愛して飲んで歌っての紹介:2014年フランス映画。第64回ベルリン国際映画祭でアルフレッド・バウアー賞を受賞したと同時に、アラン・レネ監督の遺作ともなった群像ドラマ。病で余命半年を宣告されたジョルジュという男性をめぐって、友人夫婦達がすったもんだを繰り広げる。ストーリーの核となるジョルジュは最後まで姿を見せず、ジョルジュの言動で混乱をきたす周囲の人間達に焦点を当てている。まるで舞台を思わせる室内、イラストのような風景など、実験的要素の満載な演出が強烈な印象を残す。
監督:アラン・レネ 出演者:サビーヌ・アゼマ(カトリーヌ)、イポリット・ジラルド(コリン)、カロリーヌ・シオル(タマラ)、ミシェル・ヴュイエルモーズ(ジャック)、サンドリーヌ・キベルラン(モニカ)、アンドレ・デュソリエ(シメオン)、アルバ・ガイア・クラゲード・ベルージ(ティリー)ほか
映画「愛して飲んで歌って」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「愛して飲んで歌って」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
愛して飲んで歌っての予告編 動画
映画「愛して飲んで歌って」解説
この解説記事には映画「愛して飲んで歌って」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
愛して飲んで歌ってのネタバレあらすじ:起
イングランド、ヨーク市の郊外。カトリーヌとコリンの中年夫婦が自宅のテラスで会話しています。彼らは友人達と共にアマチュア劇を上演する予定で、台詞の稽古に忙しい日々を過ごしていました。ある日2人は、友人ジョルジュががんと診断され余命半年だという話を聞いて驚きます。このことは誰にも言うなとコリンに口止めされたにもかかわらず、おしゃべりなカトリーヌは芝居仲間のタマラとジャックの夫婦にジョルジュのことを喋ってしまいます。ジョルジュと大の親友であるジャックは、大変なショックを受けて泣き出します。カトリーヌ達は、芝居を降板することになった友人の代役をジョルジュに頼もうと思いつきます。ジョルジュにとっても何か目標があるほうが良いだろうと考えたのです。ジョルジュは芝居に出ることに同意し、彼を交えて劇の稽古が始まりました。
愛して飲んで歌ってのネタバレあらすじ:承
高校教師をしているジョルジュには、別れた妻モニカがいました。モニカはすでにシメオンという男性と暮らしていましたが、今でも元夫のことを気にかけています。そんなモニカの行動にシメオンは不安を抱きます。一方タマラは、ジャックがどこかの女性と浮気している事実をつかみます。彼らにはティリーという一人娘がおり、16才の誕生日を控えていました。ある日、カトリーヌとタマラがジョルジュの家で鉢合わせします。実はカトリーヌがタマラの後を尾けていたのです。ジョルジュは留守らしく、家には誰もいません。2人は互いに牽制し合いながらも、荒れ放題の彼の家を協力して片付けることにします。一方ジャックは、コリンに悩みを打ち明けていました。芝居の稽古中、タマラとジョルジュが親しすぎると言うのです。ジャックは誤解だろうと言いますがコリンの不安は消えません。
愛して飲んで歌ってのネタバレあらすじ:転
カトリーヌもまた、タマラに秘密を打ち明けていました。彼女は昔ジョルジュと大恋愛を経験しており、結婚寸前で別れたという仲でした。その事実はコリンにも秘密でした。それを聞いたタマラは、自分の娘ティリーも9才の頃、担任教師になったジョルジュに夢中になっていたと話します。ジョルジュにはカリスマ性があり、非常に魅力的な男性らしいのです。芝居の上演日が近づいた頃、カトリーヌはコリンに、ジョルジュに誘われてテネリフェ島へ休暇に行くと言い出します。ところがジョルジュはタマラにも同じことを言っており、さらにはモニカまでがテネリフェ島へ誘われていたということが判明します。ティリーの誕生パーティの夜、集まった夫達はその事実を知って仰天します。妻達は妻達で、ジョルジュと最後の休暇を過ごすのは自分だと譲りません。当のジョルジュはというと、ティリーとダンスを楽しんでいるのでした。
愛して飲んで歌っての結末
そんなゴタゴタがあったものの、彼らの舞台は無事に上演されました。ジャックはタマラに今までいい夫でなかった自分を謝罪。タマラもジョルジュとテネリフェ島へは行かないと言い、夫婦はめでたく仲直りします。モニカもシメオンに止められて困惑し、カトリーヌもまたコリンに行くなと懇願され、思わず夫を抱きしめます。結局、ジョルジュのテネリフェ島行きに同行したのはティリーでした。部屋に置手紙を残して家を飛び出したのです。タマラとジャックはパニックになります。そして2週間が過ぎました。カトリーヌら3組のカップルは、ジョルジュの葬儀に出掛けます。ジョルジュの最期を看取ったのはティリーでしたが、タマラはジョルジュと娘の間には何もなかったと確信していました。6人はジョルジュの棺に次々と花を供え、静かに離れて行きました。最後に現れたティリーは、バッグから髑髏が描かれたモノクロの写真を取り出してそっと置くのでした。
この映画の感想を投稿する