素晴らしき哉、人生!の紹介:1946年アメリカ映画。世界に羽ばたきたい、そして成功したいと強くおもうジョージ・ベイリーが何かあるごとに自分を犠牲にして、夢を何度も諦めて結果この小さな町から出ることもできなかったが、地域に根づいた事で成功を収めることになる彼の人生はまさに素晴らしいの一言です。
監督:フランク・キャプラ 出演者:ジェームズ・スチュアート(ジョージ・ベイリー)、ドナ・リード(メアリー)、トッド・カーンズ(ハリー・ベイリー)、ライオネル・バリモア(ポッター)、ヘンリー・トラヴァース(クラレンス)ほか
映画「素晴らしき哉、人生!」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「素晴らしき哉、人生!」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
素晴らしき哉、人生!の予告編 動画
映画「素晴らしき哉、人生!」解説
この解説記事には映画「素晴らしき哉、人生!」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
素晴らしき哉、人生!のネタバレあらすじ:起
ジョージ・ベイリーがクリスマスイブの今夜、人生に絶望し自ら命を絶とうとしているのを止めるために天使たちは話し合っています。2級天使のクラレンスは200年も翼がありません。翼を授けてることを条件にジョージを救いに向かいます。そこでクラレンスたち天使は彼の人生を振り返ります。 ジョージ・ベイリーは12歳の時、弟のハリーを助けるために寒い冬の川へ飛び込み左の聴覚を失いました。 ガウアーさんの店の手伝いをしているジョージはガウアーさんの薬の配合ミスに気づき、彼の失敗を未然に防ぎました。 世界旅行を夢見るジョージは、ガウアーさんからもらった旅行鞄で旅に出るところでしたが、お父さんが急に他界してしまいます。
素晴らしき哉、人生!のネタバレあらすじ:承
お父さんは住宅ローンの会社を経営していましたが、この町を牛耳っている金持ちのポッターはこの会社をつぶしにかかるが、ジョージがポッターに牙をむきます。そこでジョージが社長になるなら経営を続けていいことになりました。 ジョージは旅行を諦め、弟のハリーが大学を卒業して地元に帰ってくるまで家業を継ぐことに決めました。 しかし、大学を卒業して戻ってきたハリーは結婚して戻ってきます。妻の父の経営するガラス工場で働くため、ジョージは旅行へはいけず、この町で仕事を続けることになります。 ジョージはメアリーと結婚し、新婚旅行へ向かう途中、銀行の様子がおかしいことに気づきます。恐慌のせいで皆がパニックになっている時も、ジョージは持っていた新婚旅行代金をみんなに貸し、その場を見事に収めるのでした。
素晴らしき哉、人生!のネタバレあらすじ:転
今までポッターが仕切っていたこの土地も、だんだんジョージが力を付けていき、ポッターはジョージに自分と手を組もうと案を出します。しかし、ジョージは好条件のこの案を断ります。 戦争がはじまり、弟のハリーは海軍のパイロットで活躍し、名誉勲章をいただくことになり、ジョージの周りは大騒ぎでした。しかし、その浮かれているところにジョージのおじさんが会社のお金の8000ドルを紛失してしまいます。 お金を失ったジョージは、ポッターに泣きつきますがポッターは彼を救おうとはしませんでした。 自暴自棄になり、家族に当たり散らしたジョージは家を出ると、保険金をあてにし、自殺しようと考えました。
素晴らしき哉、人生!の結末
その時、老人が川に飛び込みました。ジョージはその老人を助けるために飛び込みました。その老人は2級天使のクラレンスでした。クラレンスは8000ドルのために命を落とすのはやめるように伝えますが、ジョージはこの世の中に生まれてこなければよかったとクラレンスに言います。そこで、クラレンスはジョージの存在しない世の中を見せるのでした。ジョージのいない世界はひどいものでした。ハリーは川でおぼれ9歳で死亡し、ガウアーさんは劇薬を客に与え刑務所へ、そして自分の会社であるベイカー住宅ローンも倒産していました。ジョージは生きたい、生き直したいと祈ります。祈りは通じます。そして、妻のメアリーがみんなに声をかけたおかげで町のみんなのカンパでお金を工面できたのでした。“友あるものは敗者ではない。翼をありがとう。 クラレンス” と書いたクラレンスの大事な本『トムソーヤの冒険』をジョージにプレゼントしたのでした。
この映画は、コントロールできない人生の転機や運命の厳しさを優しい眼差しで見つめる、名匠フランク・キャプラ監督の名作だと思います。
この映画は、フランク・キャプラ監督が家族愛や人間の善意の尊さを謳い上げた、戦後の第1作目の作品で、理想主義に貫かれた彼の作品中でも、最も素晴らしい”ヒューマン・ファンタジー”の名作でもあるのです。
池に落ちた弟を助けようとして片耳の聴力を失い、父の金融会社を引き継ぐことになって、夢だった世界旅行を諦めたジョージ(ジェームズ・スチュアート)。
彼は妻を娶ってからもついていない。まず新婚旅行が、経済恐慌の混乱で中止になるし、子供が出来ても収入は一向に上がらない。
それでも、しっかり者の妻や暖かい周囲の励ましで頑張ってきた。
そんな時、最大のピンチが——。
天上の天使が、このジョージの生い立ちを子供時代から学生、結婚、そして自殺しようとする現在まで見せてくれる構成の巧みさ、面白さ。
客観的に語られていく主人公の物語を見るにつけ、自分自身でコントロール出来ない人生の転機や運命の厳しさを、楽しませながらわからせていく—–、これこそがキャプラ監督の身上だろう。
この中で特に、子供時代のエピソードには目頭を熱くさせられた。息子が死んで気落ちした薬屋のおやじが、劇薬の入った薬を患者宅に持っていかせる。
それに気づいたジョージは父のオフィスへ行くが、そこではそれを持ち出せず、薬屋に戻ってくる。
おやじが「遅い」と言ってジョージを殴り付け、彼は涙ながらに事情を説明する。
おやじは自分の間違いを認め、二人は抱き合う——。
この勇気ある行動が、彼の破産から自殺という人生最大の危機を救ってくれる。
大金が紛失し、気持ちが動転、混乱した彼は家族に当たり散らし、酒場では他人に倒される
こういう時のジェームズ・スチュアートは、平素がヌーボーとしているだけに恐ろしい感じがしてくる。
踏んだり蹴ったりで、橋から身投げする彼に、天使が彼のいないその街の荒廃ぶりを見せる。
そして、そのあとが実に素晴らしいのだ。生きがいを取り戻したジョージが、嬉々として飛び回り、勇んで家に戻って来る。
「生きてること自体が素晴らしい」と言わんばかりに——。
そして、家族を抱きしめるジョージの表情こそが、全ての人生において最高の幸福だとキャプラ監督は断言するのだ。
考え方を変えれば、全てがハッピーに思えるというテーマが、ただの楽観主義に終わらないように、これほど入念に作られたこの物語。
他人の下になり誠実に生きる人間を賛歌するだけの余裕が、この頃のアメリカ映画にはあったし、その流れは連綿として今も耐えることなく続いていると思う。