Maiko ふたたびの白鳥(別題:バレリーナ・マイコの物語)の紹介:2015年ノルウェー映画。子供の頃からの夢だったバレエのプリマになった麻衣子の、出産からの復帰公演、白鳥の湖のヒロインの一人二役の難役の完成に向けて、すべてを掛けた日々が始まる…。
監督:オセ・スベンハイム・ドリブネス 出演者:西野麻衣子、西野衣津栄、イングリッド・ロレンツェン、ほか
映画「Maiko ふたたびの白鳥」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「Maiko ふたたびの白鳥」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
Maiko ふたたびの白鳥の予告編 動画
映画「Maiko ふたたびの白鳥」解説
この解説記事には映画「Maiko ふたたびの白鳥」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
Maiko ふたたびの白鳥のネタバレあらすじ:起・夢に見たプリマ
子供の頃からの夢、バレエのプリマになるべく、15歳でロンドンのロイヤル・バレエ・スクールに留学し、19歳でスウェーデン国立バレエ団へ入団。25歳の時に同じくバレエ団のプリンシパルになった西野麻衣子。
常に強い向上心を持ち、頂点を目ざすハングリー精神を持つ麻衣子は、バレリーナの身体は楽器と同じ、壊れたら使えない、現役でいられるのは20年くらいで、40歳なんて踊れないと語る。バレリーナの間では、鎮痛剤を飲んで舞台に立つ者も少なくない。
キャリアの頂点にいる麻衣子は、現在のレベルを保ちたいと思う一方で、子供を持ちたいという想いも捨てきれなかった。しかし産休を取った後の不安がぬぐえず、エコー検査で妊娠が発覚しても団員に告げられずにいた。
Maiko ふたたびの白鳥のネタバレあらすじ:承・子どもを宿しながら踊る
医者からは、妊娠初期にはとくに胎児に危険で、とにかく慎重に、腰を捻る動きや、パートナーにつかまれる事は注意するように麻衣子に言い含めた。
妊娠7週間目を迎え、公演後にスタッフに妊娠の報告をすると、祝福とともに、来シーズンのキャストには既に名前が載せていて変更も無い方針だと励まされた。
臨月も間近で日本へ帰国した麻衣子。留学時代、ホームシックになっても帰国する甘えを良しとしなかった母親がいなければ、今の自分は存在していないと振り返る。そんな母親も、麻衣子を産んだ後も仕事続けるタフさがあり、麻衣子の夢を叶えるために惜しみなく与えた。
Maiko ふたたびの白鳥のネタバレあらすじ:転・子育てと復帰
芸術監督は、身重の麻衣子の代役を別のバレエ団から呼んだ。この職業の宿命として、代わりはいくらでもいると痛感した麻衣子は、キャリアを続ける事を決意し、無事出産した。
来シーズンの「白鳥の湖」で復帰する目途を立て、もしもの時はたくさんいる若手の抜擢があることも伝えられた麻衣子は、クラシックバレエでも屈指の難役の「白鳥の湖」の主役という大きな原動力で復帰を目指すことにした。
子供との時間が削がれることも覚悟し、同じバレエ団に従事する夫も麻衣子の代わりに休みをとってサポートすることにした。
本番3ヵ月前、子供を連れてレッスンを始めると、講師は、産休明けは普通はもっと大変だと麻衣子を励ました。
Maiko ふたたびの白鳥の結末:難関の見せ場のレッスン
第二幕での黒鳥の見せ場が決まらず、繰り返しレッスンを続ける日々が続いた。芸術監督は麻衣子の選択はタフな挑戦だけれど良い選択、麻衣子に限った事ではないがもしもの時は代役を立てると話した。麻衣子は復帰をし、子育てをしながらキャリアを積み現役を続行したい、配慮は無用、代役等の判断は監督に任せた。
最終リハーサル。舞台袖には若手が待機する中、やはり黒鳥の見せ場が決まらない麻衣子に、諦めずにもう一度と、周りは励ました。
復帰公演には両親も日本から観に訪れていた。プリマとして踊る姿を親に見せる事を夢にバレエを続けて来た麻衣子は、無事に一幕を終え、二幕の黒鳥も踊りこなし、舞台袖で賞賛された。そして、ラストシーンを終えるとそのまま倒れ込んだが、カーテンコールには笑顔で舞台に上がった。
復帰のインタビューに答える麻衣子は、「子供を想って踊った、誰かを想い踊る幸せがある」と語った。
以上、映画「Maiko ふたたびの白鳥」のあらすじと結末でした。
Maiko ふたたびの白鳥のレビュー・考察:ジレンマと背景
子供を持つジレンマは仕事を持つ女性なら誰しもあるだろう。ブランクを経て以前の状態で復帰できる保証はどこにもない。身体表現が全てのバレリーナならなおさらかもしれない。しかし、彼女のジレンマとは裏腹に、現場スタッフは祝福、夫は育児休暇、レッスン場に子供を連れていく事は別段特別な事として描かれていないように見える。それと同時にもしもの時は代役がきく状態でのプレッシャーは想像が及ばないが、麻衣子の練習に打ち込む風景がそれを跳ねのけようとしているのを物語っている。彼女のジレンマや苦悩が舞台で昇華されていく様は裏側の厳しさを知って、改めて美しく映った。
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