異国の丘の紹介:1949年日本映画。第二次大戦の出征前夜、互いの無事を祈って戦地へ向かった夫が戦後も帰還しません。満州からシベリア、大陸での消息も二転三転します。終戦から4年を経た今、久米子はふたりの子どもを育てながら夫の帰りを待っています。戦後の大ヒット曲『異国の丘』をモチーフに映画化された作品です。
監督:渡辺邦男 出演者:上原謙(岩崎 清)、花井蘭子(岩崎久米子)、浦辺久米子(姑・とく)、坂内永三郎(弟・長二)、田中春男(弟・三男)、島和子(長女・時子)、渡邊茂雄(長男・国雄)ほか
映画「異国の丘」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「異国の丘」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「異国の丘」解説
この解説記事には映画「異国の丘」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
異国の丘のネタバレあらすじ:起
第二次世界大戦の戦禍が国内に及ぶ以前の東京の郊外です。見合い結婚で結ばれた岩崎清と久米子は、瀟洒な家屋が並ぶ住宅街に住んでいます。清は若い頃からバイオリニストになる夢を温めていましたが、日本社会の古くからの因習にしたがって、岩崎家の家督を継ぐことになりました。
妻の久米子は、戦前の家庭で教育を受けた女性らしく、夫に従順で貞淑な人妻です。同居する姑のいく、義弟ふたりとも、これといったわだかまりはなく、嫁入り後もまずまずのスタートを切っています。
異国の丘のネタバレあらすじ:承
新婚生活が3か月を過ぎると、清に苛立ちが見え始めます。家長としての立場を気にするあまり、限られた時間にしかバイオリンを手にできない不満が募っています。サラリーマン生活に生きがいを見いだせない清には、せめてもの楽しみの楽器演奏を奪われることが耐え難いのです。
やがて夫婦は子どもを授かります。清と久米子は、わが子の誕生によって、久方ぶりに喜びを分かち合います。いたいけな子の姿に目を細める清は、夫婦仲をさらに強くできるのではないかと期待します。
久米子は、些細なことで苛立つ夫に手を焼いています。芸術家肌の清は神経質で近所づきあいにも積極的ではありません。そのために久米子が岩崎家の当主代行として振る舞うことも多くなっています。戦争が激化してきています。「いつくるか」と夫婦で身構えていた「召集令状」が清のもとにも届きます。
異国の丘のネタバレあらすじ:転
出征前夜、夫は久米子にふたつのことを託します。ひとつは、他の誰でもない久米子が岩崎家を守ること。そして、ふたりの子どもたち、時子と国雄に音楽の素養を身に付けさせること。清は結婚以来、妻の働きぶりを見てきました。清には叶わない仕事でも、妻の久米子なら、必ずやり遂げることを信じています。
戦争が終わると、次々と男たちが帰ってきます。しかし気がかりなのは、清の消息です。戦地からシベリアへ抑留後は情報が二転三転としています。当局へ足を運んでも、久米子が望む手がかりにはいたりません。親戚の中にも清の戦死を疑わない者が現れてきています。
異国の丘の結末
終戦から4年が経ちました。清の帰還はまだ叶いません。しかし、久米子は信じています。夫が生きていることを。夫が生きて久米子の前に現れることを。それは誰よりも強く、誰よりも固い信念です。その信念とは、深く夫を知る久米子だけに分かる夫からの知らせなのです。
久米子は、夫の情報を求めて病院へ慰問にも通います。そこにはシベリアから傷を負って帰還した元日本兵たちがいます。さらに彼らの心の渇きを、長女・時子のピアノと長男・国雄のバイオリンで癒すことができます。子供たちが身に付けた音楽の素養は、巧まずして帰還兵たちの慰めになっています。
病院からの帰路、まっすぐな道を軍服姿の男が歩いてきます。その面影に久米子は目を瞠ります。身はやつれていても分かります。間違いなく清です。1歩1歩、確かな足取りでこちらへ向かって来ます。
終戦から4年、待ちに待った終戦記念日です。
以上、映画「異国の丘」のあらすじと結末でした。
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