェレミー・アイアンズ(アンソニー・ロイヤル)、シエナ・ミラー(シャーロット・メルヴィル)、ルーク・エヴァンス(リチャード・ワイルダー)ほか
映画「ハイ・ライズ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ハイ・ライズ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ハイ・ライズの予告編 動画
映画「ハイ・ライズ」解説
この解説記事には映画「ハイ・ライズ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ハイライズのネタバレあらすじ:起・未来のタワーマンション
ベランダでレコードを聞きながら、ロバートはここでの生活を反芻する。三か月前、建設された新しいタワーマンションに引っ越してきたロバート、ベランダで寝ていると、上の階のシャーロットにパーティーへ誘われる。マンションにはスーパー、ジムなどなどそこで生活するためのすべてが完備されて整然とされていた。その一方で、壁に小さなボタンのような物、ダスターシュートは大きなごみ袋禁止など、不可解なこともいくつか。しかし誰も疑問を抱くことはない。医者のロバートが実験で頭部の解剖をしていると見学者のマンローが失神、すぐに検査へ回された。シャーロットのパーティーで、ロバートは入居の理由を尋ねられ未来への投資と答えた。彼女は、下の階は家族持ちが多いとこのタワーの事情を語る。その彼女の息子は部屋で配電盤を自作し何かを作っていた。翌日、ロバートは職場を休んだ。
ハイライズのネタバレあらすじ:承・タワーの中の階層社会
ジムに行くと、ジムに行くとロイヤル様がお待ちですと、40階、最上階のペントハウスへ呼ばれた。そこはこのタワーの設計者の家だった。妻のために庭が設えられ馬や動物もいた。シャーロットと関係を持ったロバートは、にこのタワーには階層社会がある教えられる。つまり高い階へ住むほど、上流階級。そして、唐突に死んだ姉のことを聞かれ、筒抜けだと言う彼女に、彼は壁のボタンのような何かににペンキを塗った。15階のスーパーで、女優のジェーンに声を掛けられたが、彼は彼女を知らず、レジ打ちの少女が今は孤独な女性を演じているのだと教えてくれた。ロイヤル氏に招かれた40階のパーティーではみな宮廷衣装のような服をまとい、スーツのロバートは追い出されてしまった。しかしプライベートエレベーターで降りる途中、電気が落ちてエレベーターが止まってしまう。
ハイライズのネタバレあらすじ:転・階層社会が生み出した争い
ロイヤル氏とジムでスカッシュをしていると昨夜の話になり、10階までは停電だったと言った。低層階では哺乳瓶の煮沸もできず、停電の中、暗闇で娘が襲われた家もあり、住民は抗議を始めた。職場では、失神したマンローの検査結果に問題はないと告げられるが、ロバートは脳のスキャンを見て、マンローに子細を伏せたままショックなものが見つかったと告げた。タワー内のプールでは子供が追い出され、上階の大人たちがパーティーを始めた。抗議の先頭に立つドキュメンタリー監督のワイルダーは子供たちと、プールへ向かい、ロバートとシャーロットの息子のトビー、ワイルダーの妻だけが残された。エレベーターが止まったままなので、階段でトビーを送り、プールへ寄ると、女優の犬が溺死していた。ワイルダーは、この不均衡を暴こうとロバートにロイヤル氏を紹介するように迫ったが、ロバートは粗野な彼を避けたかった。
ハイライズの結末:狂ったその先に
マンロー39階から飛び降りたが、タワーは警察を入れず、住人も誰も出て行かない。上階の住人は低層階の人に本当のパーティーを見せようとする中、スーパーは暴動状態。ロバートはペンキを買い、重傷のワイルダーは駐車場に安置された。ロイヤル氏の仲介役をしているシモンズは半狂いの奥さんを助けたければタワーを降りろと進言した。その最上階には人が入り込んで乱交状態だった。名前を隠し降りたロイヤル氏は階下の惨状を知った。ワイルダーの妻と関係を持つロバート、そして彼女は最上階へ連れて行かれた。ワイルダーは、ロイヤルを知りたいなら、シャーロットと話せと言われ、彼は彼女の部屋で乱暴を働いた。最上階の話し合いで、強姦魔のワイルダーを、タワーのためにロバートを使って、ロボトミーにしようというと発案される。さらにリフォームと称して、下層階を衝突、中層を分断、植民地化しようと話す。しかし、ロバートが施術を断ると、40階のベランダから落とされそうになった。それを止めたのはロイヤル氏だった。臨月を迎えたワイルダーの妻が出産する中、ロイヤルとワイルダーは二人で食事をしていた。彼はタワーを変化のるつぼにし、未来の発展のへの実例になるかもしれないと語った。しかし、そこへ乗り込んで来たワイルダーによって、ロイヤル氏は撃たれてしまう。そしてそのワイルダーは集まっていた女性たちによって、幾度となく刺された、息絶えた。騒ぎの後静かなタワーで、残りの肉の犬を焼きながら次のタワーの失敗を待つロバート。トビーは駐車場でラジオを聞く。
以上、映画ハイライズのあらすじと結末でした。
ハイライズのレビュー・考察:最上の備品、ロバート
作中で、ロバートは「タワーの最上の備品」と称される場面がある。彼が住むのは25階の中層。最上階のロイヤル氏に招かれるような階層に住んでいるわけでもないのに呼び出されたのは、彼があくまでも「備品」だったからと考えると納得がいく。完璧主義でいつもスーツを着ているロバートからは、複数の女性と関係を持っている時でさえいっそ人間らしさを感じない。タワーが均衡が崩れ、彼を「備品」と呼んだ人々がいなくなったあと、ベランダで髭を整えないまま肉を焼く姿は、狂気をはらみながらも「備品」から「人間」になったように見える。
高級タワーに住む人々の階級社会に縛られた様子をユーモラスに、時にグロテスクに描いた珍しい作品だと思います。劇中の彼らにとってはこのタワーに住む事自体が1つのステイタスであり、更にタワー内のヒエラルキーに悩みます。傍から見れば、そんな建物さっさと出てしまえばいいのになぁと思います。しかし同時にもしも自分が当の本人になると、やはりこの様な過ちを犯してしまうのかも?という危機感を感じてしまう作品でもあります。