武蔵野夫人の紹介:1951年日本映画。大岡昇平の同名小説を映画化。脚本は溝口組の常連スタッフである依田義賢だが、評論家・劇作家の福田恒存も協力。原作の心理描写を大胆にカットし、純粋なメロドラマに変えてある。田中絹代の好演が見どころ。
監督:溝口健二 出演:田中絹代(秋山道子)、轟夕起子(大野富子)、森雅之(秋山忠雄)、山村聡(大野英治)、片山明彦(宮地勉)、ほか
映画「武蔵野夫人」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「武蔵野夫人」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「武蔵野夫人」解説
この解説記事には映画「武蔵野夫人」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
武蔵野夫人のネタバレあらすじ:起
元鉄道省事務官の宮地信三郎は、中央線小金井駅から十五分ほど歩いたところに千坪の地所を買い込み、そこに妻の民子とともに暮らしています。やがて昭和二十年になって空襲が激しくなると、娘の道子夫妻も渋谷の家が焼けたために、荷物を運んできて同居するようになりました。
道子の夫の秋山はある私立大学のフランス語の教師でしたが、どこか傲慢なところがあり、「あの男は卑しい奴だから気をつけなさい」と信三郎が道子に直接注意するほどです。隣には信三郎の甥の大野英治が妻の富子とともに住んでいますが、軍の下請けで金持ちになった大野の方が秋山と話が合うようでした。
武蔵野夫人のネタバレあらすじ:承
同居が続くうち、民子、そして信三郎が続けて病没。広い家に道子夫妻だけが住むようになって、ようやく戦争が終わります。復員兵が続々と帰ってきましたが、その中に道子の従弟である勉もいました。勉はもともと真面目な青年でしたが、戦場を体験したことで性格がかなり投げやりになっていました。
終戦後の放縦無頼の風に身を任せてしまい、大学に復学しても勉強には身を入れず、女遊びにうつつを抜かすようになります。それを心配した道子は彼を自宅に住まわせ、その行状を監督することにします。
武蔵野夫人のネタバレあらすじ:転
しかし、それはかえって秋山家と大野家の人間関係をさらに複雑化することになりました。というのも、以前から秋山は奔放な富子に惹かれ、彼女と関係を持とうとしていたのですが、男慣れした富子の方は越してきた勉を誘惑しようとしていたからです。
勉の方では寂しげな様子の道子に同情し、いつか二人は相思相愛の仲となりました。しかし貞淑な道子は勉から誘われても決して身を任せません。やがて道子と勉の仲を知った秋山は、富子を口説いて駆け落ちします。二人きりになると勉は自分の欲望を抑えづらくなったため、再び都内で下宿ぐらしを始めます。
武蔵野夫人の結末
秋山の方では地所の権利書を売って富子と贅沢な暮らしをしようとしていたのですが、カネに変えるには書類が足りず、ひとりで家に帰る羽目になります。すると、自分の将来に絶望した道子が薬を飲んで自殺しようとしていました。
即死にはなりませんでしたが、薬が回って体が衰弱し、もはや虫の息です。なんとか翌朝まで持ちこたえたものの、結局道子は秋山たちが見守る中、静かに死んでいきます。
以上、映画「武蔵野夫人」のあらすじと結末でした。
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