奇談 キダンの紹介:2005年日本映画。大学研究員の里美は、小学生の頃の2年間の記憶がなくなっていました。渡戸村の教会を見た里美に少しずつ記憶が蘇り、16年前に神隠しに二人が遭い、自分だけが帰ってきたことを思い出した里美は、渡戸村で記憶探しの旅に出ました…という内容のミステリーホラー映画です。漫画家、諸星大二郎の最高傑作と言われる『生命の木』の映画化です。
監督:小松隆志 出演者:藤澤恵麻(佐伯里美)、阿部寛(稗田礼二郎)、ちすん(静江)、柳憂怜(中原巡査)、神戸浩(重太)、田中碧海(新吉)、草村礼子(妙ばあさん)、清水紘治(神父)、やべけんじ(善次)ほか
映画「奇談 キダン」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「奇談 キダン」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「奇談 キダン」解説
この解説記事には映画「奇談 キダン」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
奇談 キダンのネタバレあらすじ:起
1972年、明倫大学の研究員の里美は、幼い頃の2年間の記憶がなく、穴や地下を異様に怖がっていました。そんな時、渡戸カトリック教会の写真を見た里美は、ここが自分の故郷であることを思い出しました。そして古い新聞を探し、自分が7歳の時、新吉という少年と二人で行方不明になっている記事を見つけました。この時、里美は助けられ、新吉は行方不明のままでした。
自分の記憶を呼び戻せるかもしれないと思った里美は、教授に渡戸村へ行ってくることを話しました。すると教授は「渡戸村の近くにある、近々ダム湖に沈むハナレという集落がどうなっているか見て来てくれ」と頼みました。
渡戸村ではハナレの住人の重太が「住人が居なくなる」と中原巡査に訴えていました。そしてスーツを着た一人の男が宿を訪ねていました。
里美は渡戸村に詳しい住職に話を聞きました。渡戸村は弾圧を受け、改宗を迫られたキリスト教信者が、隠れキリシタンとして移り住んだ村で、さらにその中から秘境を求めて住み移ったのがハナレだと言いました。ハナレに移った人達は村八分に遭って孤立化したため、住人たちは近親相姦を繰り返し、今では知能が7歳程度しかないとも言いました。
奇談 キダンのネタバレあらすじ:承
渡戸村に着いた里美は、役場の加納の案内で宿に向かいました。途中、教会を見つけた里美は中に入りました。教会には神父と共に、スーツを着た考古学者の稗田[ひえだ]がいました。稗田に共鳴する里美はハナレの事を聞きました。稗田もハナレを調べに来たと言うと、神父がハナレの住民たちを撮った古いフィルムを見せました。そこには住人達が教えを唱える人々が映っていました。
稗田は明治時代の神隠しの話をしました。すると里美も自分も16年前に神隠しにあった事を話しました。稗田と里美は村の長老である、妙ばあさんの家に行きました。妙ばあさんは神隠しは50年ごとに起こり、いつも7歳の子供がいなくなり、それはハナレの住人の仕業だと言いました。そしてハナレの住人は死なないとも言いました。二人が帰る頃、ピアノの音がしました。妙ばあさんは孫が弾いていると言いました。
翌日、神父は「渡戸村はカトリックだが、ハナレは今でも隠れキリシタンで、渡戸村から疎外されて今でも電気もガスもない」と言いました。そのころ、ハナレに通じる骨山で、十字架にはりつけられたハナレの住人の善次の遺体が見つかりました。そして渡戸村へ通じる道は、前日の大雨で土砂崩れを起こし、村は孤立しました。
奇談 キダンのネタバレあらすじ:転
神父が反対する中、善次の遺体を教会の地下に安置しました。稗田と里美は再び妙ばあさんを訪ねました。そこで稗田は妙ばあさんに、「神隠しにあって帰ってきたのは妙ばあさんだ」と言いました。そして妙ばあさんに孫が居ない事を話すと、あの娘は1836年に神隠しにあった静江だと言いました。古文書を調べると確かに静江でした。発見されたとき静江は全く話をせず、妙ばあさんが引き取ったと言う事でした。
ハナレに向かった中原巡査と神父は行方不明だった新吉を見つけました。新吉は7歳のままで何も話しませんでした。ハナレの教えを口にする新吉でしたが、妙ばあさんと静江が来ると、いなくなっていました。里美は新吉を見て、16年前、新吉に「ハナレが見たい」と言って連れて行ってもらった事を思い出しました。稗田は人間が誕生した時、知恵の実を食べたのがアダムで自分達たちの祖先、生命の実を食べたのがジュスヘルで、ジュスヘルを先祖にもつ人たちがハナレにいると言い出しました。
さらに昔、宣教師たちが日本に来ていたのは、ハナレに行くためだったとも言いました。翌日、里美、稗田、中原巡査、神父、加納の5人はハナレに向かいました。ハナレに着くと住人は重太一人でした。
奇談 キダンの結末
重太は洞窟の前に行きました。稗田が中に入りました。里美と神父が後を追いました。奥まで進むと大聖堂のようになっていました。里美は新吉とここに来て怖くなって逃げ帰った事を思い出しました。大聖堂の前に大きな縦穴がありました。縦穴の向こう側に3人の人が現れました。重太は「3人のヨハネだ」と言いました。一人のヨハネは「ここはインフェルノ(地獄)だ」と言いました。
穴の下には、うごめく無数の人間がいました。ここは生命の実を食べた先祖が作ったもので、死ねない人たちが集められていました。新吉が現れ、里美と話した後、穴の中に飛び込みました。死んだはずの善次が綺麗な体でやってきました。善次は死ねず、地獄でうごめく人たちをパライソ(天国)へ送るために、張り付けられたのでした。そして善次は両手を広げパライソへ行くぞと唱えました。穴の中から無数の人たちが天に上りました。新吉も上っていきました。
妙おばさんと静江が教会で祈りを捧げていました。すると神隠しに遭った多くの子供たちが帰って来ました。街ではパライソへ行けなかったハナレの生き残りの重太が、一人彷徨っていました。
以上、映画「奇談 キダン」のあらすじと結末でした。
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