ブロンテ姉妹の紹介:1979年フランス映画。野心家のシャーロット。荒野をズボン姿でさまよう、個性の強いエミリー。家族の運命を静かに見つめるアン。女性の活躍が制約されていた19世紀前半のイギリスでブロンテ三姉妹が短い生涯のうちに遺した著作は大きな光彩を放つ。そして彼女たちには、大望を抱きながら酒とアヘンに身を持ち崩した兄弟、ブランウェルがいた。三姉妹役はマリー・フランス・ピジェ、イザベル・アジャーニ、イザベル・ユペール。『ランデヴー』、『野性の葦』等のアンドレ・テシネが資料に忠実に姉妹の生涯を映画化。ただし台詞は全編フランス語。撮影監督のブルーノ・ニュイッテンがイギリス・ヨークシャー地方の荒涼としたたたずまいをフィルムに定着させている。『バリー・リンドン』の原作者である作家サッカレーとしてフランスの批評家・思想家ロラン・バルトがカメオ出演していることでも知られる映画。
監督:アンドレ・テシネ 出演者:イザベル・アジャーニ(エミリー・ブロンテ)、マリー=フランス・ピジェ(シャーロット・ブロンテ)、イザベル・ユペール(アン・ブロンテ)、パスカル・グレゴリー(ブランウェル・ブロンテ)、パトリック・マギー(パトリック・ブロンテ)ほか
映画「ブロンテ姉妹」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ブロンテ姉妹」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ブロンテ姉妹の予告編 動画
映画「ブロンテ姉妹」解説
この解説記事には映画「ブロンテ姉妹」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ブロンテ姉妹のネタバレあらすじ:4人の肖像画
18世紀前半、ヨークシャー州ハワースの牧師の息子、ブランウェルは姉のシャーロット、彼自身、妹のエミリーとアンの4人の姿をおさめた肖像画を完成させ、家族に見せる。父は一家からアーティストが出たと喜ぶ。ブランウェルは年長の彫刻家レイランドの知己を得て、彼に学びアーティストとしての成功を望むが、夜遊びを覚え酒場で過ごすようになる。
一方、ブランウェルも姉妹三人も文学の創作を試みていたが、姉妹にとって女性の活躍の場は限られていた。シャーロットは有名詩人に男名の偽名で詩を送る。返事の手紙で詩そのものは高く評価されるが、あなたは女性だから詩は趣味にとどめておくようにと忠告される。
ブロンテ姉妹のネタバレあらすじ:留学と就職
シャーロットとエミリーは伯母を説得し、二人が語学学習のためにブリュッセルの学校で学ぶための費用を出させる。だが、ブリュッセルのエジェ寄宿学校での生活は伯母の死で中断される。
エジェ先生を崇拝し、ブリュッセルで教職を得ることを望むシャーロットは帰国を悔やみ、ブリュッセルへ帰る。だがエミリーは、ピアノの腕前をエジェ先生に称賛されていたものの、ブリュッセルを嫌いハワースに留まり、家政婦と共に家事をするようになる。
一方、ブランウェルは先にアンが女の子の家庭教師として働いているロビンソン家に男の子の家庭教師として勤めることになる。だが事前にアンから聞いていた話とは違い、厳格なロビンソン氏の元での仕事は辛いものだった。彼に同情するロビンソン夫人と親密になっていく。
やがて夫人とブランウェルが男女の関係になってしまったことに気づいたアンは、兄を連れてロビンソン家を去る。馬車の中でアンは結核による強い痛みに襲われる。
ブロンテ姉妹のネタバレあらすじ:失意の姉弟
シャーロットはブリュッセルを離れたくなかったが、父の視力低下という理由でハワースに帰る。ブリュッセルのエジェ先生に手紙を書き続けるが、待てども返事は来ない。夫人に疑いの目を向けられる先生はシャーロットの一方的な思慕をもてあましていたのだった。
ブランウェルはロビンソン夫人と密会する。夫人への恋心を募らせるが、病気のロビンソン氏の死を願う以上の行動を彼にはとることができなかった。やがて本当にロビンソン氏が死ぬが、待ち合わせ場所の十字路に馬車で来たのは夫人の代理で、代理人から渡された手紙にはブランウェルよりも夫の遺産を選ぶことが書かれていた。
荒野で草を摘んでいたエミリーは絶望したブランウェルが草の上に倒れているのを見つけて家に運ぶ。ブランウェルはかつて描いた兄弟の肖像画から彼の顔だけを消してしまう。
ブロンテ姉妹のネタバレあらすじ:文学者として立つ
シャーロットはエミリーの部屋で、紙片に書かれている詩を読んでしまう。自作の詩を姉が勝手に読んだことにエミリーは激怒するが、やがてシャーロット、エミリー、アンは各自の小説を回し読みし、偽名で各自の小説を出版する。カラー・ベル著『ジェーン・エア』、エリス・ベル著『嵐が丘』、アクトン・ベル著『アグネス・グレイ』である。
『ジェーン・エア』はたちまち成功をおさめた。だが、これらの作者は男か女か、それとも男女共作か、あるいは実は同一の作者なのではといった論争が起きる。シャーロットとアンは3人のベルが女で別人であることを示すためにロンドンへの旅に出る。
ハワースに残ったエミリーはアヘンで衰弱の激しいブランウェルを酒場まで抱えるように連れていく。レイランドとの再会のためである。自分はもう老人のようだと嘆くブランウェル。レイランドは痩せ細った旧友がちゃんと食べているのか心配する。
ロンドンでシャーロットとアンが、自分たちがカラー・ベルならびにアクトン・ベルであると出版者のジョージ・スミスのオフィスで名乗り出たころ、ブランウェルは生涯を閉じた。
ブロンテ姉妹のネタバレあらすじ:相次ぐ別れ
アンは結核を病み投薬を受けるが、エミリーは同様の症状があるにもかかわらず、医者の治療を拒み続ける。衰弱するエミリーのためにシャーロットは冬、エミリーの愛する荒野に行く。荒野で摘んだ草が妹に力をもたらすのではと期待したが、空しい試みだった。
エミリーの死後、シャーロットはアンの希望をかなえるために彼女を海に連れていくが、それが妹の最後の旅になる。
シャーロットは副牧師のアーサー・ベル・ニコルズと結婚する。二人はロンドンでジョージ・スミスとオペラ鑑賞に行く。劇場には再婚したロビンソン夫人の姿も見られた。シャーロットは尊敬する先輩作家サッカレーのボックスに招かれる。
以上、映画「ブロンテ姉妹」のあらすじと結末でした。
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