エコールの紹介:2004年ベルギー,フランス映画。森の中の少女たちだけの学校。彼女たちは生物とダンスを学びながら、やがて青虫から蝶になるように成長していく。謎めいた森の秘密の物語。
監督ルシール・アザリロヴィック 出演:ゾエ・オークレール(イリス)、ベランジェール・オーブルージュ(ビアンカ)、リア・ブライダロリ(アリス)、マリオン・コティヤール(エヴァ)、エレーヌ・ドゥ・フジュロール(エディス)、ほか
映画「エコール」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「エコール」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
エコールの予告編 動画
映画「エコール」解説
この解説記事には映画「エコール」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
エコールのネタバレあらすじ:森の中の不思議な学校
小川がある森、トンネル、そして映される子供部屋に置かれた小さな棺の周りに集まった少女たちがそれを開けると、中には少女が眠っている。目を覚ました少女がイリスと名乗ると、周りを囲む少女たちもそれぞれ名乗った。イ
リスに白い制服を着せて髪の毛を結うと、それぞれリボンを変える。最年少が赤、最年長が紫と決まっている。紫をつけたビアンカに、それはナターシャの色だとセルマは叫んだ。ビアンカが部屋の説明をしていると、イリスは「弟はどこ?ここはどこ?」と尋ねると、ビアンカは私達の家よと答えた。
水辺で遊ぶ少女たちもリボンをつけている。ここで年の小さい子は年長者に泳ぎを習う。同じ赤いリボンのローラにイリスが「今日ここに入ったの?」と聞くと、彼女は「すぐ出るつもり」だと言った。家に帰りたいイリスが「ここに誰か探しに来る?」と聞くたびに、「来ない、ここが家よ」とビアンカは諭した。
夜になると森の小道の街灯が灯りだす。食堂で眠ってしまったイリスをアリスが起こし、寮を案内しようとすると窓からビアンカがどこかへ行くのが見えた。街灯の灯る道を各寮から紫のリボンの子が9時に出かけることになっていた。
イリスは就寝時間に眠れなかった。庭の遊具で遊ぶ少女たち。イリスはビアンカに連れられて、電灯に沿った道を歩き、他に赤いリボンの少女がいる館まで連れてこられる。そこへ杖をついた女性がやってきて、エディットと名乗り、少女たちに生物について教え始めた。
エコールのネタバレあらすじ:森の外の世界に出たい少女を阻む壁。
子供部屋で、レコードを掛けるとバーレッスンを始める青いリボンのアリス。校長先生が年に一回踊りを見に来てくれて、毎年青リボンの子を見に来るのだと言う。そんな彼女は他の子が遊んでいる間も練習に余念がない。
ダンスのレッスン場に行くとローラが洗面所でうずくまっている。ダンスのエヴァ先生は彼女たちを「選ばれた幸運な人、青虫だからたくさん練習を」と言って、簡単なバーレッスンから始めた。イリスはビアンカに「夜に出かけるのは男の子に会うため?」と聞く。ビアンカは秘密のそぶりをした。
森でかくれんぼをしていると、イリスは一人電灯にそって皆から離れ、勉強する館に入っていった。ある部屋を覗くと誰かがベッドで看病されていた。他の部屋で、古いこの森と寮の地図の絵を見つけると怖くなり、もと来た道を走った。途中、他の少女たちに見つけ出され、森から出ていないか聞かれた。口々に「出たら罰を受ける、死ぬまでここで他の人に仕える」と、少女たちは言う。
セルマはイリスに壁の煉瓦にたくさんの紙が挟まっていて、そのひとつを開き、人の顔の絵を見せると、「外にたくさん変な人がいるから出てはダメなの」だと言った。そして、ビアンカの秘密を知りたがるイリスを、知りたがり屋だと枝で叩いた。その夜、イリスはビアンカと一緒に寝たいと言うが、規則違反と返されてしまった。エヴァ先生は、ビアンカに懐いているイリスに、服従こそ幸せへの道だ説く。
一方、相変わらずここから出たいローラは水辺にある舟に乗り、イリスに規則違反だと止められても、綱を外させ舟をこいでいった。しかし船底から水がしみてきてしまう。イリスにエディット先生は、子供の頃脱走して脚を折られたんだと噂をするが。子供を怖がらせる作り話だとアリスは気に留めなかった。
その夜、シャワーブースでうずくまるイリスにビアンカが尋ねると、ローラの脱走を許してしまった自分は罰を受けるのかと怯えていた。まだ誰にも話していないことを知ると、大丈夫だとイリスをなぐさめた。館の棺にローラが入れられているのを他の少女たちは除き見た。先生たちは「ローラは戻らぬ人になった、別れの儀式」だとして、棺ごと燃やし、その一部始終を少女たちに見せた。
エコールのネタバレあらすじ:選ばれて外に出たいアリス
子どもたちが集まっての新年をお祝いする食事中、食の進まないエヴァ先生は食堂の隅で泣き始めた。それをエディット先生は慰めた。校長先生に選ばれて早く外に出たいアリスは壁へ行き、私を選んでくださいとお願い事を書いた紙を挟んだ。
アリスがエヴァ先生に個人レッスンをつけてもらいに館を訪れると、エディット先生はどこかへ電話をしていて、今年は美しい子が二人いて当たり年だと話していた。エディットはエヴァがアリスを煽るのが気に入らず、「外へ行っても失望するだけ、私達の同類にする気か」とぼやいた。
そして結局アリスは選ばれず、ショックで寝込んでしまった。そして皆が出払ったある日、一人で壁を登り、その向こうへ歩いていった。先生たちは、「アリスは過ちを犯してもう会えない、話題に出すのも止めなさい」と少女たちに言った。
エコールの結末:代変わりの春
最年長の少女たちは、第二次性徴について教わった。ビアンカはローズに他の子の面倒を言いつけて、一つ下のナディアをいつも自分が館に行く時に連れて行った。集められた少女は柱時計の奥にある秘密の扉の向こうの部屋へ。底には蝶の衣装が4着分あり、それを着て舞台へ。
ナディアは物音が気になり幕を開けようとするが禁止される。観客がいる事を怖がってナディアは逃げようとするも「お客さんからは見えないから大丈夫」とビアンカは言った。幕が上がると、舞台からはシルエットしか見えない。舞台で転んでしまったナディアは嫌がるが、また戻って踊った。もうあそこはイヤだと訴えても、許してもらえなかった。
翌日、今夜はもっと集中するようにと言われ、残されたビアンカはエヴァ先生にナプキンを渡され、今夜がビアンカの最後の舞台だと告げられる。その舞台の最中、観客から「ブラボー、キミは綺麗だ」と言われて花を投げ入れられる。ビアンカはそれを胸につけて踊りを続けた。
舞台後、ナディアはビアンカを連れて観客席を見に行くと、最後の客が壁の扉から出て行く所で、壁が扉になっていた。その扉の向こうへ行く2人は使用人と鉢合わせ、観客たちが払うお金でこの学校は出来ていると教えられる。外へ行きたくないビアンカは、缶の中の壁画の絵を見ながら忘れ物の手袋をはめ、自分の足を撫で眠った。
そして翌朝、手袋とバラを水辺に投げ捨てた。塞ぎこむビアンカをかまうイリスは「放っておいて」と言われても、「一緒じゃなきゃイヤだ」と言い張った。その夜、少女たちと別れのキスをかわし、鍵をナディアに託したビアンカは他の少女たち同様、紫のリボンを返し、劇場の扉からトンネルを進み、列車に乗り込んだ。
エヴァ先生は煙草を吸い始めた。「私達どうなるの?」と問うビアンカに「すぐに私達を忘れる」としか先生は言わなかった。その頃、寮では新しい女の子が来る。イリスが来た時と同じ事が行われた。
どこか駅舎らしいところへ着くと、他の女性に少女たちは引き渡され、町の中へ。噴水で無防備に遊ぶビアンカに男の子が寄ってくる。吹き上げる噴水の水が映り、物語は終わる。
以上、映画「エコール」のあらすじと結末でした。
エコールのレビュー・感想:ほのめかされる謎
この作品の中でほのめかされる謎が、はっきりと開かされることはない。焦点が当てられているのは、そこに暮らす少女たちと先生、使用人、そして目に見えぬ「観客」。森の中の学校と言うシンプルな舞台ではあるものの、そこに住まう少女たちの不安や外への憧れ、そして恐怖などの心の揺らぎが、子供ゆえの表情から伝わってくる。
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