チャップリンの殺人狂時代の紹介:1947年アメリカ映画。オーソン・ウェルズのアイデアを基に伝説の喜劇王チャールズ・チャップリンが監督・脚本・製作・音楽・主演を手掛けた、これまでの喜劇色から一転してシリアスな作風となったブラックコメディ作品です。1920年代のフランスに実在した殺人鬼をモデルに、金と生活のために次々と殺人を犯す男の顛末を反戦思想と絡めて描きます。
監督:チャールズ・チャップリン出演者:チャールズ・チャップリン(アンリ・ヴェルドゥ)、マーサ・レイ(アナベラ・ボヌール)、イソベル・エルソム(マリー・グロネイ夫人)、マリリン・ナッシュ(若い未亡人)、ロバート・ルイス(モーリス・ボテロ)、メイディ・コレル(モナ・ヴェルドゥ)、アリソン・ロダン(ピーター・ヴェルドゥ)、マーガレット・ホフマン(リディア・フローレイ)、チャールズ・エヴァンズ(モロー刑事)ほか
映画「チャップリンの殺人狂時代」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「チャップリンの殺人狂時代」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
チャップリンの殺人狂時代の予告編 動画
映画「チャップリンの殺人狂時代」解説
この解説記事には映画「チャップリンの殺人狂時代」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
チャップリンの殺人狂時代のネタバレあらすじ:起
アンリ・ヴェルドゥ(チャールズ・チャップリン)は墓の下から自身の生前について語り始めました。それは愛する妻子を養うために次々と女性を殺して金を奪ってきた男の辿った顛末でした…。
…遡ること1930年のフランス。30年もの間真面目に勤めていた銀行員のヴェルドゥは折からの大恐慌によって仕事を失いました。ヴェルドゥには身体の弱い妻モナ(メイディ・コレル)とまだ幼い息子ピーター(アリソン・ロダン)がおり、彼は妻子を養うために裕福な女性と重婚し、殺害しては金を奪って株に投資することを繰り返していました。
ヴェルドゥはこの時も妻子の存在を隠してフランス北部のワイン商・クーヴェ家の女性と重婚していましたが、この女性は預金を解約して行方をくらましてしまっていました。その頃、ヴェルドゥはこの女性が解約した6万フランを株に投資していました。
クーヴェ家の者たちは司法警察に女性の捜索を願い出、モロー刑事(チャールズ・エヴァンス)はここ3年間で12人の女性が謎の失踪を遂げている事件と今回の件が似ていることから共通点を深く探るため捜査を始めました。
チャップリンの殺人狂時代のネタバレあらすじ:承
ヴェルドゥはクーヴェ家の女性が死んだことにして家を処分することを思いつきました。やがて不動産業者と共にマリー・グロネイ(イソベル・エルソム)という中年女性が現れ、マリーが未亡人だと知ったヴェルドゥは彼女を口説こうとしますが、気分を害した彼女はその場から立ち去っていきました。
その後、株価の暴落で5万フランの損失を出したヴェルドゥは重婚相手の一人であるリディア・フローレイ(マーガレット・ホフマン)を訪ね、銀行が破綻すると嘘をついて彼女の預金7万フランを下させ、リディアを殺して金を手に入れてモナとピーターの元に戻りました。
ヴェルドゥは家族や友人には投資で稼いでいると嘘をついており、夫の行いを知らないモナは、自分たちの前では良き夫であり父親であるヴェルドゥに感謝していました。やがてヴェルドゥは重婚相手の一人であるアナベラ・ボヌール(マーサ・レイ)の元に向かい、彼女から金を巻き上げて殺そうと画策しましたが、家にクビにしたメイドが戻ってきたために実行には移せませんでした。
マリーの住所を調べ上げたヴェルドゥは彼女にも狙いを定め、友人のモーリス・ボテロ(ロバート・イス)から心臓麻痺に見せかけて人を殺すことができ、しかも証拠の残らない毒薬の作り方を聞き出しました。早速毒薬を調合したヴェルドゥは、街で見かけた若い女(マリリン・ナッシュ)を実験台にしようと声をかけて家に招き入れました。しかし、ヴェルドゥは、夫を戦争で亡くし自分も窃盗罪でつい最近まで刑務所に服役していたという女の身の上話を聞くうちに実験を思いとどまり、彼女に一握りの金を渡して帰しました。
チャップリンの殺人狂時代のネタバレあらすじ:転
かねてからヴェルドゥの足取りをつけていたモロー刑事は彼の自宅を訪ね、行方不明になった女性たちについて尋ねてきました。モロー刑事が確たる証拠を掴んでいることに気付いたヴェルドゥはモロー刑事に毒薬入りのワインを飲ませ、妻の前で自白することを約束して一緒に汽車に乗り込みました。そしてヴェルドゥはモロー刑事が心臓麻痺を起こして死んだことを確認して汽車を降りました。
邪魔者を消したヴェルドゥは再度アナベラに狙いを定め、毒を飲ませようとしましたが、メイドが瓶を置き換えたことにより失敗に終わりました。続いてヴェルドゥはアナベラと共にボートに乗り、湖の上で彼女を殺そうとしましたが、目撃者がいたためにこれも失敗に終わりました。
その一方でマリーに花束を贈ってアプローチを続けていたヴェルドゥは彼女から好感触を得、マリーと結婚式を挙げることになりましたが、何と式場にアナベラがいることに気付いたヴェルドゥは式の途中で逃げ出してしまいました。やがてマリーやクーヴェ家の者たちは、警察でヴェルドゥが関わっているとされる事件について知ることとなりました。やがて世界は大恐慌に見舞われ、ヴェルドゥは株価の暴落により破産してしまいます。
チャップリンの殺人狂時代の結末
数年後、すっかり心がすさんでしまったヴェルドゥは偶然にもかつて自分が親切にした女と再会しました。女は軍需工場の社長の愛人となって今では裕福な暮らしを送っており、礼がしたいとヴェルドゥを食事に誘いました。ヴェルドゥは妻子を失ったことを打ち明け、「私は夢の世界に生きていた。恐ろしい世界だ。今、目が覚めた」と語りました。その時、その場に居合わせたクーヴェ家の者たちはヴェルドゥを見かけて警察に通報、ヴェルドゥは女に別れを告げると駆け付けた警察に抵抗することなく逮捕されました。
裁判にかけられたヴェルドゥは死刑判決を受け、「私を殺人鬼と検事は言うが、世界は大量殺人(戦争)のために破壊兵器を作っているのです。その点では私はアマチュアです」と発言しました。そして処刑の日、ヴェルドゥは弁護士や神父、記者らに自分のしたことはビジネスだと語り、「戦争や紛争などは全てビジネスなのです。一人を殺せば悪人で、100万人を殺せば英雄です。数が殺人を神聖にする」と持論を述べました。そしてヴェルドゥは刑務官から生まれて初めて飲むラム酒をいただき、神父に祈りを捧げられながら処刑場へと連行されていきました。
以上、映画「チャップリンの殺人狂時代」のあらすじと結末でした。
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