身も心もの紹介:1997年日本映画。良介と綾の夫婦が外国滞在中の一軒家の留守番を務めるシナリオライターの善彦。そこに夫婦の友人である麗子がやってくる。青春時代の心の傷を舐め合うように結びついていく二人。だが、そこに綾が戻ってきてしまう。40代になった全共闘世代の4人の男女のメロドラマ。『赫い髪の女』、『Wの悲劇』等の名脚本家荒井晴彦の初監督作。原作は鈴木貞美の同名小説。97年度キネマ旬報ベスト・テン第7位。R-15指定作品。
監督:荒井晴彦 出演者:柄本明(関谷善彦)、永島暎子(原田麗子)、奥田瑛二(岡本良介)、かたせ梨乃(岡本綾)、加藤治子(善彦の母)、津川雅彦(綾の父)ほか
映画「身も心も」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「身も心も」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「身も心も」解説
この解説記事には映画「身も心も」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
身も心ものネタバレあらすじ:起・留守番の二人
関谷善彦は開店休業中のシナリオライター。妻子と別居しているが、妻が仕事の間、娘を預かる。その義彦が東京から九州の田舎町へとやって来た。大学時代の友人・岡本良介が妻の綾を連れてニューヨークに出張する間の留守番を頼まれたからだ。そして、良介が残していった子供向け辞書の文章チェックの仕事もする。
善彦が風呂から上がったところに、綾から彼女の経営する喫茶店の留守番を頼まれてやはり東京から来た原田麗子が現れる。二人はほとんど初対面だった。麗子は映画チラシ等のデザインの仕事をしていたが、最近年下の男に求婚され、この町に来ることは自分を見つめ直すいい機会だと思っていた。
翌日、麗子は銭湯の帰りにまた善彦と会い、夕食を共にし、善彦は酒に酔った麗子を結局岡本家に連れてくる。二人の会話から、善彦は大学内のバリケードに残っていた時に機動隊に火炎ビンを投げ付けたせいで3年間刑務所に入り、その間に彼の恋人であった綾を親友の良介に奪われたことがわかる。
麗子はその頃からの綾の親友で、綾の相談に乗っていた。その夜、二人はいつしかふざけて岡本夫婦を演じ始め、偽の岡本夫婦の会話を通じて互いの心中を語ることになる。
別の夜、岡本家から帰ろうとする麗子を綾と誤解したかのように善彦は彼女に接吻し、二人はやがて身体を重ねるようになる。善彦は麗子が良介の綾の前の彼女であったことに気付く。元の恋人に後ろめたさを感じていた岡本夫婦が別居中の善彦と独身の麗子を近づけようとしたのに違いない。
身も心ものネタバレあらすじ:承・突然の帰国
綾が突然、結婚式に出るという口実で、ひとりでニューヨークから帰って来た。綾はまだニューヨークに戻るか日本に留まるか決めていない。しかたなく善彦は家を明け渡し、麗子のいる喫茶店に移るが、忘れ物を取りに帰った時に綾とセックスをしてしまう。
いつしか二人は麗子に隠れてリゾートホテルに行って関係を続けるようになる。その一方で義彦は麗子と、結婚しようか、いや、そもそも義彦が離婚しなくては、といった話をするようになる。
身も心ものネタバレあらすじ:転・それぞれの昔話
綾にニューヨークに帰るように再三促した良介も一時帰国する。母の住む実家に行き母に甘える。良介は綾に母親の代わりを求め、それがかなえられないと暴力をふるうという結婚生活が続いていた。
母は麗子の方が息子とうまくいったのではないかと思っている。善彦が投獄されている間に綾が良介の子を身ごもったが綾は善彦への後ろめたさからあえてデモに参加して流産したことを良介は母に教える。
良介はなかなか妻に会おうとせず、バーで麗子と会って口説いて麗子にたしなめられたり、公園で良介と会ったりする。50歳を間近にした二人の男が、大学解体を叫んでいた良介が大学教員になり、ゴダールはシナリオなしに映画を撮るといっていた善彦がシナリオライターになったとちょっと自嘲する。
一方、綾と麗子は山でイチゴを摘みながら昔話をする。綾は『突然炎の如く』が好きだったが、麗子はあの映画のジャンヌ・モロー演じる女の生き方が理解できなかったと話す。麗子は綾に私を裏切らないでと言い、綾をぶつ。
身も心もの結末:別々の道を行く4人
ついに良介は綾と対面する。話し合っても関係は修復されず離婚が決まり、良介はニューヨークに戻る。綾と善彦も関係を清算した。
この町にいる理由をなくした善彦と麗子は、ふたりでいっしょに町を出るが、東京では別々の生活が始まる。善彦が自分のアパートに近づくと、娘が部屋のドアの前で久しぶりに会う父を待っていた。
以上、映画「身も心も」のあらすじと結末でした。
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