マーラーの紹介:1974年イギリス映画。1911年、作曲家・マーラーはウィーンへの最後の旅の途中だった。彼の脳裏に浮かぶ様々なイメージを通して彼の音楽と生涯を描く音楽映画。テレビ番組や映画で多くの音楽家を描いてきたケン・ラッセル監督が本領を発揮した、個性的シーンに満ちた作品。
監督:ケン・ラッセル 出演者:ロバート・パウエル(グスタフ・マーラー)、ジョージナ・ヘイル(アルマ・マーラー)、リー・モンタギュー(グスタフの父、ベルンハルト)、ロザリー・クラッチリー(グスタフの母、マリー)、リチャード・モーラント(マックス)その他
映画「マーラー」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「マーラー」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
マーラーの予告編 動画
映画「マーラー」解説
この解説記事には映画「マーラー」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
マーラーのネタバレあらすじ:自然に学ぶ
ニューヨークでの仕事をキャンセルしたグスタフ・マーラーは、妻アルマと共にウィーンに帰るために列車の広い個室に乗っていた。駅で個室に乗り込み情け容赦のない質問をする記者を「生活のために指揮をし、作曲するために生きている」と答えた後で追い返す。動き出した列車の中で彼に様々な過去の記憶が蘇ってくる。
今は関係が冷え切ってしまっているアルマと湖畔で楽しく過ごした日々、そして少年時代。グスタフはボヘミアでユダヤ人の大家族に生まれた。グスタフの父はささやかに酒の醸造所を営んでいた。一族から大金持ちの音楽家が出るのではという家族の期待を浴びて、グスタフはスラドキー教授の家に通ってピアノを学ぶが、むしろ作曲に関心があった。厳格な先生の指導が怖くて授業をサボっているうちに野山の植物や鳥に親しむことを覚えるようになる。
マーラーのネタバレあらすじ:死のイメージ
我に返ったグスタフの個室にマックスという軍人がいる。妻のアルマに恋文を出した男だ。交響曲第10番を構想するグスタフに、偉大な作曲家はベートーヴェンのように九つの交響曲しか作れないという不吉なことを言う。マックスは、グスタフの目の前で、サン・ポルテンの駅でいっしょに降りようとアルマに言って個室を出ていく。別の客と個室を取り換えてもらったグスタフは新しい個室で発作を起こす。その時、グスタフは自分が生きたまま火葬され、アルマがマックスの元へ去る悪夢を見る。
目覚めたグスタフがアルマに、生きたまま葬られた悪夢の話をする。アルマには自分の才能が生きたまま葬られた過去があった。主婦をこなし、そして写譜をして夫を助けてきたアルマだが、彼女もかつて作曲家を志していた。しかし、グスタフの仕事仲間の歌手に彼女の曲をバカにされ、不幸な作曲家――弟のオットーや、グスタフと音楽院で共に学んだが精神病院送りになったフーゴ―・ヴォルフ――の運命を知るグスタフもアルマが作曲をすることを嫌った。アルマは自分の書いた楽譜を森の中に埋めた。
マーラーのネタバレあらすじ:改宗
グスタフはアルマに、自分の元に留まるかマックスと行くか、ただ愛によって決めるように言う。グスタフは愛でなく義務によって人生を決めてしまった苦い思い出があった。妹や弟のめんどうをみなければならないグスタフは音楽家としての高い地位を求めた。思い出すのは病院にヴォルフを見舞った時に、オーストリア皇帝フランツ・ヨゼフのつもりのヴォルフが言ったことば。ウィーン宮廷歌劇場監督の職はあきらめよ。音楽の世界を支配しているのはリヒャルト・ワーグナーの未亡人コジマであり、コジマは反ユダヤ主義者だから。
グスタフはカトリックに改宗する。儀式を済ませ、これによって音楽家としての将来が開けたと思ってアパートに帰ったグスタフが見たのは、自殺したオットーの死体だった。
マーラーのネタバレあらすじ:「亡き子をしのぶ歌」
グスタフは医師の診察を受け、最初に発作を起こしたのはいつかきかれる。グスタフは、「亡き子をしのぶ歌」という曲名に娘二人を守る立場のアルマが激怒したことを思い出す。「無垢な心の死を歌った」と弁解したが、皮肉にも間もなく長女が死んだ。その直後に最初の心臓発作が起きたのだった。
マーラーの結末:愛は生きる
心臓はだいじょうぶと言う医師の診断に安心したグスタフは初めて窓を開けて、駅で彼の名を呼び歓迎する人たちに挨拶をする。次の駅がサン・ポルテンだが、グスタフは彼の音楽がすべてアルマへの愛であることを言い、アルマは彼の元にとどまる。
列車はとうとうウィーンに着く。そこでグスタフを待つ医師は、グスタフの命が実は後一、ニ週間だという精密検査の結果をもっていたが、グスタフは希望に満ちた笑顔で駅を歩いていく。
以上、映画「マーラー」のあらすじと結末でした。
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