命美わしの紹介:1951年日本映画。劇作家八木隆一郎のNHKラジオ小説を映画化した一風変わったホームドラマ。笠智衆が自殺志願者を助ける元中学校校長をユーモラスに演じ、毎日映画コンクールやブルーリボン賞の助演男優賞を受賞した。監督は後に『君の名は』を撮る名匠大庭秀雄。
監督:大庭秀雄 出演:笠智衆(伊村早吉)、杉村春子(伊村みね)、三國連太郎(伊村寛一)、佐田啓二(伊村修二)、小園蓉子(伊村民子)、坂本武(高山医師)、小沢栄太郎(快雲)、淡島千景(あさ子)、宮口精二(大島)、桂木洋子(大島房江)、北竜二(梅澤)、土紀就一(梅澤忠清)、ほか
映画「命美わし」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「命美わし」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「命美わし」解説
この解説記事には映画「命美わし」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
命美わしのネタバレあらすじ:起
華厳の滝、三原山とともに自殺の名所となっているある城址の内堀。そのほとりに約30年間暮らしている伊村家では、主人の早吉が時々堀に飛び込んだ人間を助けていました。
その晩、妻のみねの弾く琴に合わせて尺八を吹いていた早吉は誰かが自殺しそうな予感を覚えます。さっそく水際に出かけると、今しも1人の女性が水に飛び込もうとしていました。
間一髪でその女性を助けたのですが、それは早吉の次男修二が密かに惚れていた大島房江です。彼女は市会議員梅澤の息子によって妊娠させられ、絶望して命を絶とうとしたのです。
命美わしのネタバレあらすじ:承
自殺未遂によって流産となりましたが、記者をやっている早吉の長男寛一はそのスキャンダルを新聞に書き立てます。しかし梅澤親子はシラを切り、大島親子と寛一に対して圧力を加えてきます。
親に迷惑をかけたことで悩む房江に同情した修二は彼女と一緒に家出をし、知り合いの僧侶快雲のもとに身を寄せます。
しかしこの思い切った行動は敵を利することになり、「妊娠させたのは修二ではないか」という疑いを呼んでしまうのです。
命美わしのネタバレあらすじ:転
一方、房江と同じ夜にやはり内堀で自殺を企てた女性がいました。こちらの方はあさ子という元看護師。夫に死なれた後子供の大きくなるのを楽しみに生きてきたのですが、その子が死んでしまったことで世をはかなんだのです。
不幸な彼女に同情し、寛一は知り合いの高山医師のところで看護師になる事を勧めます。ところが刹那的になったあさ子はキャバレーの女給に身を落としてしまいます。
それを知った寛一はキャバレーで大暴れして怪我を負い、あさ子に治療処置を受けます。
命美わしの結末
まもなく伊村家に、以前早吉に助けられた自殺未遂者の夫婦がやってきます。彼らには子供も出来、幸せそうでした。夫妻に紹介されたあさ子は彼らの赤ん坊を抱き、素直な心を取り戻していきます。
やがて快雲に促されて修二と房江も家に戻ってきました。市会議員の梅澤も息子の非を認めて早吉に謝罪。修二と房江は仲を深め、そして寛一もあさ子と付き合いを始めそうです。
家庭内のゴタゴタもようやく片が付き、早吉は妻のみねとともに再び尺八と琴の合奏を始めます。
以上、映画「命美わし」のあらすじと結末でした。
今では考えられないほどの俳優陣を一同に配した名編。ストーリーに一分の無駄もなく、また展開も次から次へと観客の興味を引っ張って飽きさせない。笠智衆と杉村春子の夫婦役、三国と淡島千景の出会い、佐多啓二と桂木洋子の恋人同士などどのカップルも愛と信頼で結ばれていく。もっと多くの人に知ってもらいたい日本映画の傑作の一篇でしょう。