ラヴィ・ド・ボエームの紹介:1992年フィンランド映画。アンリ・ミュルジェールの小説『ボヘミアン生活の情景』を映画化。3人の売れない芸術家達のボヘミアンな生活を綴るドラマ作品。画家のロドルフォは作家マルセル、作曲家ショナールと奇妙な縁から共同生活を送ることになった。独自の芸術を突き詰める彼らはなかなか評価を受けられず、困窮の日々が続いている。そんな中、ロドルフォは偶然知り合った女性ミミと恋に落ちるが、貧しさは2人の間にも影を落としていくのだった。1992年のベルリン映画祭で国際批評家賞を受賞。
監督:アキ・カウリスマキ 出演者:マッティ・ペロンパー(ロドルフォ)、アンドレ・ウィルム(マルセル)、カリ・ヴァーナネン(ショナール)、イヴリーヌ・ディディ(ミミ)、ジャン=ピエール・レオ(ブランシュロン)ほか
映画「ラヴィ・ド・ボエーム」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ラヴィ・ド・ボエーム」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「ラヴィ・ド・ボエーム」解説
この解説記事には映画「ラヴィ・ド・ボエーム」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ラヴィドボエームのネタバレあらすじ:売れない芸術家
舞台はフランス、パリ。作家のマルセルはあまりにも長い戯曲を出版社に持ち込み、すげなく追い払われて荒んでいました。作家として全く評価されていない彼は、家賃を3ヵ月も滞納したことで立ち退きを命令されてしまいます。金が無いマルセルは滞納分の家賃を踏み倒し、家具を残したまま逃げ出しました。
なけなしの金でレストランに入ったマルセルは、相席した画家ロドルフォと芸術談義に花を咲かせます。ロドルフォはアルバニア人で、3年ほどパリに住んでいました。閉店まで話し込んだ後、マルセルは立ち退きを命令されたにも拘らずロドルフォを連れてアパルトマンに帰ります。
しかし部屋には、すでに次の入居人が居座っていました。彼の名前はショナール、作曲家です。荷物はピアノだけで、他はマルセルの家具を勝手に使っていました。家具は持っているけれど部屋の無いマルセルと、その逆のショナール。ロドルフォが話し合いを提案すると、売れない芸術家3人はすぐに意気投合して、共同生活を送ることになりました。
ラヴィドボエームのネタバレあらすじ:ミミとの出会い
ある夜、絵の具を買って帰宅したロドルフォは、隣室のドアの前で座り込んでいる女性を見つけ驚きます。彼女の名前はミミ。田舎からやって来たばかりで、友人を頼ろうとしたものの留守だったので困り果てていました。自分の部屋にミミを泊めてやったロドルフォは、墓地で一夜を明かします。朝になって部屋に戻ると、ミミは感謝の手紙を残していなくなっていました。
マルセルは創刊するモード誌の編集長を決める面接を受けるべく、黒の上着を探します。しかし上着はロドルフォが絵の具で汚してしまいました。そこへ黒い上着を着た砂糖工場主ブランシュロンがやって来て、ロドルフォに肖像画を依頼します。マルセルは預かるという名目で首尾よく上着を手に入れ、無事面接に合格しました。「虹の帯」という雑誌の編集長を任されたマルセルは、貧乏から脱却するため一生懸命働くと意気込みます。
創刊の資金が手に入ったため、3人は高級レストランで食事することにしました。ロドルフォは偶然立ち寄ったバーで、店員として働くミミと再会。彼女の仕事が終わるのを待って部屋に誘いました。部屋の窓から外を眺めるミミに、ロドルフォはキスをします。
ラヴィドボエームのネタバレあらすじ:突然の別れ
翌日。ロドルフォはブランシュロンに完成した絵を渡し、金を手に入れました。上着を買って髪を整え、夜にミミとレストランへ出かけます。ロドルフォは一緒に暮らそうとミミを口説きました。完璧なデートのはずでしたが、会計になってロドルフォは財布が無いことに気付きます。実はレストランに到着する前、電車の中で盗まれていたのです。レストラン側が警察に通報し、ロドルフォはパスポートを提出させられました。そして不審な点があるからと連行されてしまいます。実はロドルフォ、フランスに3年も不法滞在していたのです。
翌朝、ロドルフォはアルバニアに強制送還されることになりました。ミミの職場に電話をしますが、彼女は残念ながら出勤前で連絡が取れません。ロドルフォはマルセルに事の次第を連絡し、絵と飼い犬を頼むと言いました。マルセルとショナールは肩を落としながらロドルフォの部屋を片付けます。そこに何も知らないミミがやって来ました。マルセルから強制送還のことを聞かされたミミは、しばらく空っぽの部屋で立ち尽くしていました。
ラヴィドボエームのネタバレあらすじ:貧困
季節は巡り、春。「虹の帯」の事務所で働くマルセルとショナールのもとへ、ロドルフォから連絡が入ります。どうやら再びフランスに密入国するつもりのようです。マルセルとショナールはすぐに国境へ向かい、ロドルフォと再会しました。パリに戻ったロドルフォはまずミミの職場を訪ねますが、彼女は仕事を辞め、裕福な恋人と暮らしていると聞かされます。ロドルフォがミミの前に姿を現すと、彼女はロドルフォを選んで一緒に住むようになりました。
ロドルフォは以前と変わらず絵を描き続け、コレクターになったというブランシュロンがパトロンになってくれます。しかし生活は一向に楽になりません。マルセルは、女性に貧乏暮らしをさせるのは酷だと分かっていました。そこでいまだに売れない芸術家3人は、それぞれの恋人を連れてピクニックへ向かいます。ささやかながら幸せな時間を過ごす3組のカップル。しかし相変わらずロドルフォの絵は売れず、「虹の帯」は読者からの苦情でついに廃刊する羽目になってしまいました。それでもロドルフォ達はそれぞれの芸術を信じ、生活を顧みずに金を使います。マルセルの恋人は貧しい暮らしに耐えられず、ついに故郷に帰ってしまいました。ミミも限界を感じ、ロドルフォのもとを去ってしまいます。
ラヴィドボエームの結末:別れの春
季節は秋。恋人に去られたロドルフォ達は、意気消沈の日々を送っていました。そんなある夜、ミミがふいにロドルフォを訪ねて来ます。通りかかったからと話す彼女は酷い熱がありました。ミミは不治の病に冒されていたのです。ロドルフォは急いでミミを入院させますが、既に手遅れだと診断されてしまいました。しかも高い入院費が必要と言われ、ロドルフォ達は手段を選ばず金を作ります。ロドルフォは絵を、マルセルは本を、ショナールは車を売り払ってミミのために金をかき集めました。
やがてパリに春がやって来ました。病院のベッドに横たわるミミは、力なく春の景色を眺めます。そしてロドルフォに花を摘んで来てくれるよう頼みました。ロドルフォが病室に戻った時、ミミは既に息を引き取っていました。ロドルフォはマルセルとショナールにミミの死を伝え、「1人にしてくれ」と呟きます。歩き出したロドルフォの背中が遠ざかる中、この映画は終わりを迎えます。
以上、映画「ラヴィ・ド・ボエーム」のあらすじと結末でした。
この映画の感想を投稿する