息子のまなざしの紹介:2002年ベルギー,フランス映画。オリヴィエが木工を教えている職業訓練所に新しい生徒がやってきた。始めはクラスに受け入れることを拒否しつつも少年を気に掛けるその理由とは。
監督:ジャン=ピエール・ダルデンヌ、リュック・ダルデンヌ 出演:オリヴィエ・グルメ(オリヴィエ)、モルガン・マリンヌ(フランシス)、イザベラ・スパール(マガリ)、ナッシム・ハッサイーニ(オマール)、クヴァン・ルロワ(ラウル)、フェリシャン・ピッツェール(スティーヴ)、レミー・ルノー(フィリポ)、ほか
映画「息子のまなざし」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「息子のまなざし」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
息子のまなざしの予告編 動画
映画「息子のまなざし」解説
この解説記事には映画「息子のまなざし」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
息子のまなざしのネタバレあらすじ:起・訓練校の新入生
オリヴィエの働く職業訓練所に新しい生徒がやってきた。その志望動機の書類を見た彼は自分の受け持つ木工のクラスは手一杯だからと一度は断った。しかしその少年が気になって仕方がない。同じ日、オリヴィエが帰宅すると、別れた元妻が訪れ、結婚と妊娠の報告に来た。オリヴィエはなぜか、どうして今日それを報告しに来たのかと怒り半分に彼女に問うが、偶然都合がついた以外の理由はなかった。 翌日からオリヴィエは件の少年の事が気になり、彼が入った溶接のクラスの様子を窺ったり、少年たちの食堂の厨房で昼食を採りながら中を窺った。そして、溶接には向かないと言う彼を自分の木工クラスに迎え、一から教えることにした。
息子のまなざしのネタバレあらすじ:承・出所した少年
ある日、クラスの最中に外に出る用事が出来たオリヴィエは、少年のロッカーから家の鍵を取り、以前後をつけて知っていた彼のアパートを訪れた。その部屋は殺風景で、ある物はベッドと椅子の上に乗せられたラジカセくらいだった。 オリヴィエは元妻の働くガソリンスタンドのマーケットに寄り、自分たちの息子を殺した少年が出所したと伝えた。なぜそのことを知ったのかと妻に問われ、自分の勤める職業訓練校の書類に書いてあったと明かした。オリヴィエが隠れて後をつけ、木工を教えている少年は、かつてオリヴィエの息子を殺した少年だった。
息子のまなざしのネタバレあらすじ:転・更生の糸口
ある日、少年が自分の道具箱を作るために居残りをする中オリヴィエが週末の予定を尋ねると、何もないと言った。家族について聞くと、母親の所へは彼女の恋人から嫌われているので帰れない、父親の居所ははなから知らないと言った。そしてオリヴィエが帰りに送って行こうと車に乗せて行こうとすると、駐車場に来ていた元妻がやって来てこのこの少年が件の彼なのかと半狂乱に陥った。オリヴィエは彼女を落ち着かせ、休日に兄弟の製材所に木材の勉強もかねて木工材料を取りに行くのに着いてこないかと彼を誘った。
息子のまなざしの結末:オリヴィエの追求
製材所に行く途中、車の中で、オリヴィエは少年から5年間少年院にいた事、11歳の時に犯罪を犯したことを聞き出した。しかし彼は物を盗んだという事しか言わず、人を殺したことは言わなかった。途中、腹ごしらえをしていると、少年はオリヴィエに後見人になってくれないかと頼んで来た。彼は少年院の関係者ではなく仕事を教えてくれる外の先生であるオリヴィエに頼みたいのだと言った。するとオリヴィエはまた車の中で、後見人になるなら知らないといけないと言って少年から盗みを働いた時に人を首を絞めて殺してしまった事を聞き出した。そして、持ち帰る木材を裁断しようと言う時、オリヴィエは少年が殺したのが自分の息子だと言った。少年は驚いてその場を逃げ出した。オリヴィエが何もしない、話をしたいと言っても、嘘だと言って聞かずに森の中へ逃げた。そんな彼を捕まえたオリヴィエは、転んだ少年の首元に一瞬手を置いてしまった。そして、少年を追うのをやめ、持ち帰る木材を淡々と荷台に積む作業を一人で続けた。最後の木材を積む時、森の中に隠れていた少年が無言のまま戻り、オリヴィエが木材を積むのを無言のまま手伝い始めた。
以上、映画息子のまなざしのあらすじと結末でした。
息子のまなざしのレビュー・考察:沈黙の語るもの
主人公のオリヴィエは多くを語ることはない。彼が息子を殺した少年に対して何を望んでいるのか明言もされていない。少年に対しても接する時は教師然としていて、特別つらく当たると言うわけでもない。かといって特別何かの情けをかけているかと言えば、そう言うわけもない。製材所へ向かう道中で、少年院にいた理由を聞きだした時に、一瞬だけ声を荒げて「人殺し」という言葉を吐いてしまった所でオリヴィエの中でつかえていた物は取れ得てしまったような気がする。だからこそ少年の殺したのが自分の息子だと言ったあと、逃げた少年に話がしたいと言えたのだと思う。許しも救いも作中には明言されていない。けれど、森の中へ逃げていた少年がオリヴィエの元に戻り、荷積みを手伝うと言うラストに、これからの希望を感じる。
この映画の感想を投稿する