水の記憶の紹介:2015年ドイツ, スペイン, アルゼンチン, チリ映画。幼い息子を亡くしてしまったハビエルとアマンダは、悲しみを二人で乗り越えるのではなく、夫婦関係も家もご破算にし、それぞれ新しい生活の中で息子が死んだという事実に向き合おうとする…。
監督:マティアス・ビセ 出演:エレナ・アナヤ、ベンハミン・ビクーニャ、ネストル・カンティリャナ、セルヒオ・エルナンデス、シルビア・マルティ、エティエンヌ・ボベンリエス、アントニア・セルヘス、パブロ・セルダ
映画「水の記憶」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「水の記憶」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「水の記憶」解説
この解説記事には映画「水の記憶」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
水の記憶のネタバレあらすじ:起・癒えない息子の死
息子のペドロを亡くしたハビエルとアマンダ。一緒に乗り越えようと言うハビエルに対し、アマンダは終わりにしたいと言って、家族で住んでいた家を出て行った。そんなアマンダにハビエルは、気が向いたら迎えに行くから南へ旅をしようと言った。
建築関係の仕事しているハビエルは、カップルのための新しい家の建築を始め、その注文を聞きながら、プールが欲しいという要望に手をとめるが意見はしなかった。
大学で講義通訳として働くアマンダは、大学で働くマルコスから好意を持たれてアピールをされていた。友人宅のパーティーでアマンダに再会したハビエルは、家を売りに出した事を話し、マルコスと親密な様子に、彼女が昔の恋人とヨリを戻したと思った。
水の記憶のネタバレあらすじ:承・ハビエルの父
アマンダの荷物を運び出し、自分の荷物も運び出したハビエルは、最後にいらない物を道路に置き、父親に会いに行った。父親はパソコンが壊れてしまった事をハビエルに話し、インターネットは使えなくてもいいけれど、写真が惜しいとだけ言って、新しいパソコンを勧めるハビエルを止め、一緒に旅をしようと言った。
骨組みの完成した家に、カップルは天窓を作るかどうか悩んでいた。一方、ハビエルとアマンダは二人で過ごした家の譲渡の手続きを完了し、カフェに入った。そこでハビエルがアマンダの手を握ろうとするとアマンダはマルコスがいるから駄目だとはっきり断った。
その夜、ハビエルは憂さを晴らすためにディスコへ行き、行きずりの女性と関係を持った。
水の記憶のネタバレあらすじ:転・アマンダの事故
講義通訳の最中に溺死のメカニズムについて通訳していると、息子のことがよぎり泣き出してしまったアマンダは、その帰り道にスピードを出し過ぎて事故を起こしてしまった。車は駄目になり重傷も負ったが、命に別状はなかった。
駆け付けたハビエルがアマンダには抗生物質のアレルギーがあると伝えようとすると、マルコスが既に彼女が自分で申告していた。事故について詳しく聞いたハビエルは、スピードを出すなんて彼女らしくないというと、アマンダは変わって新しい人生を歩もうとしているのだと、同席していた同僚が言った。
水の記憶の結末:雪の降る日に
仕事をしていると雪が降り出した事に気づいたハビエルは、アマンダの職場まで車を走らせ、そのまま二人は海辺のロッジへ向かった。夜になると隣へやって来た若者たちに混じって騒いだ二人は、ヨリを戻したように思えたが、朝になると、アマンダがいなくなっていた。
森の中まで探しに来たハビエルに、子供を持つ前の記憶を思い出すのは息子ペドロの存在を消す事と同じ、もし心の中にペドロがいるというのなら、居場所を教えて欲しいと訴えた。そして、息子の死は、あの時電話に目を離してしまった自分に罪があるけれど、その状況を作った他の皆にも罪があり、悪くないのはペドロだけだと言った。
ハビエルは、思い出は残る、息子は亡くしてしまったが、自分まで失うな、一緒に生きて行こうと励まそうとしたが、アマンダはサンティアゴに帰ると決めていた。
空港でアマンダを送ったハビエルは、父親に、南へ旅に出ようと電話をかけた。
以上、映画「水の記憶」のあらすじと結末でした。
水の記憶のレビュー・考察:反比例していくハビエルとアマンダ
物語は、母アマンダが家を出ようとするところから始まる。話の中で、彼らの息子の名前や四歳でプールで亡くなっただろう事、が少しずつ明かされていく。皮肉にも二人が息子を亡くし夫婦であることを止め、家を譲渡する過程で、ハビエルの手掛ける別のカップルの家が出来て行く。そして、ハビエルの父は、パソコンを新しくしたくはないが、ペドロの写真は惜しいと言う。心の中にいるのなら居場所を教えてと言うアマンダの言葉に対して、壊れかけのパソコンの写真フォルダが、パソコンと言う無機質な場所かもしれないが、居場所として一つ答えを出しているようにも見えた。
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