炎の舞の紹介:1978年日本映画。学校を終え、故郷に戻った拓冶は森の反対側に住むきよのという娘と仲良くなり結婚しました。しかし新婚生活は長く続かず、拓冶に召集令状が届きました・・・という内容の相思相愛で結婚した若い男女が、時の太平洋戦争の徴兵によって引き裂かれる哀しい運命を描いた、加茂菖子の小説『執炎』の映画化です。山口百恵、三浦友和コンビの9作目の作品で邦画配給収入ランキングの第8位の1本です。
監督:河崎義祐 出演:山口百恵(久坂きよの)、三浦友和(吉井拓治)、細川俊夫(久坂宗道)、木暮実千代(久坂玉乃)、能瀬慶子(久坂あやの)、有島一郎(小島)ほか
映画「炎の舞」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「炎の舞」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「炎の舞」解説
この解説記事には映画「炎の舞」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
炎の舞のネタバレあらすじ:起
昭和14年、2年間の学校を終え拓治は日本海に面した故郷へ帰って来ました。網元である吉井家では宴会が行われ、村人も多く集まり祝いの宴を振る舞いました。宴会場を出た拓冶は弟の秀治に、「自分で作った船で南の海に出るんだ」と夢を語りました。
翌日、拓冶は船を作るための大木を探して森に入り、めぼしい木にマークを付けていました。やがて森の向こう側に着くと、ふもとに集落があるのが見えました。気になった拓冶は村に降りて行って大きな家で住人を呼びました。返事が無いので中に入ると、一人の娘がいました。「お待ちしていました。奥へどうぞ、皆が待っています」と言われ、断るものの家に上がりこみました。
部屋にはアゲハ蝶の家紋があり、拓冶は平家の落人の村だとわかりました。娘は久坂きよのと言う名で「昔から七夕の夜、源氏に復讐を誓うため祭りごとをしている」と言って、奥の部屋で、村人が能面をつけ踊る様子を見せました。
お茶を飲んでいるときよのの母が入って来ました。きよのは「このお方が道に迷ってここにいらっしゃったので、私が送って帰ります」と言って、拓冶を連れだしました。森の中を二人は、はしゃぎながら帰りました。きよのの笑い顔を見て、拓冶は子供時代に浜辺で会った女の子だと思い出し、きよのも拓冶の事を覚えていました。
炎の舞のネタバレあらすじ:承
この日以来、二人は頻繁に会うようになり、森や海でデートをかさねました。昭和15年、二人は周囲の反対もありながらも結婚しました。拓冶のいとこの泰子が夫の則義を連れてやって来ました。陸軍大尉の則義は拓冶と酒を酌み交わし、きよのは医者の泰子と親しくなりました。
拓冶は漁の合間に、大木を切り倒し夢である船つくりを始めました。楽しい日々が続いていた最中、拓冶が秀治と漁をしている時、時化に会い海に放り出され行方不明になりました。村人たちが必死で探す中、拓冶は翌日無事見つかりました。
心配していたきよのは拓冶に抱き着き無事を喜びました。そんな二人の前に小島がやって来て、拓冶に赤紙を渡しました。召集令状が拓冶に回ってきたことで、吉井家では出兵を祝う宴会が行われました。「必ず帰ってくる」と言う拓冶でしたが、きよのの心境は穏やかではありませんでした。
やがて卓司が出兵すると、日に日にやつれるきよのを見た拓冶の母は「しばらく実家に帰って、体をよくしてから拓冶をお迎えしなさい」と言いました。「ここで待ちます」というきよのでしたが、小島が村人に戦死通知書を持って来ました。
若い者が全て出兵した村に、小島が持ってくるのは戦死の知らせでした。小島の顔を見ると怖がるきよのに、小島が近づきました。「死んだのですか?」と聞くきよのに「怪我をして入院した」と小島が通知書を渡しました。
炎の舞のネタバレあらすじ:転
きよのは収容されている軍事病院に向いました。「足を弾が貫通し悪化している。生きるためには足を切るしかない」という医師に、きよのは「絶対切らせない」と言い、毎日付き添いました。やがて回復した拓冶は退院し、きよのの希望で二人きりで山小屋で暮らすことになりました。
毎日少しずつ歩く練習をしていると泰子が様子を見にやって来ました。泰子は悪化する拓冶の足を見て「歩く練習をさせているのね、。ダメよ、山を下りよう」ときよのに言いました。きよのは「歩けるようにして見せる」と言って泰子を追い帰しました。しかし心身ともに弱っている拓冶は「山を下りよう」ときよのに弱音を吐きました。きよのは拓冶を叱りつけ、怒って納屋に潜り込みました。
きよのの気持ちが伝わった拓冶は、自分で歩く練習をし、少しずつ歩けるまで回復しました。そんな時、村から老人たちがやってきました。「若者は全て戦場へ持っていかれ、船も持っていかれた。頼れるのは網元の拓冶しかいない、山を下りてくれ」と頼みました。拓冶は「下りるがすぐじゃない」と言いました。
すると老人たちは「悪いのはきよのだ、あの嫁が拓冶を引きとめているんだ」と悪口を言い始めました。怒った拓冶は「帰ってくれ!」と怒鳴り、老人たちを帰しました。きよのは「帰ってもいいんです」と拓冶に言いますが、「3日間だけ帰ってくる。待っていてくれ」と言って山を下りました。
炎の舞の結末
一人で待つきよのの元へ泰子がやって来ました。「夫が戦死した、涙も出ない」と言いました。それを聞いたきよのが泣きはじめると、泰子も一緒に泣きました。拓冶が村の用事を済ませ実家に帰っていると小島がやって来ました。再び赤紙が渡されました。拓冶はこのことを母に告げました。母は「出兵まで3日しかないなら、きよのさんと過ごしてあげなさい。私はあなたと20年以上過ごしたから」と言って涙をこらえて送り出しました。
拓冶は馬車で山に戻りました。思いっきり明るく振る舞いきよのに接しました。嬉しくてたまらないきよのでしたが、1日早く、しかも馬車で帰ってきた来たことを不審に思い、拓冶の荷物を調べました。そして赤紙を見つけると能面を付け、平家の舞を踊りました。拓冶はそれを黙って見ていました。
出兵の日は雨でした。拓冶を見送ったきよのは、実家に戻らず吉井家にいましたが、日を追うごとにおかしな行動をとりはじめました。夜ごと森を駆け巡り、通りかかった小島を追いかけまわしました。やがて倒れたきよのは吉井家で寝込みました。体は回復しても心は戻らず狂ってしまいました。
しばらくして小島が拓冶の戦死通知書を持って来ましたが、意味のわからないきよのの代わりに妹のあやのが受け取り、きよのに抱き着いて泣きました。2か月後の昭和20年、終戦を迎え、きよのは「きよの~」と呼ぶ拓冶の声が聞こえ始めました。
吉井家で拓冶の遺影を見つけたきよのは両手を合わし、拓冶の死を受け入れました。そして馬車で山小屋に行きました。廃屋となった山小屋で能面を見つけたきよのは、海に向かい、断崖から身を投げました。
以上、映画「炎の舞」のあらすじと結末でした。
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