ミス・マープル/最も卑劣な殺人の紹介:1964年イギリス映画。アガサ・クリスティーの小説『マギンティ夫人は死んだ』を映画化。殺人事件の謎に挑む探偵ミス・マープルの活躍を描くミステリー作品。マーガレット・ラザフォードが演じる「ミス・マープル」シリーズの第3作目にあたる。元女優マギンティ夫人が殺害され、下宿人にその容疑がかけられた。誰もが下宿人の有罪を信じる中、ミス・マープルだけが異を唱える。マギンティ夫人が誰かを恐喝していたことを突き止めたミス・マープルは、怪しい劇団に潜入調査を敢行するのだった。
監督:ジョージ・ポロック 出演:マーガレット・ラザフォード(ミス・マープル)、ロン・ムーディ(ドリフォルド・コスグッド)、チャールズ・ティングウェル(クラドック警部)、ラルフ・マイケル(ラルフ・サマーズ)、ストリンガー・デイヴィス(ジム・ストリンガー)ほか
映画「ミス・マープル/最も卑劣な殺人」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ミス・マープル/最も卑劣な殺人」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ミス・マープル/最も卑劣な殺人の予告編 動画
映画「ミス・マープル/最も卑劣な殺人」解説
この解説記事には映画「ミス・マープル/最も卑劣な殺人」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ミスマープル/最も卑劣な殺人のネタバレあらすじ:始まりの殺人事件
舞台は1964年のイギリス、ミルチェスター。ある夜、酒場の給仕で元女優のマギンティ夫人が遺体となって発見されます。現場には100ポンド分の紙幣が散らばっており、バラの花が1輪落ちていました。警察は下宿人ハロルド・テイラーを捕まえ、裁判が始まります。
誰もがテイラーの有罪を確信する中、陪審員の1人が異を唱えました。名推理で有名な老嬢、ミス・マープルです。裁判は評決に達しなかったため、日を改めて再審を行うことになりました。現場に落ちていたバラの花に着目したミス・マープルは、マギンティ夫人が誰かを待っていたのではないかと推理します。そこで翌日、現場検証と称してマギンティ夫人宅に潜入しました。
荷物を調べたミス・マープルは、マギンティ夫人がコスグッド劇団の芝居を何度も観に行っていたことを突き止めます。更に文字が切り抜かれた新聞も発見しました。夜、家に帰ったミス・マープルは、友人ストリンガーと共に新聞を調べます。切り抜かれた文字を組み合わせたミス・マープルは、これが脅迫状であることに気付きました。
「1951年9月を思い出せ」「バラは名を変えてもバラ」という文面に首を捻るミス・マープル。彼女はマギンティ夫人の脅迫相手がコスグッド劇団の誰かであり、その人物が真犯人であると推理します。そこで劇団の巡業先であるハルフォードに出向き、入団希望者と偽って潜入調査を始めることにしました。
ミスマープル/最も卑劣な殺人のネタバレあらすじ:潜入調査
劇団の団長ドリフォルド・コスグッドは、はじめミス・マープルを追い返そうとしました。しかし彼女が金を持っていることをちらつかせると、資金援助を狙って研究生として迎え入れることにします。そこにフラフラと現れたのは、劇団の若手俳優ジョージ・ロートンでした。彼はそのまま倒れ、死亡が確認されます。ヒ素による毒殺でした。警部補のクラドックらがすぐに捜査を開始します。
ジョージの楽屋にはマギンティ夫人の脅迫状が置いてありました。クラドック警部補はジョージがマギンティ夫人から脅迫を受け、彼女を殺害したのだと考えます。罪の重さに耐えかねた服毒自殺だと判断しますが、ミス・マープルは否定しました。脅迫状は警察の捜査を攪乱するため、犯人が置いたものだと推理したのです。ミス・マープルは、劇団員の中でマギンティ夫人殺害前に銀行から100ポンドを引き出した人物はいないか、確認するよう仕向けました。
夜になり、ミス・マープルは宿屋で劇団員の紹介を受けます。アップワード卿の養女シーラ、彼女の婚約者ビル・ハンソン。皮肉屋のアーサーに、中年俳優ラルフ・サマーズ。ラルフの妻モーリーンに、霊感少女のイーヴァ、そしてドロシーが劇団のメンバーです。ジョージが愛用していたという部屋に泊まることになったミス・マープルは、「9月を思い出せ」という芝居の台本がベッドに置かれているのを発見します。
翌朝、ミス・マープルはストリンガーを訪ねました。そしてマギンティ夫人が脅迫していたのは、1951年に「9月を思い出せ」の上演に関わり、今も劇団にいる人物だと推理します。そこで、ストリンガーにロンドンの検閲機関へ行ってこの芝居の上演記録を調べるよう頼みました。ストリンガーが調べたところ、「9月を思い出せ」はやはり1951年に実験的に上演されていたそうです。出演者の中にはマギンティ夫人がいました。ミス・マープルは、出演者リストを届けてくれるよう頼みます。
ミスマープル/最も卑劣な殺人のネタバレあらすじ:深まる謎
コスグッド劇団は、次の公演に殺人ミステリーの芝居を選びました。ミス・マープルは探偵役に抜擢され、皆と稽古を続けます。そこでわざと被害者の名前を「マギンティ夫人」に変え、団員に揺さぶりをかけてみました。その後、銀行口座を調べたクラドック警部補がミス・マープルを訪ねて来ます。100ポンドを引き出したのはジョージでした。それを聞いたミス・マープルは、犯人はマギンティ夫人への口止め料をジョージの口座から盗み、発覚を恐れて彼を殺害したと推理します。そして先ほどの稽古でひと芝居打ったので、犯人は今夜動くはずだと話しました。
その考えは的中し、ミス・マープルの部屋の前に「あの女に気づかれてる 午前1時にキッチンへ」というメモが落ちていました。午前1時にキッチンへ向かったミス・マープルは、青酸ガスの臭いに気付きます。急いで換気したミス・マープルは、ドロシーの遺体を発見しました。頭を抱えるクラドック警部補に、ミス・マープルはどうやって犯人がドロシーを殺害したのか説明します。
犯人はガスコンロのタイマーを午前12時55分にセットしていました。コンロに置かれた鍋の中にはシアン化ナトリウムと酸を仕込んだロウが入れられています。熱によってロウが溶け、ガスが発生。1時にコンロの火は消え、直後にキッチンに入ったドロシーが死亡したのです。
クラドック警部はほとんどの劇団員が怪しいと言い出しました。ラルフはミルチェスターで巡業中マギンティ夫人と密会しており、それをモーリーンも知っています。イーヴァはジョージと交際していましたが、彼に手ひどく捨てられていました。ミス・マープルの部屋の前に落ちていたメモはアーサーのタイプを使って打たれたものです。その後ミス・マープルはストリンガーが届けてくれた出演者リストを読み、「ローズ・ケイン」という女優に注目しました。
ミスマープル/最も卑劣な殺人のネタバレあらすじ:13年前の毒殺事件
ミス・マープルはローズ・ケインについて調べ始めます。彼女は13年前、地方巡業中に自分の夫を毒殺した罪で絞首刑になっていました。当時10歳ほどだった子どもイヴリンに買いに行かせたソーセージに除草剤を混ぜたそうです。イヴリンはローズの友人マギンティ夫人によって、施設に預けられました。ミス・マープルは、13年前の事件と今回の事件の真犯人はイヴリンだと推理します。
そして迎えた上演直前、ミス・マープルはクラドック警部補に、犯人は今夜自分の命を狙いに来るだろうと告げました。犯人は青酸ガスでミス・マープルを殺害するつもりでしたが、アイロンの電源を消すためキッチンへ入ってしまったドロシーが身代わりに死亡してしまったのです。あのメモは本来ミス・マープルをおびき出すための罠でした。
ミスマープル/最も卑劣な殺人の結末:真犯人の正体
ついにコスグッド劇団の舞台が始まります。楽屋で待機していたミス・マープルのもとへ、イーヴァが現れました。彼女はナイフでミス・マープルを脅し、舞台下に連れて行きます。イーヴァはミス・マープルがジョージを殺したと誤解し、復讐しようとしていました。しかし何者かの登場に驚き逃げ去ってしまいます。現れたのは、真犯人ビルでした。
彼の正体はイヴリン・ケイン。13年前の事件後に改名していたのです。そのことに気付いたマギンティ夫人は、彼とシーラの婚約を知って脅迫していたのでした。ビルはミス・マープルの推理通り、一連の事件は全て自分の犯行だと告白します。そしてミス・マープルをも殺害しようとしました。しかしミス・マープルは、保険をかけてこっそり銃を持って来ていたのです。抜群の射撃の腕前でビルを追い詰め、ついに犯人逮捕に至りました。
今回の功績でクラドックは警部に昇格します。ミス・マープルの部屋に台本を置いたのはコスグッドでした。彼は援助を引き出すため、自信作を印象づけようとしたのです。しかしミス・マープルは援助をきっぱり断りました。ミス・マープルとストリンガーが仲良く馬車で去り、この映画は終わりを迎えます。
以上、映画「ミス・マープル/最も卑劣な殺人」のあらすじと結末でした。
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