偉大なるマルグリットの紹介:2015年 フランス映画。1900年初頭、アメリカで有名になった大富豪夫人フローレンス・フォスター・ジェンキンス。とてつもない音痴で話題を呼んだ彼女の実話をもとに、フランスで映画化されたのが今作。アメリカでは同時期に「マダム・フローレンス!夢見るふたり」が制作されている。パリ郊外に豪邸をかまえるマルグリット・デュモン男爵夫人。音楽をこよなく愛し、自らも歌うことが大好きな彼女の最大の欠点は「音痴」。その事実に全く気付かない本人をめぐり、さまざまな思惑を抱えた周囲の人間達が巻き起こす騒動をシニカルに描く。
監督:グザヴィエ・ジャノリ 出演者:カトリーヌ・フロ(マルグリット・デュモン)、アンドレ・マルコン(ジョルジュ・デュモン)、デニス・ムプンガ(マテルボス)、ミシェル・フォー(アスト・ペッジーニ)、クリスタ・テレ(アゼル)ほか
映画「偉大なるマルグリット」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「偉大なるマルグリット」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
偉大なるマルグリットの予告編 動画
映画「偉大なるマルグリット」解説
この解説記事には映画「偉大なるマルグリット」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
偉大なるマルグリットのネタバレあらすじ:起
1920年フランス。戦災孤児のための慈善パーティが、パリ郊外にある豪華なデュモン邸で開かれていました。若い歌手アゼルが歌声を披露し、大喝采を浴びます。詩人で前衛芸術家のキリルと来ていた評論家のボーモンは、アゼルに一目ぼれします。そして、彼女の次に歌い出したのはマルグリット・デュモン男爵夫人。サロンは騒然となります。彼女はとんでもない音痴でした。妻の歌声を聞くことを恐れるデュモンは、わざと帰宅を遅らせるという手段に出るのが常でした。従順な執事のマテルボスはそれを見抜いていましたが、知らぬふりをしています。それどころか、マルグリットに調子を合わせ、大好きなオペラのコスチューム姿でポーズを取る彼女を、写真に撮りためているのでした。アゼルは、誰1人としてマルグリットの音痴を指摘しないことに驚きます。この事実を面白く思ったボーモンは、翌日の新聞に「孤児を代弁する声か?」と皮肉たっぷりの見出しをつけます。ところがこれを自分への称賛だと受け取ったマルグリットは、ボーとキリルを訪ねて親しくなります。大富豪と知り合えたキリルは「僕らの救世主が現れた」と大喜びしますが、ボーモンは彼女の印象を「寂しい目をしている」と表現します。
偉大なるマルグリットのネタバレあらすじ:承
デュモンには愛人がいました。彼は、妻の行動に心底うんざりしていたのです。ある日、ボーモンとキリルは、マルグリットに音楽会で歌ってほしいと依頼します。彼女は大喜びで承知しますが、音楽会とは名ばかりで、怪しい前衛的なショーだったのです。マルグリットの歌声に会場は大混乱となります。翌日の新聞には「ナイトクラブでバカ騒ぎ」と書かれ、デュモンは激怒。しかし大勢の観客の前で歌う快感を知ってしまったマルグリットは、大きなホールでリサイタルを開くと言い出します。とはいえ本格的な歌のレッスンを受けたことがないため、ボーモンの紹介でオペラ歌手ペッジーニを雇います。巷では落ち目と言われているペッジーニでしたが、さすがにマルグリットの歌声を耳にして逃げ出します。しかしマテルボスに弱みを握られて脅されたうえに「これはゲームだと思えばいい」とまで言われ、しぶしぶコーチを請け負う羽目に。焦ったデュモンは、愛人に「どうして妻は歌うんだ!」と怒りをぶちまけますが、彼女は「夫の気を引くためよ」と答えます。愛人の言葉に、デュモンは初めて妻の孤独に気づきます。
偉大なるマルグリットのネタバレあらすじ:転
マルグリットに音痴だとどうしても言えないペッジーニは、半ばやけくそ気味に猛特訓を続けます。デュモンもリサイタルをやめさせようと説得しますが失敗。マルグリットは、喉を傷めながらもレッスンに励みます。次第にデュモンは、そんな妻の姿に感動を覚えます。「君には勇気がある」と讃え、マルグリットの顔は輝きました。しかしリサイタルの前夜。パーティ会場に入る観客の中に、夫と愛人の姿を見つけてしまいます。帰宅したデュモンに、「あなたが歌うのをやめろと言うならやめる」と言うマルグリット。翌日、リサイタルが始まります。いつもは妻の歌声を聞かずに済むようわざと遅れてくるデュモンが、最初から席についています。安心したマルグリットが、舞台に登場して歌い出しました。観客は驚き、笑いをかみ殺し、ついには爆笑する者も出てきました。デュモンやボーモン、アゼルはやるせない表情でステージを見つめています。その時、マルグリットに奇跡が起きました。ほんの一瞬、素晴らしい歌声が会場に響いたのです。客席は息を呑みますが次の瞬間、激しい咳き込みと共に、マルグリットはそのまま倒れて気を失います。
偉大なるマルグリットの結末
病室で目覚めたマルグリットの心は、幻想の世界に入り込んでいました。自分は有名なオペラ歌手であるという妄想を抱いていたのです。医師は、自分はオペラ歌手だと嬉しそうに語る彼女の話を録音し、デュモンに聞かせます。驚くデュモンに医師は、録音した歌声を聞かせ、現実を見せることで救えるかもしれないと提案します。デュモンは躊躇しますが、マテルボスは違いました。彼は、自分が撮りためたマルグリットの写真の最後の1枚として、真実を知った彼女の姿をカメラに収めようと考えていました。デュモンは計画の中止を申し出ますが、それを遮ったマテルボスの思惑通り、医師はマルグリットの歌声を病室に流します。その場にいた皆が、心配そうな顔で彼女を見つめます。音程のはずれた歌声を聞き、マルグリットの顔が曇りました。そしてそのまま倒れてしまいます。遅れて病室に入ってきたデュモンは、大急ぎで妻を抱き起します。しかし、マルグリットの瞼は閉じられたまま。彼らの前にカメラを備え付けていたマテルボスが、シャッターを切りました。
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