朱雀門の紹介:1957年日本映画。川口松太郎の『皇女和の宮』を原作とする秘められた三角関係のメロドラマ。一度は婚約しながら公武合体のために仲を引き裂かれた和の宮と有栖川宮熾仁親王。そして和の宮の侍女も親王を思い慕う。
監督:森一生 出演者:若尾文子(和の宮)、市川雷蔵(有栖川宮熾仁親王)、山本富士子(夕秀)、東野英治郎(態の倉)、柳永二郎(竜安)その他
映画「朱雀門」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「朱雀門」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「朱雀門」解説
この解説記事には映画「朱雀門」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
朱雀門のネタバレあらすじ:起・和の宮と夕秀
幕末、孝明天皇の妹である皇女和の宮と有栖川宮家の若宮、熾仁親王との婚約が決まる。和の宮の侍女の夕秀も家女房として和の宮に付き従うことになっていた。生れる前に父を亡くした和の宮と幼いころに母を亡くした夕秀は桂御所で一緒に育って仲良しだった。
だが夕秀の父、陰陽師・熊の倉は若宮を見て夕秀に、若宮と和の宮が結ばれることはないと断言する。夕秀が家女房になるという和の宮に、若宮は家女房などいらない、愛する和の宮がいればよいと言う。妻に子ができぬ時に世継ぎを産むのが家女房の役割だった。
朱雀門のネタバレあらすじ:承・引き裂かれる和の宮と若宮
謎の僧、竜安が夕秀の前に姿を現すようになる。夕秀に竜安は野心家の熊の倉がある画策をしていることを告げる。熊の倉は京都所司代と朝廷の発言権拡大を狙う岩倉具視の間を取り持ち、和の宮を将軍家茂の正室にすることを企らんでいた。天皇は幕府の請願を一度は却下するが、熊の倉たちは幕府の金力に物を言わせる。公家たちが取り込まれていく。天皇もついに和の宮降嫁の勅諚を出す。
夕秀は密かに若宮に会い、彼女自身の若宮への思いを隠して、和の宮と逃げるように言う。ある雨の日、伏見の乳母の家で若宮は和の宮を待つが、和の宮と夕秀は途中の道で捕らえられる。熊の倉が娘の動きを察知していたのだ。和の宮は御所に戻され、夕秀は責任を取って暇を出される。
朱雀門のネタバレあらすじ:転・二人の父
夕秀が熊の倉に引取られる途中、熊の倉の籠が勤王浪士に襲われる。瀕死の熊の倉を竜安が助ける。熊の倉は夕秀に、自分のように野心をもち、若宮を奪い取れと言い、竜安には夕秀を返すと言い残して息絶える。熊の倉と竜安は友人だったが、夕秀の母を竜安から熊の倉から奪ったという過去があった。
傷心の若宮は宇治の竜安の元に隠棲し、夕秀が彼の面倒を見る。やがて彼女の思いは通じ若宮と結ばれる。それは和の宮も知るところとなった。和の宮はついに降嫁を承諾する。
夕秀は和の宮降嫁の行列を追う。若宮が和の宮への思いをこめた歌を密かに和の宮に手渡して返事の歌をいただいたところで見つかってしまう。追手に追われた夕秀を竜安が救った時、はじめて夕秀は竜安を父と呼ぶ。竜安こそは彼女の実父だった。
朱雀門の結末:三人の再会
月日は流れる。和の宮が嫁いだ将軍家茂は亡くなっていた。官軍は幕府を討伐するために東へ進んでいた。若宮はその軍の大総督となっていた。江戸城では和の宮は病を得ていたが、将軍慶喜に頼まれ、事態の平和的解決を求める手紙を若宮宛に書く。和の宮の使いの女中は門前払いされかけるが、夕秀によって若宮の前に通される。若宮は返事を書くことはできず、ただ和の宮への「生き長らえよ」ということばを託す。
竜安の知らせで和の宮の病が重いことを知った夕秀と若宮は、上野の戦いに官軍が勝利する頃、江戸城を出て仮住まいの身の和の宮をやっと訪れることができる。和の宮は若宮の前で息を引き取る。
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