恋文の紹介:1953年日本映画。大スター田中絹代が始めてメガホンを取った作品。丹羽文雄の小説を脚色したのは、彼女に演出を勧めた巨匠木下恵介。スター俳優が多数ゲスト出演し、その監督としての門出に華を添えた。
監督:田中絹代 出演:森雅之(真弓礼吉)、国方伝(真弓洋)、久我美子(久保田道子)、宇野重吉(山路直人)
映画「恋文」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「恋文」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「恋文」解説
この解説記事には映画「恋文」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
恋文のネタバレあらすじ:起
真弓礼吉は復員後、戦後の都市整備のせいで故郷の四日市の実家を失い、東京へ出てきました。弟の洋も一緒です。洋は古本のブローカーで生活力も旺盛ですが、礼吉の方は軍人として優秀だっただけに目標を失った形で、弟が取って来る翻訳仕事で口を糊しながら、ただボンヤリと日々を過ごしているだけです。やがて、礼吉は渋谷のハチ公前で学校時代の旧友・山路に遭遇。話を聞くと、山路はパンパンたちが軍人へ送る英語の恋文を代筆して生計を立てているのでした。山路が楽しそうに仕事をしている様子を見た礼吉は興味を起こし、自分もその手伝いをすることになります。
恋文のネタバレあらすじ:承
ようやく生活に張りが出てきた礼吉ですが、ある日休憩時間に店の奥で寝ていると、山路が相手をしている客の声が聞こえてきます。その客が出ていってから礼吉は立ち上がり、その跡を追います。渋谷駅の雑踏を抜け、相手が電車に乗ったところでようやく追いつきました。やはり、その女性は礼吉の幼馴染である道子でした。2人は神社の境内まで黙って歩いていきます。昔、彼らは密かにお互い好意を抱いていましたが、親の反対で結ばれず、道子は別の男性と結婚してしまいました。式の前夜に道子は礼吉に手紙を寄こし、その真情を吐露。以来、礼吉は彼女の写真とその手紙をずっと手元から離したことはないのです。
恋文のネタバレあらすじ:転
行方知れずになっていた道子に会えたのは嬉しいのですが、夫の戦死後、彼女がパンパンになっていたことは礼吉にとっては大きなショックでした。自分を待ってくれなかった彼女に対し、礼吉はつい冷酷な言葉を投げつけ、境内からさっさと立ち去ります。弟の洋は、礼吉が毎晩泥酔して帰宅するため、心配して山路のところへ。ちょうど道子から礼吉あての手紙が届いていたため、事情を知ります。ウジウジと悩んでいる兄の様子にしびれを切らし、直接道子に会いにゆき、2人が再び会うように手配を整えるのです。
恋文の結末
しかし、礼吉はその待ち合わせ場所に現れません。仕方なく道子は洋とともにそこを出て夜の公園を歩きますが、そこでパンパンたちにまるで親しい仲間のような顔をされます。道子はそれまで「進駐軍の事務員をしていた時、あるアメリカ人と親しくなっただけで、売春などしていない」という説明をしていましたが、パンパンたちの彼女に対する様子を見た洋は疑惑を覚えます。洋にまで不信感を持たれた道子は絶望。自らそばを通っていた車に身を投げます。山路に説得されて道子に会う気になっていた礼吉はその知らせを聞き、タクシーで病院に向かいます。彼は今までの自分の態度を反省。彼女を受け入れる気持ちになっていました。道子が助かるかどうかは分かりませんが、もう礼吉が彼女のそばを離れることはないでしょう……。
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