IT/イットの紹介:1990年アメリカ映画。スティーヴン・キング,原作によるTV映画。実在した児童連続殺人犯ジョン・ゲイシーをモデルにした映画で、子どもの弱点につけ込み襲い掛かる殺人ピエロ“IT”と子ども時代に遭遇し、時を経てピエロと対決する大人達の、トラウマとの決別の物語。この作品は2017年に「IT/イット “それ”が見えたら、終わり。」として劇場版としてリメイクされています。
監督:トミー・リー・ウォーレス 出演:ティム・カリー(ペニー・ワイズ)、リチャード・トーマス(ビル・デンブロウ)、ジョン・リッター(ベン・ハンスコム)、アネット・オトゥール(ベバリー・マシュー)、リチャード・メイサー(スタンリー・ユリス)ほか
映画「IT/イット」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「IT/イット」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
IT/イットの予告編 動画
映画「IT/イット」解説
この解説記事には映画「IT/イット」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
IT/イットの簡単あらすじ結末
メーン州デリーという町で、子供だけが殺害される事件が連続して起きるが、警察は本格的な動きを見せません。図書館員のマイクは事件現場で、今あるはずのない捜索チラシの写真を発見します。30年目前の約束を実行するべく、当時の仲間たちに電話を入れます。当時の仲間はマイク、ビル、ベン、ベヴァリー、エディー、リッチー、スタン…の7人。この7人は幼少時代、不良に追われたり、異端扱いされていました。少年少女は7人である事から「ラッキー7」というグループを結成します。彼らは個々にペニーワイズと名乗るピエロの姿を見て、恐怖を感じます。写真から血が滲みだしたり、排水溝からピエロが姿を覗かせたり。体験はそれぞれですが、どうやら大人たちにはそれが見えていないようでした。ラッキー7の彼らはピエロを「IT」と呼び、倒す事を決意します。そのピエロの共通している事は水の周り…そう「IT」は下水道からやって来ていたのです。それに気づいた彼らは下水道へ向かいます。彼らを追ってきた不良も、一緒に下水道に向かいますが、不良3人中、2人もITに殺されてしまいます。残った1人も恐怖でパニックに陥ります。咄嗟にエディーは持っていた喘息の薬を吹きかけます。するとピエロの顔が崩れていく…そこへベヴァリーが放った銀のイヤリングで撃ち込むと、ピエロは排水溝へと逃げていきます。本当に退治できたのかは分からない…。7人はITが現れたらまた皆集まろう、と誓い約束し合います。
現代のシーンに戻ります。電話を受けた当時のメンバーはデリーに集まりますが、うち1人は恐怖のあまり自殺を図ってしまいました。そして不思議な事に彼らは電話を受けるまで、当時の記憶を完全になくしていたのです。デリーに集まった残りのメンバーもITを追い返そうと、攻撃を開始します。当時不良だった生き残りの1人は仲間の不良を殺した疑いの罪で精神を問われ、収容所にいました。ITはその不良を脱獄させ、ラッキー7のメンバーたちを襲わせます。うち1人が負傷してしまうも、襲った不良も自分のナイフが刺さってしまい、死んでしまいます。残りのメンバーで、あの下水道に向かいます。子供の時には行かなかった更に奥へ進むと大きな空間になっており、そこには蜘蛛の巣のようなもので巻かれたたくさんの犠牲者が。その奥から大きな蜘蛛が姿を現します。そう、この蜘蛛こそが「IT」の正体だったのです。あの時と同じく喘息の薬を吹きかけ、腹に銀のイヤリングを撃ち込みます。逃げるITを追い、ナイフで刺しバラバラにしてようやくITの本体は息絶えます。仲間の1人エディーは死んでしまったが、生き残ったメンバーはそれぞれの生活に戻ります。リッチーはコメディアンに、ベンとヘヴァリーは結婚、マイクはベリーを離れる事に、ビルは一時廃人のようになってしまったが、正気に戻った彼女と過ごす事に。そしてまた事件の事は記憶から消え去ろうとしていました。
以上、「IT/イット」の簡単なあらすじと結末でした。
IT/イット 詳細あらすじ解説
IT/イットのネタバレあらすじ:起
アメリカ、メーン州のデリーで幼い女の子が家の庭で遊んでいる最中に、ピエロに声を掛けられ殺害される痛ましい事件が発生します。この州では過去に6人の子どもが原因不明の失踪で死亡していました。図書館司書のマイクは事件現場で幼い少年の顔写真がプリントされたチラシを拾い、イギリス在住の友人、ビルに電話するのでした。「“IT”が帰ってきたかもしれない」・・・。マイクとビルの間に何があったのか、2人は幼少期を思い出しました。
ジョージは風邪で寝込む兄のビルに空想話をするようせがみますが、ジョージは体調不良ということもあり、面倒くさがりつつも彼に新聞紙で作った船を渡しました。ジョージはそれを持って遊びに行くと言って出て行きます。ビルは「気を付けろよ」と言ってベッドに戻りました。ジョージは紙の船を手に、雨の中レインコートを着て遊んでいると、船が用水路に流ていってしまいます。それを追いかけて拾おうとした彼は、突如用水路から顔を出したピエロの男に親しげに声を掛けられ、一瞬ためらいますが、ピエロから船を受け取ろうとした時に、ジョージは腕を掴まれ引きずりこまれそのまま亡くなってしまいました。ジョージの葬儀後に、ビルは彼の遺影を手に取った時、写真の中のジョージが突然ウィンクして血が流れ出たのに驚いて両親を呼びますが、親には信じてもらえませんでした。ビルは子どもの時に「IT(イット)」ことピエロと弟に起きた事を思い出し、恋人を家に置いてマイクの元へ向かいました。ニューヨークで建築家として働くベンの元にもマイクから電話がかかり、彼もまた子ども時代を思い出します。ベンは転校生で、クラスメイトのイジメっ子男子グループから暴力を伴うイジメを受けていました。ある時、彼らにからまれて怪我を負ったベンは排水路に隠れて難を逃れます。そこで、エディーと友達になりますが、帰宅するなり、兄に喧嘩を売られ、揉めているところを母親に叱られたため再び家を飛び出してエディーと出会った川へ向かいました。ベンは戦争で父親を早くに亡くしていて、その事で母や兄とも気まずい空気の中にいたのです。不意に、自分を呼ぶ声がして振り返ったベンは死んだはずの父が立っているのを見て近づきそうになりますが、その姿は不気味なピエロに変わっていきました。ベンは足を掴まれて引きずりこまれそうになりますが、何とか自力で逃げ出せました。大人になったベンは忌まわしい記憶が蘇り、「やめろ!」と叫び、フラッシュバックを起こしてしまいました。
IT/イットのネタバレあらすじ:承
イリノイ州シカゴにて、自営業で服飾店を勤めるベバリーはメーン州からオフィスに電話がかかってきますが、仕事で日本人のクライアントと会わなきゃならないので取り合っている暇がありませんでした。ベバリーには社内恋愛で付き合っている恋人兼上司の男がいます。彼と2人で夜の営みを終えたベバリーですが、マイクから電話連絡があり、それに出たところ、恋人が浮気を疑い、ベバリーは頬をひっぱたかれます。そこで、彼女はぶち切れ、「もうこりごりよ!あんたなんか死ね!二度と私の前に現れるな!」と激しい怒りを恋人にぶつけ、物を投げつけて別れました。実は、ベバリーは母親が蒸発してから暴力を振るう高圧的な父と2人暮らしをしてきた過去があったのです。幼少期、ベバリーはベンからラブレターを貰い、喜びますが、帰宅した父親はベバリーを罵り、顔を殴りつけました。ベバリーは「そんなんじゃない!」と反発し、怒り狂う父親から逃げるように家を飛び出します。そこで落ち込んでいるところを、ベンに声を掛けられ、エディー、ビル、スタン、リッチーと知り合い、一緒にダムを作って遊ぶことで心の居場所と初めての友達が出来たのでした。ある日、洗面台の排水路からピエロにさらわれて死んだと訴える子どもが助けを求めてくる声を聞いたベバリー。排水路から血が噴き出し、父親を呼びます。確かに血まみれなのにも関わらず、ベバリーの父には何も見えていません。父親はベバリーの口元をつねると脅して取り合ってくれませんでした。
また、現在に戻ります。エディーはニューヨークのグレートネックに母と2人暮らしですが、過干渉な母は大人になってもエディーに口うるさく絡んできます。やはり彼も電話を受け、母親が止めようとするのも無視してデリーへ向かいます。エディーもまた子ども時代を思い出します。友人と何人かで映画を見に行った彼は例のイジメっ子グループにからまれ、慌てて逃げ出しました。ある日、体育の授業後にシャワーを浴びなかった事を教師にとがめられたエディーは一人、学校のシャワールームで、ピエロと出会いました。カリフォルニアでコメディアンをしているリッチーは相方といざこざになり、その後、マイクからの連絡を受けます。ビルが作った空想話を聞いたり、将来の夢を語り合った幼少時代のビル達。しかし、警察から子どもが一人死亡したと告げられ、川へ来る事をとがめられてしまいます。リッチーはある日、学食を汚してしまい、用務員室に行くと、ピエロに遭遇。急いで教室に戻り、「狼男が出た」と言ってしまい、クラスメイト達から笑い者にされてしまいました。ビル達はイジメっ子グループに6人で立ち向かい、彼らを撃退した事がありました。マイクという黒人の少年が新たに仲間入りをし、彼らは今まで起きた事を洗いざらい話し合います。マックは祖父が持っていた古い書物をみんなに見せると、そこにピエロについて書かれていた事を知ります。そして、皆で写真を見ていると、勝手に写真の中の光景が動き出し、あのピエロが立体的に映りだしてマイク達に襲い掛かろうとしました。マイクは慌てて本を閉じます。
IT/イットのネタバレあらすじ:転
愛妻と暮らすスタンは、マイクから電話を貰いますが、お風呂に入ってしまいます。彼もまた、ビル達の仲間の一人でした。ピエロを倒す為に装備をしていたビル、リッチー、ベバリー、ベン、エディーとスタン、マイクはイジメっ子グループに絡まれます。ピエロがいると予測した下水道に入った際に、イジメっ子の一人がピエロに連れ去られてしまいます。ピエロはスタンに襲い掛かりますが、ベバリーがパチンコ玉を打って攻撃し、ピエロは排水溝に沈んでいきました。ラッキーセブンとスタンは、もしピエロがまだ生きていたらみんなで集まって倒す事を誓ったのでした。しかし、大人になったスタンは浴室でピエロに自殺に見せかけて殺され、それを彼の妻が発見する事になってしまいます。メーン州デリーに到着したビルはかつてピエロに殺された弟の墓参りに来ていました。そこで、再び、ピエロと再会してしまいますが、彼は心の弱さに打ち勝とうとピエロを無視します。我に返ると、ピエロの姿はありませんでした。マイクとビルは図書館で再会し、昔話に花を咲かせます。その頃、リッチーも車で昔と変わったデリーの街並みを眺めながら車を走らせてマイクの図書館に向かいますが、彼はいません。しかし、ピエロとは再会してしまい、図書館スタッフの一人に伝言してからリッチーは逃げるように去っていきました。タクシーで向かうベンは思い出の川辺で、いじめを受けていたポッチャリ体格の男の子と出会い、かつての子ども時代の自分と彼を重ね、「負けるなよ」と励まします。しかし彼もピエロと出会ってしまうのでした。エディーは子ども時代に喘息が原因で世話になった薬剤師を訪問。昔、母親がエディーを喘息だと診断した医師を信じたせいで、薬と偽ったただの水を飲まされていた事を知っているその薬剤師に子ども時代のお礼を言い、彼の喘息は母親と彼自身の思い込みだったと話します。薬剤師はエディーの手を掴み、ピエロの姿に豹変していき、エディーは逃げ出しました。ベバリーもまた、久々に実家へ帰省すると、老婦人が現れ、ベバリーの父が随分前に亡くなった事を知らされました。そして、夫人は血に染まった紅茶を勧め、異変を感じたベバリーは老人となった父の姿をしたピエロに襲われて逃げ出します。高級中華店にて、ここに集うまで、ピエロに大人になっても襲われた事を話すラッキーセブンのメンバー達。そこで出されたクッキーに違和感を感じ、一行は図書館へ逃げ出しました。マイクはスタンの家に電話しますが、彼の死を初めて知り、愕然とします。図書館で再び不気味な出来事が起き、スタンの生首を見た彼らはマイクの家に集いました。
IT/イットの結末
元イジメっ子グループのリーダーだったヘンリーは子ども殺しの犯人とされ、精神病棟へ入院していました。そこで、ピエロが月に映り、彼をそそのかして看守を殺させ、脱獄させるのでした。マイクは街の歴史を掘り下げ、デリーでは何世紀も前から不自然な事件が多発していて、今回は死者が6人、行方不明者は更にいると指摘します。証拠としてジョージの写真を見せますが、子どもがいない大人となった彼らにはピエロを倒せないだろうと話し合います。リッチーは明日にも出て行こうと言います。マイクは寒さを感じて羽織る物を取りに2階へ向かった際、ヘンリーに襲われてナイフで刺されてしまいます。ヘンリーは揉み合いのなか、自分を刺して死にました。結局、仲間達はマイクを連れて病院へ行き、彼は入院することとなります。その後も次々と怪奇現象や幻覚を見たラッキーセブン達は40代の年齢でありながらピエロと闘う以外、生きる方法は無いと決断を下しました。マイク以外の5人がピエロこと、「ペニーワイズ」に立ち向かいます。そこで、ビルの妻オードラと遭遇し、彼女も加わりました。ペニーワイズは事件で亡くなったビルの弟ジョージの幻覚を見せるなどして惑わせますが、ラッキーセブンとオードラはそれに屈せず闘い、ペニーワイズがピエロではなく巨大な蜘蛛の化け物である事実を知りました。オードラは攻撃を受け、エディが戦いの末死亡しますが、残りのメンバーは何とかペニーワイズを倒して一命を取り留め、それぞれの日常生活に戻れたのでした。マイクは入院しながら後日談を語ります。警察はこの事件に取り組まず、捜査を打ち切りにしてしまった事、リッチーは映画俳優として活躍、ベンとベバリーは結婚してからデリーを離れ我が子誕生を待ち望んでいる、ビルとマイクも年のせいか忘れっぽくなっているがそれぞれの日常を生きている、ビルの妻オードラは戦いの末に負った怪我から回復が乏しく思えたが、ある日ビルが愛用の自転車に彼女を乗せて道路を走っていたところ、オードラの意識は回復し、彼らは平穏を取り戻す事が出来たのでした。
以上、映画IT/イットのあらすじと結末でした。
2017年11月公開、リメイク版『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』のネタバレあらすじはこちら。
不気味なピエロ・ペニーワイズと闘う幼少時代を前篇、大人になった時代を後篇という構成で描いた作品。これは劇場用映画ではなくTVムービーとしたもの。
やはり他のキング原作の映像作品の例にもれず物足りなさを感じてしまう。特に原作のクライマックスにおける27年前と現在が交錯する圧倒的な迫力は映像作品をはるかに凌ぐ。