獄に咲く花の紹介:2009年日本映画。直木賞作家古川薫の時代小説「野山獄相聞抄」を映画化した作品です。激動の幕末期、吉田松陰と彼を慕い続けた未亡人の久の間に芽生えた淡く儚い恋をドラマティックに描いた時代劇です。
監督:石原興 出演者:前田倫良(吉田寅次郎(吉田松陰))、近衛はな(高須久)、目黒祐樹(福川犀之介)、池内万作(富永弥兵衛)、勝村正信(弘中勝之進)、ほか
映画「獄(ひとや)に咲く花」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「獄(ひとや)に咲く花」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
獄(ひとや)に咲く花の予告編 動画
映画「獄(ひとや)に咲く花」解説
この解説記事には映画「獄(ひとや)に咲く花」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
獄(ひとや)に咲く花のネタバレあらすじ:起
1854年の長州藩、萩。長州藩士の吉田寅次郎が武家専用の牢獄である野山獄に投獄されます。この牢獄には鍵がなく、囚人達にはある程度の自由は 認められています。しかし刑期ない罪で収容されている彼らは、一度ここへ入ると二度と外には出られないと言われていました。律儀な性格の寅次郎は、投獄されるなり囚人達に挨拶してまわります。その中で唯一の女囚である高須久は草花を世話することが好きな心根の優しい女性です。寅次郎は久にもすすんで話しかけますが、久はなかなか心を開くことができないのでした。向かいの岩倉獄には寅次郎の仲間である金子重之輔が投獄されていますが、彼は病を患っています。久は自分のことよりも仲間の身を案じる寅次郎のまっすぐな優しさに一目を置くようになるのでした。
獄(ひとや)に咲く花のネタバレあらすじ:承
寅次郎が下田でアメリカへの密航を企てて捕まったことが獄舎に知れわたると、囚人達は興味津々で寅次郎に近づいてきます。そしてどんな人間にも等しく価値があり、皆光る原石を持っていると説く寅次郎の思想に囚人たちが少しずつ感化されていくのでした。 差し入れ屋の娘お鶴も寅次郎を学者先生と慕って遊びに来るようになります。姦通罪という濡れ衣を着せられ、人生に悲観的だった久も寅次郎の屈託のない明るさに触れるうちに、前向きに生きていこうと思うようになります。しかし寅次郎の急進的な思想が幕府に知れることを危惧する看守の福川だけは、言動には気を付けるよう釘を指すのでした。そんな中重之輔が獄中で死を遂げ、寅次郎は世の中を変えたいという思いを一層強く持つようになります。寅次郎の働きかけにより書や歌の会が開かれたりと野山獄も活気に満ち溢れていきます。
獄(ひとや)に咲く花のネタバレあらすじ:転
安政2年の冬、寅次郎は出獄を許されます。久は一抹の寂しさを感じながらも、寅次郎と出会えたことを心から感謝し、彼の成功を祈ります。そして寅次郎は囚人達が出獄できるよう藩に働きかけることを約束し、野山獄を後にするのでした。その後松下村塾を開塾した寅次郎は弟子達の教育に尽力します。季節がめぐり、寅次郎の働きかけにより、囚人達は次々と出獄していきます。久は叶わぬ願いとは思いつつ、寅次郎がいつか自分を迎えに来てくれるのではないかと期待してしまうのでした。やがて寅次郎は老中を討ち、幕府を倒すことを考え始めます。しかし藩からは危険な思想の持ち主と警戒されはじめ、度々命を狙われるようになるのでした。
獄(ひとや)に咲く花の結末
寅次郎は野山獄に再び投獄されてしまいます。世の中を変えられないことに苛立つ寅次郎は、藩への反抗心から絶食を始めます。現実に打ちひしがれ、投げやりになる寅次郎をなんとか奮起させたい久は、辛いのはあなただけではないと母のように厳しく叱りつけるのでした。二度と会えないと思っていた寅次郎と再び一緒にいられることに束の間の幸せを感じる久でしたが、やがて寅次郎が江戸へ檻送されることが決まります。久は己の志を貫くため江戸へ旅立つことを決めた寅次郎に恋心を打ち明けることさえ叶わないのでした。野山獄での最後の夜を寅次郎は久と一緒に過ごします。あくる朝江戸へと旅立っていく寅次郎に久は句と手ぬぐいを送ります。そして断腸の思いで彼を見送るのでした。江戸の小伝馬町牢屋敷に投獄された寅次郎は安政6年の10月に処刑されます。行年30歳でした。寅次郎亡き後も久は彼を一途に思い続けるのでした。
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