少女ムシェットの紹介:1967年フランス映画。生活は貧しく、母が病気の14歳のムシェット。学校でも先生に目を付けられ、友だちはいない。心休まる場所のない少女はある夜、森で道に迷う…。ジョルジュ・ベルナノスの小説を原作に、ロベール・ブレッソンが前作『バルタザールどこへ行く』等と同様に素人俳優たちを起用して、虚飾を排した抑制された演出で孤独な少女の姿をフィルムに定着させた。
監督:ロベール・ブレッソン 出演者:ナディーヌ・ノルティエ(ムシェット)、ジャン=クロード・ギルベール(アルセーヌ)、ポール・エベール、(父)、マリア・カルディナール(母)、ジャン・ヴィムネ(マチュー)、マリーヌ・トリシェ(ルイザ)ほか
映画「少女ムシェット」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「少女ムシェット」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「少女ムシェット」解説
この解説記事には映画「少女ムシェット」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
少女ムシェットのネタバレあらすじ:起・不幸な少女
フランスの田舎町に住む14歳の少女、ムシェットの家は貧しい。家で寝ている重病の母親に代わって赤ん坊の世話や家事をしなければならない。トラックで密造酒を運搬している父親と兄は帰ってもムシェットを手伝ってなどくれない。
学校もムシェットにとって楽しい場所ではない。音楽の時間、合唱で声を出していないと先生に頭をつかまれ、音程を外して歌うと同級生の女の子たちに笑われる。
学校が終わると、ムシェットは彼女たちに泥をぶつけてやるのだった。ムシェットの心の支えはお母さんだが、お母さんは娘のことを思うとまだ死ねないと思っていた。
少女ムシェットのネタバレあらすじ:承・お祭り
お祭りの日、ムシェットは酒場で皿洗いをして小遣いを稼ぐが、報酬はすぐに父親に渡さなければならない。その仕事の後、遊具のバンパーカーのチケットを他人から譲られたムシェットは、自分の乗り物を他の乗り物にぶつけて楽しむ。
特に一人の若者と笑顔を交わす。バンパーカーから降りた後、射的場にいる若者にムシェットが話しかけようとすると、父親が現れてムシェットをひっぱたいて自分のテーブルに連れていくのだった。
森番のマチューは祭りを酒場女のルイザと楽しむ予定だったが、その日になってルイザに拒否される。あろうことか、ルイザが森番の仇敵である密猟者のアルセーヌといっしょに遊具に乗っているのを見てしまう。マチューはルイザにあいつを殺してやると話す。
少女ムシェットのネタバレあらすじ:転・森の中
ある放課後、ムシェットはまた同級生に泥を投げた後、森深く歩いていくが道に迷う。やがて雨が降り出し、木陰に隠れているうちにすっかり暗くなる。
その夜、マチューはアルセーヌを捕まえるためにずっと森にいて、とうとうアルセーヌが罠を見に来た現場を押さえる。二人はルイザをめぐって河原で取っ組み合いになるが、結局二人で笑い合う。
やがて、木陰でうずくまっているムシェットをアルセーヌが発見し、小屋に連れていき、びしょ濡れの体を乾かすように言う。
その後アルセーヌはムシェットを別の家に連れていく。アルセーヌはマチューと仲直りした後のことを酔っぱらってよく覚えていなかった。彼の罠にかかってけがをしたマチューを死なせたかもしれないと心配している。ムシェットはアルセーヌが殺人犯にされないように嘘のアリバイを証言することを承知する。
すると、突然アルセーヌがてんかんの発作を起こして倒れる。ムシェットは教室で歌えなかったコロンブスの歌を歌ってアルセーヌを介抱する。だが、回復したアルセーヌは、ムシェットにアリバイを証言する約束を破るなと迫り、テーブルの下に逃げたムシェットを押し倒して犯してしまう。
ムシェットはアルセーヌから逃げて家に帰る。お母さんは、捜していたのよと言う。さっそく哺乳瓶を胸の中で温めてから赤ん坊にミルクを飲ませたが、頬を涙が伝わり続けていた。お母さんに話を聞いてほしかったが、夜中お母さんはムシェットに酒を飲ませてもらってからすぐぐったりする。そして朝には息を引き取っていた。
少女ムシェットの結末:池のほとりで
ムシェットはミルクをもらいに出かける。食料品店の女主人がムシェットを慰めようとコーヒーとクロワッサンをふるまってくれるが、ムシェットの胸についた傷を見て、ふしだらを咎める。ムシェットはコーヒー茶碗を落として割ったままに食料品店を後にする。
マチューのことが気になって彼の家の前に行くと、ちょうどマチューがドアを開けて出てくる。マチューによると、今朝アルセーヌが密猟容疑で逮捕された。アルセーヌは森でムシェットと会ったと言っているとのこと。マチューは厳しく昨夜のムシェットの足取りを問いただす。マチューの妻はムシェットがアルセーヌに犯されたことに感づいて同情するが、ムシェットは、私はアルセーヌの愛人よと言い放って去っていく。
近所のおばあさんがムシェットを呼び止める。服と棺桶の母親を包むための布をムシェットに渡し、葬式の心配をするが、ムシェットは素直な態度を取らない。森ではウサギ狩りの銃声が響き、獲物のウサギが倒れる。ムシェットは池の側からトラクターの男に合図を送るが男は気に留めない。
ムシェットはおばあさんに渡された服を胸に抱いて何度か草の上を転がった後、池に落ちて水面から上がってこなかった。
以上、映画「少女ムシェット」のあらすじと結末でした。
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