喜びも悲しみも幾歳月(よろこびもかなしみもいくとしつき)の紹介:1957年日本映画。戦前から戦中、戦後にかけて日本各地を転々としながら灯台の安全を守り続けた灯台守とその妻の激動の半生を描く人間ドラマ。「君の名は」の佐田啓二と「二十四の瞳」の高峰秀子の共演作品。若山彰が歌う主題歌「喜びも悲しみも幾歳月」も大ヒットしました。
監督:木下惠介 出演者:佐田啓二(有沢四郎)、高峰秀子(有沢きよ子)、有沢正子(有沢雪野)、中村賀津雄(有沢光太郎)、田村高広(野津)、桂木洋子(藤井たつ子)、夏川静江(名取夫人)、仲谷昇(名取進吾)、ほか
映画「喜びも悲しみも幾歳月」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「喜びも悲しみも幾歳月」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
喜びも悲しみも幾歳月の予告編 動画
映画「喜びも悲しみも幾歳月」解説
この解説記事には映画「喜びも悲しみも幾歳月」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
喜びも悲しみも幾歳月のネタバレあらすじ:起
第一次上海事変が勃発した昭和七年の一月二十九日。神奈川の観音崎灯台。父の葬儀のため帰郷していた灯台守の有沢四郎が新妻きよ子を連れて職場に戻ってきました。こうして二人の新婚生活が始まりますが、灯台次長金牧の妻が精神を病んでいると知り、きよ子はショックを受けます。金牧の妻は転勤の多い夫との暮らしにストレスを抱え、さらに我が子までも亡くすという悲劇を経験していました。きよ子は灯台守の妻という重責に不安を抱き始めます。
ある日、きよ子の同級生藤田たつ子が灯台を訪ねてきました。たつ子には思いを寄せている男性がいますが、その男性はきよ子に一方的な好意を寄せていました。たつ子は男性を振って自分だけさっさと見合い結婚したきよ子を許すことができません。そして、きよ子をなじった挙句に海に身を投げようとして灯台員達に止められます。四郎はたつ子を追い詰めてしまったと心を痛めるきよ子を元気づけます。きよ子はこの先どんなことが起きても四郎と共に乗り越えてみせると心に誓います。
喜びも悲しみも幾歳月のネタバレあらすじ:承
結婚から一年二か月が経った昭和八年。有沢夫妻は北海道の石狩灯台に勤めており、きよ子は臨月を迎えていました。やがてきよ子は四郎に励まされながら出産、無事に長女の雪野が誕生しました。父となった四郎は一層灯台守の仕事に精を出します。
時は流れて昭和十年の正月。きよ子は里帰り先の信州で長男光太郎を出産しました。そして昭和十二年、四郎は日本の最南端、九州の五島列島の先にある女島灯台に転任します。そこは村から50キロも離れた辺境地で、きよ子は遊び相手もおらず孤独を深める子供達が不憫でなりません。そしてつい夫に愚痴をこぼしてしまい、大きな夫婦喧嘩に発展します。結局四郎は灯台に残り、きよ子と子供達は玉之浦の退息所で生活するという別居の形をとることになりました。四郎の後輩である野津は女島台長の娘真砂子に熱を上げていて、きよ子に恋の橋渡しを頼みます。真砂子も野津へ好意を抱いていましたが、苦労続きだった母を見てきた真砂子は灯台員とだけは結婚できないと断ります。傷心の野津を残し、一家は次なる転任先新潟県佐渡島にある弾埼灯台へと向かいます。
昭和十六年には日米が開戦します。ある日、後輩の水出が島の青年達から兵役逃れのために灯台員になったのではないかと喧嘩を売られ、負傷して帰ってきます。憤慨した四郎が相手先へと乗り込みますが、抗議どころか泥酔して帰ってきて、きよ子を呆れさせます。ある晩防波堤に立つ灯台の明かりが消えるというアクシデントが起こりますが、四郎と水出は荒れ狂う海に船をこぎだして命がけで灯りを灯し、灯台を守りました。女島の台長が水の事故により殉職したという知らせが入り、きよ子は台長夫人と真砂子を思い心を痛めます。
喜びも悲しみも幾歳月のネタバレあらすじ:転
昭和20年再び転勤があり、一家は静岡の御前崎灯台にやってきました。この頃になると戦況は悪化の一途を辿っており、御前崎周辺でも連日空襲警報が鳴り続きます。ある日きよ子は参加した竹槍訓練で東京からやってきた名取夫人と出会います。きよ子は慣れない疎開先で二人の息子を抱え疲弊する名取夫人を何かと気遣い、家族ぐるみの交流が始まっていきます。
その後女島灯台で一緒だった野津が新妻の真砂子を連れ、御前崎に赴任してきました。有沢夫妻は二人が苦難を乗り越え結婚に至ったことを心から喜びます。日本各地の灯台は次々と米軍機による爆撃に遭い、金華山、塩屋埼、尾矢崎、犬吠埼、綾里崎灯台などで灯台員が殉職するという悲劇も起こりました。八月に日本は終戦を迎えます。野津夫妻は北海道に転勤することになり、飲食店を再開するという名取一家も東京へ帰ることになりました。
時は流れ昭和二十五年。四郎は志摩半島の安乗埼灯台に勤めています。東京で飲食店を成功させた名取一家から戦時中お世話になったお礼に雪野の世話をさせてもらえないかと手紙が届きます。東京の大学に進みたがっていた雪野は名取の家に下宿することが決まりました。
喜びも悲しみも幾歳月の結末
昭和29年香川の男木島灯台、有沢夫妻のもとに光太郎が不良と喧嘩した末刺されて病院へ担ぎ込まれたという知らせが入ります。光太郎の容体は極めて厳しい状態だといいます。灯台を離れられない四郎は断腸の思いできよ子だけを病院へ向かわせます。病床の光太郎はきよ子に謝り、父の跡を継いで灯台員になりたいと宣言しますが、最期は父さんは偉いなあと呟きながら息を引き取りました。臨終に間に合わなかった四郎は光太郎を守れなかった悔しさをにじませます。
昭和30年、再び台長として御前崎灯台へ戻ることになった有沢夫妻は東京の名取邸へ招かれます。そこで名取夫妻から長男の進吾と雪野の縁談についての相談されます。二人の結婚の意志が固いことを知った四郎は雪野を嫁に出す決心をしました。結婚式が終わり、雪野と進吾がエジプトのカイロに向けて新婚旅行に旅立つ日がやってきました。御前崎灯台に立つ有沢夫妻は雪野達を乗せた客船に向けて霧笛を鳴らし、二人を見送るのでした。
以上、映画「喜びも悲しみも幾歳月」のあらすじと結末でした。
ビデオと歌が聞きたいけど、あるかな⁉️