ヒトラーの忘れものの紹介:2015年デンマーク,ドイツ映画。第二次世界大戦後のデンマーク。元ナチス・ドイツ軍の少年兵たちが、ドイツ軍の埋めた地雷の撤去作業に駆り出される。幼い子供たちに戦争の後片付けをさせることに葛藤する指揮官と、命がけで地雷の撤去をする少年兵たちの物語。
監督:マーチン・サントフリート 出演:ローランド・ムーラー(ラスムスン軍曹)、ミケル・ボー・フォルスゴー(エベ大尉)、ルイス・ホフマン(セバスチャン・シューマン)、ジョエル・バズマン(ヘルムート・モアバッハ)、レオン・サイデル(ヴィルヘルム・ハーン)、エミール・ベルトン(エルンスト・レスナー)、オスカー・ベルトン(ヴェルナー・レスナー)、ほか
映画「ヒトラーの忘れもの」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ヒトラーの忘れもの」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ヒトラーの忘れものの予告編 動画
映画「ヒトラーの忘れもの」解説
この解説記事には映画「ヒトラーの忘れもの」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ヒトラーの忘れもののネタバレあらすじ:起
第二次世界大戦が終わり、デンマークの海岸にはナチス・ドイツ軍が埋めた150万もの地雷が残されたままになっていました。元ナチス・ドイツ軍に属していた捕虜の少年14名は残された地雷を撤去するために強制的に地雷の知識をエベ大尉(ミゲル・ボー・フルスゴー)から教育されますが、その訓練中に一人が爆死します。教育を終えた少年たちはデンマーク人の軍曹・ラムスン(ローラン・モラー)が指揮をとる海岸地へと移動し本格的に地雷の撤去作業が始まります。戦争によってドイツ軍に深い怒りと憎しみを持つラムスンは少年たちに厳しく当たり、食事も満足に与えず地雷の撤去をひたすらさせます。少年兵のセバスチャン(ルイス・ホフマン)はドイツに帰ったら何をしたい?と仲間たちと話をし、辛い作業を乗り越えようとしていましたが、同じく少年兵のヘルムート(ジョエル・バズマン)は帰ることなどできない。とすでに諦めていました。双子のレスナー兄弟の兄ヴェルナー(オスカー・ベルトン)と弟のエルンスト(エミール・ベルトン)もいつか帰れることに希望を見出しながらつらい作業に耐えていました。
ヒトラーの忘れもののネタバレあらすじ:承
丸二日食事を与えられず、ラムスン軍曹の厳しい態度が続きます。空腹の中で体調不良になった一人の少年が撤去作業中に嘔吐し、地雷を爆発させてしまいます。両手を失った少年は「ママ助けて!国に帰りたい!」と叫びながら助けを呼びます。セバスチャンが救出に向かいますが他の少年たちは動揺して動くこともできずただただ少年が泣き叫ぶのを見つめていました。少年は医療班へと運ばれていきましたがその姿は少年たちとラムスン軍曹に大きなダメージを与えました。次の日、少年たちは次々と嘔吐しました。空腹に耐えかねたヘルムートが近所の農家から家畜の餌を盗み、他の少年たちもそれを食べたために食中毒になってしまったのです。ただ一人、セバスチャンだけは餌をもらえず、食中毒にかかっていませんでした。農家に住む女性は少年たちが食中毒にかかったと聞いて「ドイツ兵に仕返しができた。いい気味だ」と笑います。苦しむ少年たちと仲間を介抱するセバスチャンの姿を見て、ラムスン軍曹は思い悩み少年たちのために食料を手配し、食事の時間をきちんと与えることにしました。
ヒトラーの忘れもののネタバレあらすじ:転
毎日の過酷な作業の中でも国に帰る日を夢見ている少年たちのまっすぐな姿はラムスン軍曹の怒りを少しずつ溶かしていきます。ラムスン軍曹が少年兵との距離を縮め、食事を与えているということに不信感を抱いたエベ大尉や他の軍人たちが少年兵たちにいやがらせをします。それでもラムスン軍曹は日に日に少年たちに優しく接するようになります。ある日二つに重なった地雷でレスナー兄弟の兄ヴェルナーが爆発に巻き込まれます。ヴェルナーの体はどこに飛ばされたのかわからなくなってしまいます。弟のエルンストはいなくなった兄を探そうとして錯乱状態になり、その日以降ふさぎこんでしまいます。また一人仲間の兵士を失った悲しみを癒すためにラムスン軍曹は一日休日を定め、地雷を除去した砂浜で少年たちとサッカーを楽しみました。いつもは緊張感に包まれている少年たちもラムスン軍曹も笑顔で一日過ごしました。しかしラムスン軍曹の愛犬が砂浜で地雷を踏んで爆死してしまいます。地雷を除去したはずの場所にまだ地雷が残っていたのです。それをきっかけにまたラムスン軍曹と少年兵たちの距離が広がってしまいます。
ヒトラーの忘れものの結末
ある朝、農家に住んでいる少女が地雷だらけの砂浜に入り込んでしまい、食中毒事件の時にいい気味だと言っていた母親が少年兵たちに助けを求めます。セバスチャンが一歩一歩慎重に地雷を取り除きながら少女に近づきますが、いつ爆発するかもわからずみんなはその様子を見守ります。そこへ双子の弟エルンストが現れ少女を助けてくれました。しかし、兄を失った悲しみを乗り越えられなかったエルンストは地雷の上を自ら歩き、自殺してしまいます。国に帰れると信じ続けていたセバスチャンにもこの出来事はショッキングで諦めの気持ちが出てきます。ラムスン軍曹はそんなセバスチャンを励まし、必ず国に帰してやると約束をします。地雷の撤去もあと少しというところで少年たち数名を巻き込んだ大爆発が起こります。14名だった少年兵はセバスチャンとヘルムートを含めてたったの4人になっていました。彼らとラムスン軍曹の心はもうぼろぼろでした。エベ大尉は4人を別の地雷現場へと向かわせようとしますが、ラムスン軍曹は4人を連れ出してドイツの国境付近まで連れて行きます。4人は国境までの道を必死に走りました。セバスチャンも振り返りながら国境へと向かいます。ラムスン軍曹は故郷に向かって走る少年たちの背中をじっと見つめているのでした。
ドイツ軍が埋めた地雷を元ナチス・ドイツ軍の少年兵士たちが除去していきます。その途中に命を落とす子もいて、見ていて心が痛くなってしまいました。しかし最初は厳しかった指揮官が、次第に少年兵たちを思いやるようになっていき、最後は国境付近で逃がしてくれました。最後どうなったか描かれてはいませんが、無事に国境を越えて欲しいと思いました。