ライアーの紹介:1997年アメリカ映画。娼婦殺人事件を巡り、容疑者と刑事の息詰まる心理戦を描いたサスペンス作品。娼婦エリザベスが惨殺体で発見され、刑事のブラクストンとケネソウは捜査に乗り出した。容疑者として名前が挙がったのは、若き富豪の天才ウェイランド。刑事達は彼をポリグラフにかけるが、望む結果は一向に得られなかった。その上ウェイランドはブラクストンとケネソウがそれぞれに抱える繊細な問題を見抜いて暴露し、2人を翻弄する。果たしてエリザベスを殺害した「嘘つき(ライアー)」はいったい誰なのか。
監督:ジョナス・ペイト、ジョシュ・ペイト 出演者:ティム・ロス(ウェイランド)、クリス・ペン(ブラクストン)、マイケル・ルーカー(ケネソウ)、レニー・ゼルウィガー(エリザベス)、ロザンナ・アークエット(ケネソウ夫人)ほか
映画「ライアー」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ライアー」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「ライアー」解説
この解説記事には映画「ライアー」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ライアーのネタバレあらすじ:娼婦殺害事件
舞台は現代アメリカ。3月27日水曜日、1人の男が警察署でポリグラフのテストを受けていました。彼の名前はジェームズ・ウェイランド(ティム・ロス)、29歳。IQ151の天才で富豪の息子、プリンストン大学では心理学を専攻し主席で卒業していました。華々しい経歴を持つ彼ですが、現在は無職です。
ウェイランドはある殺人事件の容疑者として名前が挙がっていました。被害者の名前はエリザベス・ロフタス(レニー・ゼルウィガー)。娼婦として働いていた彼女はウェイランドの知人で、事件当夜も偶然公園で会い短く話したそうです。
事件の捜査に当たっているのは2人の刑事。1人目はエドワード・ケネソウ刑事(マイケル・ルーカー)、44歳で妻と3人の子どもがいます。IQは122、勤続20年のベテランでポリグラフによる自白率は実に92%を誇っていました。もう1人の刑事はフィリップ・ブラクストン(クリス・ペン)、33歳。妻とは離婚し、子どもが2人います。IQは102、勤続2年でもうじき昇進予定でした。イリノイ州レークモント高校を良くない成績で卒業しています。
ブラクストンはギャンブルにのめり込んだ結果、裏社会を牛耳る女ムックに目を付けられ、莫大な借金を抱えていました。ケネソウからも借金をして返済に充てますが、全額返済には至っていません。一方のケネソウもプライベートで問題を抱えていました。妻が浮気を繰り返しており、嫉妬に深く苦しんでいたのです。
ライアーのネタバレあらすじ:頭脳明晰な容疑者
ウェイランドは優秀な頭脳と鋭い観察眼でブラクストン達の事情を看破し、挑発の材料に使ってきました。更に自分よりIQの劣る2人がポリグラフを判断することに不服を漏らします。学歴にコンプレックスのあるブラクストンは苛立ちを隠せません。
ケネソウは、利口なウェイランドは逃げ道を作ってやれば必ず食いつくだろうと予想します。そこでエリザベスの遺体について、詳しいことを説明し始めました。遺体は胴体でふたつに切断され、別々の鞄に詰め込まれて違う場所に捨てられていました。そして被害者のポケットの中に、ウェイランドの電話番号が書かれたメモが入っていたのです。
ケネソウはウェイランドが何らかの薬物を服用していることも見抜いており、故にポリグラフで正確な結果が出ないのだと指摘しました。「人が そういう 行動に出るのは――何か秘密があるからだ」と話すケネソウ。ウェイランドはカルバマゼピンを服用したことを認め、持病で側頭葉が痙攣すると弁明します。発作の原因はストレスで、ポリグラフのテストは大きなストレスになるため服用したのだと。
ライアーのネタバレあらすじ:危険な持病
3月28日、木曜日。ブラクストンとケネソウは精神科医を訪ね、ウェイランドの持病について説明を受けました。ウェイランドはTLE(側頭葉てんかん)を患っており、発作中はポリグラフをパスする可能性もあるそうです。発作を起こすと無意識またはトランス状態になり、非常に危険な行動に出ることがあります。医師は決して話しかけたり触ったりしてはならないと忠告しました。
3月29日金曜日。再びウェイランドに対する事情聴取が行われます。彼は苛立ちを隠そうともせず、ブラクストンが貧乏でギャンブル好きなことを言い当てました。更に、何故かケネソウから金を借りたことまで知っています。このまま解放してくれるなら、自分が金を貸してやろうと挑発するウェイランド。すると彼は突然立ち上がり、部屋をウロウロ歩き回り始めました。TLEの発作です。
ケネソウはウェイランドを落ち着かせようとして彼に触ってしまい、酷い暴力を振るわれました。ブラクストンらが何とか取り押さえるとウェイランドは急に正気を取り戻し、発作中のことは一切記憶にないようでした。
ライアーのネタバレあらすじ:容疑者が暴く「真実」
夜になり、ウェイランドはムックのところへ出かけます。彼らは知り合いで、ブラクストンの情報もこの繋がりから得ていました。ウェイランドはムックから、数錠飲むだけで全てを忘れられるという薬を受け取ります。時折昏睡状態になるので、気をつけるようにとも忠告されました。
そして翌日の4月1日、月曜日。ウェイランドはブラクストンとケネソウを前に、真実を告白すると話しました。しかし彼が語り出したのは、自分ではなくケネソウの「真実」です。ケネソウは妻の浮気に耐え続け、その歪んだ怒りは性衝動となって娼婦に向けられていました。証拠としてウェイランドが取り出したのは1本のビデオテープです。そこにはエリザベスを妻の身代わりにして激しく暴行するケネソウの姿が盗撮されていました。
あまりのことにショックを受けるブラクストン。ウェイランドはその動揺につけ込み、あっさりと場の主導権を奪いました。そしてケネソウにポリグラフを受けさせます。エリザベスを殺したかと問われ、否定するケネソウ。ポリグラフは異常を示しません。
しかしウェイランドが「妻を殺したか?」と質問すると、途端にポリグラフの針が凄まじい反応を見せました。ウェイランドはケネソウが妻の身代わりにエリザベスを殺害したのだと推理し、部屋を出て行こうとします。それを止めたのは、汗だくのケネソウでした。
ライアーの結末:真実の先の嘘
ケネソウはウェイランドを銃で脅し、隠している嘘を明らかにしろと迫ります。脅迫に屈したウェイランドは、ムックから受け取った薬を飲むとエリザベスが殺害された夜について話し始めました。ウェイランドは彼女の客であり、しょっちゅう話す内に好きになったのだそうです。
事件当夜、父親から無職を詰られたウェイランドはエリザベスのアパートに向かいました。ビールを買うために一旦外へ出て帰って来ると、エリザベスが何者かによって絞殺されていたのです。動転したウェイランドは、疑いの矛先を逸らすため遺体の切断を思いつきました。死体損壊は認めたものの、殺害については否定するウェイランド。興奮した彼は発作を起こし椅子から激しく転落しました。
救急車に運ばれた時、彼は既に息をしていませんでした。救急隊員の1人が訳知り顔で運転席へ移ります。それはムックのところにいた男でした。やがてブラクストンは転属を申し入れ、上機嫌でケネソウに金を返します。ケネソウは混乱の中ビデオテープを回収していました。
そして1年後。夜の公園で、娼婦に声をかける男がいます。それは死亡したはずのウェイランドでした。彼は昏睡状態に陥っただけで、生き残っていたのです。ブラクストンははじめからウェイランドに買収されており、借金地獄から抜け出すことが出来ました。混乱をもたらすことでひとつの事件をもみ消したウェイランドとケネソウ。殺人犯が明言されないまま、この映画は終わりを迎えます。
以上、映画「ライアー」のあらすじと結末でした。
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