ノルマンディー 将軍アイゼンハワーの決断の紹介:2004年アメリカ映画。第二次世界大戦の最中、ヨーロッパ北西部の戦線を勝利へ導いた最高司令官、ドワイト・デビッド・アイゼンハワー。のちに「史上最大」と呼ばれるノルマンディー上陸作戦は、彼の発案です。しかし「ネプチューン作戦」と名づけた計画は、あらかじめ成功を約束されていたわけではありませんでした。映画では、作戦実施へと緊張が高まるなか、決断に次ぐ決断を重ねて、ヨーロッパの歴史を動かしていった人物の姿を時系列で追います。
監督: ロバート・ハーモン 出演者:トム・セレック(アイゼンハワー)、ジェームズ・レマー(オマール・ブラッドレー)、ティモシー・ボトムズ(ウォルター・ベデル・スミス)、ジェラルド・マクレイニー(パットン)、イアン・ミューン(チャーチル)ほか
映画「ノルマンディー 将軍アイゼンハワーの決断」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ノルマンディー 将軍アイゼンハワーの決断」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「ノルマンディー 将軍アイゼンハワーの決断」解説
この解説記事には映画「ノルマンディー 将軍アイゼンハワーの決断」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ノルマンディー 将軍アイゼンハワーの決断のネタバレあらすじ:起
英国首相チャーチルの執務室を訪ねているアイゼンハワー。米国の陸軍大将にしてヨーロッパ戦線を束ねる連合国軍の最高司令官です。国の隔てなく結ばれた盟友ふたりの思いは、ドイツ軍を叩きつぶすことで一致しています。しかし、アイゼンハワーにはチャーチルへ要求があります。チャーチルその人でなくては聞き入れてはもらえない相談です。
ドイツ領内への侵攻作戦は、計画から実施策定へと動きはじめています。それは、かつてない規模の作戦です。アイゼンハワーは訴えます。「肩書だけではだめです」と。陸・海・空すべての軍を動かす指揮権がほしいと。とくに誇り高き英国兵士を自分の配下に置くことの難しさを彼は訴えます。
軍人出身のチャーチルは、過去に戦場指揮官として苦杯をなめた経験を幾度も持つ人です。戦場ではふたりの指揮官が並び立てないことをよく知っています。しかし英国マスコミは、自国のモントゴメリー将軍の采配に期待を寄せています。そしてチャーチルは、その英国民の期待からモントゴメリーを逸らすことをアイゼンハワーから求められています。
ノルマンディー 将軍アイゼンハワーの決断のネタバレあらすじ:承
Dデーと名付けた上陸の日まで、あと82日と迫った日。連合国軍の総司令部へモントゴメリー将軍が訪ねてきます。前線の指揮官として数多くの戦績をもつモントゴメリーは、アイゼンハワーの立案計画に疑問を呈します。「広正面戦略」を主張するアイゼンハワーに対して「狭正面(を突破する)作戦」を主張してモントゴメリーは譲りません。
大規模な作戦を具体化するにあたりアイゼンハワーは地保を固める必要に迫られています。元上官であり、勇敢な兵士でもあるパットン将軍から、まずはその地位をはく奪しなくてはなりません。パットンには前線での行き過ぎた行動が目立っていました。慎重を期す作戦に不向きな人物です。
また、ドイツとの戦いは民族主義打倒の闘いです。にもかかわらずパットンは、ゲルマンVSアングロ・サクソンの構図を描いて本国の顰蹙を買っています。しかしアイゼンハワーは、パットンを罷免しません。パットンに武士の情けをかけますが、上陸作戦には参加させず、武勇の誉れ高い男に幽霊部隊を指揮させ、囮役として敵の目を欺く戦法です。
Dデーまで39日になりました。アイゼンハワーの決断が功を奏しているようです。パットンの幽霊部隊の動きが敵に察知されています。ニセの通信を傍受したドイツ軍が懸命な解読を試みています。しかし連合国軍の参謀本部は疑心暗鬼の中にいます。敵の力に妄想を抱き、「もしもバレたら」と恐怖心を募らせています。作戦決行の日が定まらず空転します。
ノルマンディー 将軍アイゼンハワーの決断のネタバレあらすじ:転
「決行は6月に決まったらしいな」と探りを入れてくるのがチャーチルです。アイゼンハワーは、後追いで「承認」を求めますが、さらに英国南部全域の海上封鎖を願い出ます。海上交通は英国経済の要だと知りつつも、ドイツ人スパイの往来を断つためです。チャーチルは激怒しますが、「あなたに信任された者の責任において願い出ているのです」とアイゼンハワーは譲りません。
ブラッドレー中将は、アイゼンハワーの側近中の側近です。陸軍士官学校を同期で卒業したふたりは、それぞれの経歴を積んだのち、英国のこの地で再会しました。人間として熟達したブラッドリーは、参謀本部内の人間関係にも知悉し、アイゼンハワーの部下としての立場にも誇りを持っています。
ヘンリー・ミラー少将も、アイゼンハワーと同期の友人です。しかしミラーは酔ってDデーを洩らしてしまいました。憲兵に捕らえられたミラーが「アイク」とニックネームで呼んで許しを請います。しかしアイクはヘンリーに本国送還を指示します。地位のはく奪に不満を漏らすヘンリーをアイクは許しません。「じきに死に行く兵士を預かる者の責任だ」とアイクの顔に厳しさが加わります。
ノルマンディー 将軍アイゼンハワーの決断の結末
英国王がエリザベス王妃を伴って英国陸軍の参謀本部を訪問してきます。間近に迫った上陸作戦について、「司令長官から直々の説明を」との仰せでアイゼンハワーも加わっています。その日は、連合国軍最高司令官として、アイゼンハワーの崇高さが際立つ日となりました。英国王にひるむことなく発言するアイゼンハワーに、歴戦の勇士、モントゴメリーも脇に退かざるを得なくなりました。
Dデーまで8日となり、当日の天候が気掛かりです。予報は嵐です。天気予報を反映してか、参謀本部の将校たちも、先の見えない不安でストレスを溜めこんでいます。陸海空の指揮官それぞれに思惑があるのは止むを得ませんが、Dデーが天候によって定まらず、身動きのとれない状況に各師団のイライラが募っています。
Dデー(1944年6月6日)の前日。最高司令部では、連合国軍兵士の3/4が命を失うと試算しています。アイゼンハワーはその日、上陸作戦へ向かう若い米兵たちのもとへ赴きます。屈託のない笑顔を見せる兵士たちの輪に入り、最高司令官もハイタッチ、拳骨タッチで笑顔を振りまきます。「ネプチューン作戦」はその翌日、みごと敢行され、連合国軍を大勝利へと導きます。しかし、やむを得ないこととはいえ、連合国軍兵士の約2割が命を失うことになりました。
以上、映画「ノルマンディー 将軍アイゼンハワーの決断」のあらすじと結末でした。
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