ジュリアの紹介:1977年アメリカ映画。劇作家リリアン・ヘルマンの回顧録を元に女性2人の友情を描いた秀作。実話という触れ込みだったが、後に作り話と分かり、リリアン・ヘルマンの言動に批判が集まった。アカデミー賞では助演男優、助演女優、脚色の3部門で受賞。
監督:フレッド・ジンネマン 出演:ジェーン・フォンダ(リリアン・ヘルマン)、ヴァネッサ・レッドグレーヴ(ジュリア)、ジェイソン・ロバーズ(ダシール“ダッシュ”・ハメット)、マクシミリアン・シェル(ヨハン)、ハル・ホルブルック(アラン)、メリル・ストリープ(アン・マリー)、ほか
映画「ジュリア」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ジュリア」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「ジュリア」解説
この解説記事には映画「ジュリア」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ジュリアのネタバレあらすじ:起
湖に浮かべたボートの中で回想にふける老いた女性。劇作家リリアン・ヘルマンです。彼女が思い返しているのは女友達のジュリア。彼女とは幼い時から親しく、無二の親友でした。ジュリアは裕福な家の育ちでしたが、両親とも忙しく、親代わりとなったのは祖父母。やがて彼女はオックスフォード大学で医学を学び、ウィーン大学へ留学。そこではフロイトからも教えを受けます。
ジュリアのネタバレあらすじ:承
リリアンの方はハードボイルド作家のダシール・ハメットと同棲しながら、劇作家を目指して修行中。原稿を書いては彼に見てもらい、腕を磨いてゆきます。当時アメリカの作家志望者がよくやったようにパリに行って執筆してみますがうまくゆきません。そこでジュリアが入院したと知ったリリアンはウィーンへ足を運んで彼女を見舞いますが、気分が鬱屈しているジュリアとは会話もろくにかわせずにパリへ戻ります。
ジュリアのネタバレあらすじ:転
ようやく書き上げたリリアンの戯曲がブロードウェイで上演され、彼女は有名人となりました。ちょうどナチスがヨーロッパで覇権を握ろうとしていた時期です。ロシアで演劇フェスティバルがあり、リリアンはそれに出席することに。その帰り道のパリで、ジュリアからの使者という男に会います。ジュリアは現在、反ナチ運動に関わっていて、その運動資金をフランスからドイツに運ぶ必要がありました。その運搬役をリリアンにやってほしいというのです。
ジュリアの結末
不安にかられながら、ジュリアへの友情からそれを引き受けるリリアン。列車内ではナチスの猜疑の目を感じながらようやくベルリンへ。そして久しぶりにジュリアと顔を合わせます。彼女は政治運動のせいで体が不自由になっていました。そして、「自分には子供がいる」とジュリアは言います。いつか時期は分からないが、その子をリリアンの養子にしてもらいたいとの事。
やがて、ジュリアはナチスに殺され、リリアンは残された子供を探しますが、結局見つかりません。ニューヨークのジュリアの祖父母の邸を訪ねますが、彼らは孫やひ孫に対して冷淡な態度でした。怒りのあまり泣き出すリリアンをハメットが慰めます。そしてジュリアの思い出はずっと彼女の心に残ったのです。
この映画「ジュリア」は、知的に美しく、見事な深みと品格を持った秀作だと思います。
アメリカの代表的な女流劇作家リリアン・ヘルマンは、女流という特別扱いを拒否し、また、かつての赤狩りの時代における、勇気ある行動でも知られる、いわば最高のインテリ女性ですが、その彼女の自伝的回想の物語ですね。
一人の優れた魅力的な女性リリアン(ジェーン・フォンダ)の生き方に、人格に、精神形成に、少女時代から関わった、女友達のジュリア(ヴァネッサ・レッドグレーヴ)と、結婚の形をとらずに30余年の生活を共にした、愛人の探偵作家ダシェル・ハメット(ジェーソン・ロバーズ)の二人。
よき友情と、よき愛情に恵まれたヒロインの、いま老いて孤高の、だが寂寥の姿に、人生の重みが切々と迫って、深い感動に目頭が熱くなります。
ユダヤ系の名門の大富豪の孫娘として生まれて、優雅と気品と理知と、勇気と感性で、幼い頃からリリアンを心酔させたジュリアは、やがてイギリスを経て、留学地のウィーンから姿を消してしまいます。