髪結いの亭主の紹介:1990年フランス映画。とある街角の床屋で、思い出にふける男。彼の胸に去来するのは初恋の床屋の夫人と妻マチルド。アントワーヌの切ない語りが始まる。
監督:パトリス・ルコント 出演者:ジャン・ロシュフォール(アントワーヌ)、アンナ・ガリエナ(マチルド)、ロラン・ベルタン(アントワーヌの父)、フィリップ・クレヴノ(モルヴォワシュー(常連客))、ジャック・マトゥー(妻にぶたれる男)ほか
映画「髪結いの亭主」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「髪結いの亭主」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
髪結いの亭主の予告編 動画
映画「髪結いの亭主」解説
この解説記事には映画「髪結いの亭主」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
髪結いの亭主のネタバレあらすじ:初恋は髪結い
バリカンを手にして自分の髪を刈るアントワーヌの思い出話はノルマンディーでのバカンスの事。彼は母親が作ってくれるサクランボの飾りのついた毛糸の水着が苦手だった。町に戻ると、アントワーヌの楽しみは美人のシェーファー夫人の床屋へ行く事。彼女は独り身。彼は夫人の香りが好きで、シャンプーされている間、妄想を膨らませる反面、夫人とはいたって普通の学校の話をした。とある暑い日、開いたシャツの合間から初めて覗いた乳房にショックを受けたアントワーヌは。食事の際、将来何になりたいと質問する父に。女の床屋さんと結婚すると宣言、途端に殴られた。そんな彼は床屋の待合から、妻を見つめてた。妻、マチルドは、理髪師イジドールから三軒のうちひとつを譲りうけた。彼らの出会いは、飛び込みで訪れたアントワーヌは予約制で30分後と彼女から門前払いされてしまうが、それは彼女なりの予防線だった。人生で愛する二人目の理髪師、アントワーヌは彼女を伴侶とするために彼女の元を何度も訪れた。彼の初恋のシェーファー婦人は、ある日床屋へ行くと、倒れており、鎮痛剤の飲みすぎによるものとされた。(おそらく自殺)
髪結いの亭主のネタバレあらすじ:アントワーヌの叶えられた夢
ある日アントワーヌは、マチルドに結婚を申しこむが、無反応を返されてしまう。彼女が気になって仕方ないアントワーヌは夜、彼女が見せの上のアパルトマンに戻るのを見る。 アントワーヌの中にあるノルマンディーの思い出の中に、重機を操る大人に頼んで海に堰を作れたように、いつか願いが叶うという思いがあった。三週間もう一度来ると、この間はからかったの?とマチルドは言い、彼の言葉に心が動いたと告白し結婚を承諾ひた。アントワーヌの父は床屋と結婚すると知ると、心臓麻痺で死んだ。母は喪中で来なかった。マチルドには家族がおらず。結婚祝に来たのはイジドールと、兄夫婦だった。母親からは子供の頃の写真を贈られる。店で結婚式をしているとは思わずに、髭を剃りにお客が来る。マチルドは快くウェディングドレスのまま剃った。客が帰るとアントワーヌはアラビアンな音楽をかけマチルドと踊った。二人は永遠に幸せだと思っていた。そして故郷ノルマンディーの海を見せたくて、新婚旅行をした。
髪結いの亭主のネタバレあらすじ:マチルドの元を訪れる客
アントワーヌがシャンプーをしてもらっていると、忙しない客がやってきて、勝手に鏡の前に座った。その男を追うように男性専門なのに女性が入ってきた。その客の妻で、夫は殴られた。毎日色んな客を見ているせいか、マチルドは愛してるフリだけはしないでとアントワーヌに言った。ある日、髪の毛伸び放題の嫌がる男の子を無理矢理母親が連れて来た。何とか逃げようとする少年をなだめるように、アントワーヌは音楽を掛け少年の前で奇妙なダンスを始めると少年は釘付け、その間に散発は終わった。彼をつれてきた母親は、少年が養子だと打ち明け、アントワーヌとマチルドに子供がいないと知ると、養子を迎えるのだけはやめなさいと忠告した。二人にはそんな予定はなく二人が幸せならそれでよかった。客が帰るとマチルドは店で踊りながら、アントワーヌに、しっかりと抱いて、放さないで、お願いと懇願した。彼ら二人の間に喧嘩は10年に一度だった。それは待合の客の話にアントワーヌが皮肉で返すと、髪を切るのを途中でやめられるというものだった。その夜に店で煙草を吸っていると妻が下りてきて夜の床屋で一緒に煙草吸い、さっきはごめんと仲直りをした。そして、店のオーデコロンでカクテルを作りはしゃいだ。二人が離れる時は死ぬ時。そんな二人を少年時代のアントワーヌが見ていた。翌朝、床を片付けていると以前奥さんに殴られたゴラ氏やってくる。妻は出て行き、今日は子供たちを見せに来ただけっだった。
髪結いの亭主の結末:マチルドが求めた幸せ
夕立が来そうな空模様で、案の定、夕立が来た。雷が鳴り、店の中で二人はしばし抱き合った。しかしマチルドは唐突に買い物してくるといって雨の中を出て行き。運河の濁流に身投げした。遺書には、愛していたのはアントワーヌだけで、不幸になる前に死ぬ。不幸になるくらいなら死を選ぶ。と言う内容が綴られていた。アントワーヌは妻のいなくなったカウンターを見、待合のテーブルでクロスワードを説く。そこへ客が来たので、適当に髪を洗った。その客にアラビア風のダンスを教えてもらい、カット台に座らせると、そのうち家内が戻りますからと言った。
以上、映画 髪結いの亭主のあらすじと結末でした。
髪結いの亭主のレビュー・感想:思い出はいつまでも美しいまま。
アントワーヌの話は、子供の頃の話しも、マチルドとの話もすべて思い出話として、進められる。思い出として語る時、そこにはアントワーヌの主観が入る。例えば、彼が目撃したのはシェーファー夫人の死体だが、それが死体であるよりも、夫人の艶かしい生脚が残る。それは見る側が少年アントワーヌの目を通して追体験をしているからに他ならない。マチルドに対しても同じく、彼女がいささか情緒不安定気味だったであろう事は容易に想像できるが、そのような場面は数えるほどで、もっぱら印象に残っているのは、アントワーヌの目を通してみたマチルドの姿や表情、そのどれもが美しい。美化されているとは言わないが、アントワーヌの思い出の中で、二人の理容師は美しい姿をとどめたままだろう。
「髪結いの亭主」感想・レビュー
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なんというか、子供の頃からの憧れであった「髪結いの亭主になる事」が、マチルドと結婚してしまった時点からしばらくの生活で、アントワーヌの夢は叶ってしまったのでは?
つまり、彼の幸せは頂点を迎えた。
しかし、マチルドの方はどうでしょうか。結婚して幸せな生活が始まったのは良いが、それがいつまで続くかもわからない不安。
自身もこれから老いていき、これからもアントワーヌが自分を愛してくれるかの、不安。それがその後の自殺に繋がった?(少し情緒が不安定な女性でしたし)男女の恋に対する感覚の違いを、描いている作品ではないでしょうか。
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最後のダンスは、今の彼は妄想で生きているのではないでしょうか
多くは語られないものの、魅力がたくさん詰まった映画です。
アントワーヌの不思議なダンスや、マチルドの息を呑むような美しさだけでも見ごたえはあります。
幸せであるがゆえに終わりを考えて怖くなる気持ちはわかるけど、マチルドの身勝手な死を受け入れらずに生活していくアントワーヌのことを考えると悲しくなりました。