月曜日に乾杯!の紹介:2002年フランス,イタリア映画。フランス郊外で工場に勤務するヴァンサンは、ある日無断欠勤しヴェニスへ向かった。見分を広げる旅で彼が得た物とは。
監督:オタール・イオセリアーニ 出演:ジャック・ビドウ(ヴァンサン)、アンヌ・クラヴズ=タルナヴスキ(ヴァンサンの妻)、ナルダ・ブランシェ(ヴァンサンの母)、ラズラフ・キンスキー(ヴァンサンの父)、ダト・タリエラシュヴィリ(ヴァンサンの息子ニコラ)、アドリアン・パショー(ヴァンサンの息子ガストン)、アリーゴ・モッツォ(カルロ)、ほか
映画「月曜日に乾杯!」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「月曜日に乾杯!」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「月曜日に乾杯!」解説
この解説記事には映画「月曜日に乾杯!」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
月曜日に乾杯!のネタバレあらすじ:起・月曜日の無断欠勤
フランス郊外に住むヴァンサンは村と勤め先の工場を行き来するする代わり映えのない日々を過ごしていた。彼の趣味は絵を描く事、しかし、妻に家事の手伝いを頼まれて集中できない。二人息子のうちの兄はヴァンサンの描いた聖ジョルジュの絵を見つけ、女友達と一緒に教会の壁画に描くことにした。
そんなある日、ヴァンサンは工場へ向かったものの、就業時間になると入口から離れ、無断欠勤し、景色を見渡せる丘で過ごし、都会に住む父の元へ向かった。
月曜日に乾杯!のネタバレあらすじ:承・変わらない郊外の日常
自宅のある郊外の村では変わらない日常が続いていた。隣の豪邸の夫婦は今日も夫婦喧嘩をし、弟の方は自転車の部品で何かを作ろうとしていた。教会の壁に聖ジョルジュを描き始めた兄は、神父から教会の絵図の規範から外れていると指摘されるが、これは聖ミカエルではなく聖ジョルジュで、規範は尊重して後輪などの最低限の物は守っているが、この聖人はもともと残忍なものだと、説明した。
トレーラーハウスで村にやって来たロマの集団は、持ってきた細工の籠が売れないとわかると、村の女性たちを相手に手相占いを始め、連れてきたワニをヴァンサンの家の庭に放つと、そのまま追われるように村を出て行った。
農場で働くバルテレミーは教会を訪れ、絵を描いている兄に、思いを寄せているシャンタルへのプロポーズの手紙を代筆してもらいそれを投函した。手紙をこっそり読む事が趣味の郵便局員は、その手紙をこっそり読むと、再び封をした。
夜になり、夫が帰らない事を心配した妻はヴァンサンを探し始めた。
月曜日に乾杯!のネタバレあらすじ:転・見分を広げるために
父の元を訪ねたヴァンサンは、起き上がった父と、父の死を待って集まった叔母たちを追い払った。父親は金庫から札束を取り出させると、お前は世界に見分を広める必要があるといって、ミラノ、アレキサンドリア、カイロ、コンスタンチノープルそして、ヴェニスに友人のマルティーノ侯爵がいるから行くようにと彼に言った。
立ち寄ったバーで女性の格好をして働いていた昔馴染みに携帯用の絵の具一式を貰い、一路ヴェニスへ向かった。ヴェニスでは街中の絵描きたちに交じって自分も葉書に絵を描いて投函した。そして知り合い意気投合したカルロに、マルティーノ伯爵の所まで乗せて行ってもらった。マルティーノ伯爵はヴァンサンを迎えるために、部屋の絵画などを増やしてそれらしく彼を迎えたが、若い頃の写真を見せてくれただけだった。
ヴァンサンは船乗りや神父とピクニックや、水路ずたいに女子修道院などを覗いてヴェニスを楽しんだ。最後にカルロはヴァンサンを家の屋根の上まで案内し、そこから見えるヴェニスの景色を、観光客では感じられないヴェニスの精神の教会や音楽院を一望できるのだと、ヴァンサンにプレゼントした。
その夜、ヴァンサンはカルロの家に泊まった。
月曜日に乾杯!の結末:日常と非日常
翌日、カルロは自分の仕事場へ出勤していった。一方ヴァンサンは意気投合した中の、船乗りに航海に行こうと誘われ、彼の乗る大型船に乗り込んだ。
ヴァンサンの妻の元へは行く先々から、彼の描いた絵ハガキが届いた。妻は毎度それを破り捨てたが、息子がそれを拾い、ヴァンサンの母はそれを部屋に貼って取っていた。
彼が旅立ってだいぶたって家計が厳しくなり、家族は庭に埋めた硬貨の入った壺を取り出した。下の息子は聖ジョルジュの恰好をして写真を撮り、上の息子がハンググライダーで丘から飛び立つと、ヴァンサンが帰ってくるのが見えた。教会ではバルテレミーの結婚式が行われていた。
家の中を窺っていたヴァンサンを、妻はおかえりと言って迎え、雨どいが泥だらけになってしまったとだけ零しただけで、翌朝には、ヴァンサンが出勤に使う車を洗って待っていた。そして、以前と変わらず、ヴァンサンを送り出した。
以上、映画「月曜日に乾杯!」のあらすじと結末でした。
月曜日に乾杯!のレビュー・考察:変わらない日常
どこの街に住む人にもその人のの日常生活がある。自分の日常から少し離れたヴァンサンが父言われて見分を広めに行き知った事の中で、これが一番重要な事だと思う。それと同時に彼には帰る日常があるというのも当たり前のよう迎える妻の言葉に示唆される。そして、教会の聖ジョルジュの壁画や、ヴェニスのサン・ジョルジョ教会に焦点が当たるあたりに監督がジョージア出身というアイデンティティと、移民経験があるからこそ、どこの地域にもそこで生活を営む人々の日常生活があると言うメッセージを強く感じる。
冴えないおじさんヴァンサンのロードムービーです。冴えない日常生活から逃げ出したヴァンサンの旅の様子が、時にクスリとさせる出来事やほのぼのとする出会いを織り交ぜながら淡々と描かれています。仕事で疲れた時に観ると、なぜか元気が湧いてくる一本。