警察日記の紹介:1955年日本映画。1952年に刊行された伊藤永之介の同名小説の映画化。貧しい農村を管轄下に置く、会津磐梯山麓の小さな町の警察官たちの仕事ぶりを人情味たっぷりに描く。名子役だった二木てるみ演じるユキ子ちゃんの弟思いがいじらしい。
監督:久松静児 出演者:森繁久彌(吉井巡査)、三國連太郎(花川巡査)、三島雅夫(石割署長)、伊藤雄之助(岩太)、杉村春子(杉田モヨ)、岩崎加根子(二田アヤ)、二木てるみ(ユキ子)その他
映画「警察日記」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「警察日記」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「警察日記」解説
この解説記事には映画「警察日記」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
警察日記のネタバレあらすじ:バスで嫁入り
岩太の隣の家の花江が花嫁衣裳を着て親戚たちと路線バスに乗って嫁いでいった。馬車で嫁入り道具を運搬した岩太は花江と恋仲だった。彼を慰めようとする人たちに酒をふるまわれてすっかり酔って道端に寝てしまうが、神社や寺を荒らしている泥棒が馬車の前に仏像を落としていったために、岩太は花川巡査に泥棒と疑われて警察署に連れてこられる。
そこに彼の幼なじみの桃代が先に万引きでつかまっていた。桃代は昔から岩太が好きだったが花江がいるのであきらめていたという話になってしまう。
警察日記のネタバレあらすじ:捨て子と、売られる娘
吉井巡査は駅で、六つくらいのユキ子と赤ん坊の姉弟の捨子を発見すると共に、もぐりの周旋屋杉田モヨに騙されて嘘っぱちの労働条件で紡績工場へ行かされようとしていた二田アヤを保護する。吉井巡査は捨て子の預け先を探そうとするが児童相談所等をたらいまわしにされる。町には捨て子を保護する場所がないのだった。しかたなく、お茶を飲ませてもらった料亭に赤ん坊は預け、ユキ子は吉井自ら預かることになる。ユキ子を連れて帰宅した、子だくさんの吉井巡査の家ではその日また赤ん坊が生まれていた。
アヤの方は若い花川巡査が家に送り届ける。バスを降りて二人だけで長い道のりを歩くうちにアヤに情が移っていく花川。アヤの母と杉田モヨがグルになっているとは知らず、花川は貧しい一家に同情して帰る。
後日アヤのことが心配で再び花川はアヤの家を訪れるが、彼女はまたもモヨの世話で村を出ようとしていた。今の借金を返すことが彼女にとって大問題だったのだ。花川は自分の金を彼女におしつけるより他に彼女を助ける方法がなかった。モヨは逮捕されて警察署で取り調べを受けるが、彼女の身柄について石割署長、職業安定所、さらにモヨの仕事仲間を探っていた名古屋の労働基準監督署の間で縄張り争いが起きてしまう。
一方、捨て子の赤ん坊は料亭のおばあさんになつくが、吉井の家にいるユキ子は赤ん坊のことが心配な様子だった。
警察日記のネタバレあらすじ:通産大臣帰郷の夜の騒動
酒屋の次男が通産大臣となって帰郷。町のお偉方たちは消防車まで繰り出して大臣を接待する。その夜も警察署は忙しい。ユキ子がいつの間にか吉井の家を抜け出し、吉井たちはユキ子を捜しまわるが、彼女は料亭に弟に会いに行っていた。結局ユキ子も料亭に置かれることになる。
翌朝、町の飲み屋で前夜酔っぱらって暴れて警察署のやっかいになった名古屋の労働基準監督署の男が、モヨの件で来た時とは打って変わった低姿勢で署を後にする。モヨの件は警察が担当することになる。
警察日記のネタバレあらすじ:二組の親子
ユキ子たちの母親シズが子供を引き取りに署へ来た。吉井は料亭に連れて行こうとするが、彼女は貧しさから子供の命を奪うつもりで来たことを白状する。子供たちが料亭に引き取られて幸せであると知り、子供に会わずに去ることにしたシズのため、吉井は子供の顔を一目見させようと一工夫する。赤ん坊と新しい洋服を買ってもらったユキ子を料亭の表に出す。シズの乗る署長のジープはその前をゆっくり進んだ。
前に万引きでつかまったセイと息子の竹雄が今度は無銭飲食で訴えられる。セイの亭主が消えてしまったので二人は困窮している。だが、たまたま亭主は警察署の留置場にいた。親子は署長の前で出前の丼物を食べて再起を誓うことになる。
警察日記の結末:汽車で嫁入り
花川巡査はアヤから手紙を受け取ったが、中には彼に返すお金の為替と二枚の紅葉が入っていた。駅には二人の幼い子を預けたまま働きに出るシズ、自衛隊に入隊する岩太がいた。そして汽車の中には金のために年の離れた男に嫁いでいく花嫁衣裳のアヤとその母もいた。花川巡査はその汽車を遠くで見送るのだった。
以上、映画「警察日記」のあらすじと結末でした。
三國連太郎さん、かなり良い役で出演されていますね。
宍戸錠さんもかっこいいです。遅刻癖があったようで続編には呼ばれなかったようですが。
森繁久彌さんが名優たる所以の一つに、とにかく人を喜ばせたい精神があります。
この作品も、そんな森繁さんの人情がにじみ出ている作品かと思います。
母親がジープの窓から子供を見つめるシーンは、のちの「北の国から」の母親が車から純と蛍を見つめるシーンに似ているなと思います。