アレックスの紹介:2002年フランス映画。恋人をレイプされた男の復讐劇を描くサスペンス・ドラマ。マルキュスは恋人アレックスと一緒に参加したパーティーで、些細な喧嘩をしてしまった。腹を立てたアレックスはさっさと1人で帰ってしまう。ところがその帰り道、深夜の地下道でアレックスはある男に絡まれ、酷い暴行を受けた。激怒したマルキュスは、友人ピエールと共に犯人探しに乗り出す。監督を務めるのは、「カルネ(1994年)」「カノン(1998年)」等で知られるフランスの鬼才ギャスパー・ノエ。約9分間にも及ぶ凄惨なレイプシーンは世界中に衝撃を与えた。
監督:ギャスパー・ノエ 出演者:モニカ・ベルッチ(アレックス)、ヴァンサン・カッセル(マルキュス)、アルベール・デュポンテル(ピエール)、フィリップ・ナオン(元肉屋)、ジョー・プレスティア(テニア)ほか
映画「アレックス」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「アレックス」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
アレックスの予告編 動画
映画「アレックス」解説
この解説記事には映画「アレックス」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
アレックスのネタバレあらすじ:復讐の結末
(これは逆再生映画です。最初にクレジットが流れ、ラストシークエンスから本編が始まります。)
―――狭い部屋で2人の男がベッドに並んで座っています。全裸の方の男は元馬肉屋で、「時はすべてを破壊する」と呟きました。彼は自分の娘を犯した罪で刑務所にいたと語ります。娘を失い、何もかも失くしたと力なく嘆く元肉屋。すると外が騒がしくなりました。警察沙汰の騒ぎが起きているようです。
ゲイクラブ「レクタム」から男が2人担架で運び出されました。腕を負傷した男の名前はマルキュス。その友人ピエールが後から警官に伴われレクタムから出て来ます。ゲイ達の罵声を受けながら、ピエールはマルキュスを気遣わしげに見下ろしていました。ピエールは逮捕され、警察署に連行されます。
―――その少し前。レクタムに乗り込んだマルキュスは、大声で喚きながらテニアという男を探していました。怒り狂った彼は、ピエールが復讐などやめろと叫ぶのも聞かずに、クラブにいたゲイを次々脅してテニアはどこだと騒ぎます。ついに見つけたテニアに殴りかかるマルキュス。しかし返り討ちにされ、腕をへし折られてしまいます。
逆上したピエールは消化器でテニアの顔面を殴りつけました。何度も何度も殴り、テニアの顔面は原型を留めないほどグチャグチャになります。しかしそれはテニアではありませんでした。本物のテニアは後ろでニヤニヤと笑いながら、事の次第を眺めていました。
アレックスのネタバレあらすじ:怒り狂うマルキュス
―――更に少し前。マルキュスはレクタムを探し回っていました。ピエールは呆れ果て、マルキュスの恋人アレックスが心配だからと病院へ行こうとします。タクシーの運転席に乗り込んだピエールを見咎めたマルキュスはフロントガラスを破壊し、レクタム探しに無理やり同行させました。
―――更に少し前。マルキュスとピエールは、タクシーでレクタムへ向かっていました。マルキュスはレクタムへ向かえとタクシー運転手に喚き散らします。ピエールは、こんなことになったのもアレックスを1人で帰宅させたせいだと怒鳴りました。ピエールはマルキュスを何とか落ち着かせようとしますが無駄に終わります。
マルキュスの侮辱的な言葉に腹を立てた運転手は、停車させ2人を降ろそうとしました。それに逆上したマルキュスは運転手を引きずり下ろし、タクシーを奪って走り出します。
―――更に少し前。マルキュスはこのあたりを仕切っているというゴロツキ2人を雇い、ヌネスという人物を探していました。ピエールはアレックスの病院へ行こうとマルキュスを説得しようとしますが、怒り狂うマルキュスは犯人を見つけて復讐することしか頭にありません。
ヌネスを見つけ出したマルキュスは、アレックスがレイプされたのだと怒鳴り散らしました。レイプ現場に居合わせたらしいヌネスは、犯人を問われ「テニアよ」と答えます。ゲイクラブ「レクタム」にいるはずだと教わり、マルキュスとピエールはタクシーに飛び乗りました。
アレックスのネタバレあらすじ:レイプ事件
―――更に少し前。ピエールは警官の聴取を受けていました。マルキュスもピエールも、ショック状態でまともに話が出来ません。立ち尽くす2人にゴロツキが話しかけて来ました。アレックスの知り合いと知ったゴロツキは、このまま警察に任せる気か?と尋ねます。
警察は何も出来ない、犯人を見つけても刑務所に送っておしまいだと話す男。彼はマルキュスの怒りを煽り、金を出すなら復讐に協力すると言い出しました。レイプ現場に落ちていたバッグに、ヌネスという人物の身分証明書が入っていたそうです。マルキュスは提案を受け入れ、自ら復讐に乗り出すことにしました。
―――更に少し前。マルキュスとピエールがパーティー会場から出て来ると、外は騒然としていました。どうやらレイプ事件があったようです。担架で運ばれる被害者を見たマルキュスは悲鳴を上げました。顔面が血まみれになったその女性は、彼の恋人アレックスだったのです。彼女は暴行され、昏睡状態に陥っていました。マルキュスは担架に取りすがりながら泣き喚きます。
―――更に少し前。アレックスは1人でパーティー会場を後にしました。タクシーが捕まらないため、地下道を通ることにします。暗いトンネルのような地下道を歩いていると、向こうからテニアとヌネスがやって来ました。テニアは嫌がるヌネスを殴りつけます。アレックスは驚いて立ち止まってしまいました。
気付いたテニアはアレックスに難癖をつけて絡んで来ます。ヌネスがその場から逃げ出すと、テニアは抵抗するアレックスを押し倒し何度もレイプしました。更に彼女を蹴り上げ、馬乗りになって顔面を何度も何度も殴りつけます。
アレックスのネタバレあらすじ:不可逆の選択肢
―――更に少し前。パーティー会場で、マルキュスは恋人のいないピエールに女をあてがおうとしていました。マルキュスは酒とドラッグで半分正気を失っています。ピエールはアレックスを放っておくなと叱りつけましたが、今のマルキュスの耳には入りません。
アレックスは友人達と踊っていました。扇情的な踊り方に、自分と交際していた時はそんな風に踊らなかったと戸惑うピエール。アレックスは上機嫌で、友人に今日は最高の日なのだと話します。
しかしそこにフラフラになったマルキュスが現れると、アレックスは呆れ果てたように急に不機嫌になりました。怒ったアレックスは家に帰ると言い捨て、送って行くというマルキュスの声を無視して会場を出て行きます。
―――更に少し前。アレックスとマルキュス、そしてピエールは、3人でパーティー会場に向かうためメトロを待っていました。アレックスが最近読んでいる本の話をします。その本によると、未来は何もかも既に決まっているそうです。
ピエールは未だにアレックスに好意を寄せており、自分のセックスでアレックスを満足させられなかったことをいつまでも悔いていました。理屈ばかりでセックスに没頭しないのが悪いのだと話すアレックス。マルキュスは野性的で、しかも優しく、自分も相手も気持ち良くなるセックスをするそうです。
それを聞いたピエールは悔しがり、アレックスとマルキュスは笑い飛ばします。
アレックスの結末:始まりの幸福
―――更に少し前。アレックスとマルキュスは裸で抱き合い眠っていたところを、ピエールからの電話で起こされました。車が故障したので、今夜のパーティーにはメトロで行こうという話でした。
アレックスは奇妙な夢を見たとマルキュスに話します。彼女は真っ赤なトンネルにいて、そのトンネルは二つに崩れ落ちてしまうそうです。きっと生理が遅れているせいだと話すアレックス。マルキュスは未だにピエールから恋人を盗んだことを気にしています。
しかしアレックスは、自分は物ではないし、ピエールと別れマルキュスと交際することを決めたのは自分自身の意志だと断言しました。もし妊娠したらどうすると尋ねるアレックスに、マルキュスは悪くないと嬉しそうに笑います。
マルキュスがパーティーの買い出しに出かけると、アレックスは妊娠検査薬を取り出しました。緊張しながら結果を待つアレックス。じっと検査薬を見ていたアレックスは、破顔して愛しそうに腹部を撫でました。
―――アレックスが青い空の下で読書をしています。「時はすべてを破壊する」という文字と共に、この映画は終わりを迎えます。
以上、映画「アレックス」のあらすじと結末でした。
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