がんばれ、リアムの紹介:2000年イギリス映画。7歳の少年の視点で家族の絆とその崩壊を描き出すドラマ作品。1930年代初頭のリバプール。リアムは貧しいながら仲の良い家族に囲まれ、来る初聖体拝領への緊張を強くしていた。そんな中、不況の煽りを受け父が失業してしまう。貧困によって家族は諍いを起こすようになり、特にプライドを奪われた父は酷く荒んでいった。それでも懸命に生きようとする家族だったが、絆の綻びは取り返しのつかない悲劇を招いてしまう。
監督:スティーヴン・フリアーズ 出演者:イアン・ハート(リアムの父)、クレア・ハケット(リアムの母)、ミーガン・バーンズ(テレサ(リアムの姉))、アンソニー・ボロウズ(リアム)、アン・リード(アバーナシー先生)ほか
映画「がんばれ、リアム」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「がんばれ、リアム」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「がんばれ、リアム」解説
この解説記事には映画「がんばれ、リアム」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
がんばれ、リアムのネタバレあらすじ:不況の波
舞台は1930年代初頭、イングランドの港町リバプール。7歳の少年リアム・サリヴァンは少し内気で吃音症でしたが、毎日を元気に過ごしていました。サリヴァン家は5人家族。造船所で働く父に家を切り盛りする母、最近働き始めた長男コンと優しい姉のテレサ、そして末っ子のリアムです。
一家は英国人ですがカトリック教徒でした。伝統的に英国人はプロテスタント、アイルランド移民はカトリックというリバプールにおいて、サリヴァン一家は珍しい家庭です。5人は貧しいながらも皆笑顔で暮らしていました。
ところがある日、造船所が閉鎖になり父は失業してしまいます。しばらくは日雇いの仕事を見つけることにして、その間を補うためにテレサも裕福なユダヤ人の屋敷で家政婦として働くことになりました。母は教会に援助を頼もうとしますが、少ない稼ぎから献金を持っていく教会に業を煮やしていた父は猛反対します。失業したので教会に頭を下げるなどプライドが許しませんでした。
がんばれ、リアムのネタバレあらすじ:始まった崩壊
父は翌日から日雇いの仕事を探しますが、低賃金で働くことをいとわないアイルランド人ばかりが雇われていきます。仕事が無いのはアイルランド人のせいだと逆恨みした父は、彼らにこの国から出て行けと暴言を吐いてしまいました。
テレサの職場となった邸宅には、主人とその妻、同年代の娘の3人が優雅に暮らしていました。夫人は若い男性と不倫しており、それを偶然目撃してしまったテレサは手紙の橋渡し役などを務めることになります。夫人はテレサを気に入って可愛がり、テレサも上品な一家に憧れますが罪悪感はどんどん募っていきました。
一方、リアムには初めての聖体拝領(キリストの体になったとされるパンとブドウ酒を食する儀式)が迫っていました。初めての懺悔を経験したリアムは、心の奥に仕舞いこんだ罪を告白出来ません。懺悔で嘘をつけば地獄に堕ちると聞かされていたリアムは、炎やキリストの磔刑像(十字架に張り付けられたキリスト像)にも強い恐怖を覚えるのでした。
がんばれ、リアムのネタバレあらすじ:荒んでいく家族
生活は苦しくなる一方で、母は常に苛々して少しのことで大声を上げるようになります。親しかった親戚とも大喧嘩を繰り広げ、コンの給料が入ると直様借金を突き返しに行きました。ところが借金は既にテレサが払っていました。テレサは不倫の手助けをすることで褒美に金やドレスを貰っていましたが、それが心苦しかったのでせめて何かに役立てようと思ったのです。
しかし母は屋敷の主人から貰ったものだと思い込んでテレサを責めました。テレサは酷く傷つき目に涙を浮かべます。未だ仕事を見つけられない父は、今度は裕福なユダヤ人を憎むようになっていました。
がんばれ、リアムのネタバレあらすじ:変わってしまった父親
ついにやって来たリアムの初聖体拝領の日。家族は誇らしい気持ちで参列しますが、父が突然立ち上がり「イエス様のせいで文無しだ」と叫びました。教会を公然と批判する父に、リアムは恥ずかしくなって席を立ちます。そのまま教会を出て行こうとして卒倒してしまいました。
帰宅後、両親は大喧嘩し、父の傍若無人に耐えられなくなったコンも加わって家族の亀裂はどんどん深くなっていきます。家庭で居場所を失いつつある父はファシストとなり、ユダヤ人を攻撃するようになりました。
教会へ行ったリアムは前回告白出来なかった罪を口にします。宗教画の裸婦像と、偶然見た母の裸体が違うのは何故なのか、リアムはずっと気にしていました。神父が呆れたように陰毛について教えてやると、リアムは泣き出しますがスッキリした様子です。テレサは夫人の不倫の手助けをしていること、貧乏に疲れ果てた母を恥ずかしいと思ってしまったことを涙ながらに懺悔しました。神父は仕事を辞めるよう言います。2人は懺悔したことで少し心が軽くなりました。
がんばれ、リアムの結末:悲劇
後日。テレサはリアムを門のところで待たせ、ユダヤ人一家に仕事を辞めると伝えました。その時、敷地内にファシストが侵入します。彼らは裕福なユダヤ人を逆恨みし、屋敷に火をつけようとしていました。その中には父の姿もあります。リアムに気付いた父は何故ここにいるのかと詰問しました。リアムがやっと「お姉ちゃん!」と声を絞り出すと、父は全てを察します。
しかし次の瞬間ファシストの仲間が屋敷に火炎瓶を投げ込み、窓辺に立っていたテレサが全身を炎に包まれました。打ちひしがれた父が帰宅すると、コンは嫌悪感を剥き出しにして出て行きます。母もかなり憔悴した様子。テレサは2階の部屋で、無言で窓辺に座っていました。体中に酷い火傷を負ったテレサは父に「ごめんなさい」と呟き、涙を流します。
父は何も言えず、無言のまま家を出て行きました。リアムはテレサの髪を優しく櫛で梳かします。家族の絆が崩壊し、この映画は終わりを迎えます。
以上、映画「がんばれ、リアム」のあらすじと結末でした。
この映画の感想を投稿する