人間の紹介:1962年日本映画。野上弥生子の長編小説『海神丸』を監督の新藤兼人自身が脚色。極限の飢餓状態に置かれた人間が狂っていく様を冷徹に描く。出演は乙羽信子、殿山泰司、佐藤慶といった新藤作品お馴染みのメンバー。
監督:新藤兼人 出演:乙羽信子(五郎助)、殿山泰司(亀五郎)、佐藤慶(八蔵)、山本圭(三吉)、渡辺美佐子(亀五郎の妻)、加地健太郎(ボースン)、村山知義(警部)、ほか
映画「人間」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「人間」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「人間」解説
この解説記事には映画「人間」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
人間のネタバレあらすじ:起
海神丸という古ぼけた小舟がお盆前に伊豆大島から出港します。近くの島から石を積んで戻ってくる予定でした。
乗り込んでいるのは、船長の亀五郎(殿山泰司)、その甥の三吉(山本圭)、「お盆用のいい稼ぎになるから」と声をかけられた八蔵(佐藤慶)、そしてアワビを売りに行くためにその場で便乗することになった海女の五郎助(乙羽信子)です。
彼らは全員気心の知れた仲間で遠慮がありません。行き交う船からはカツオを分けてもらったりして、お盆前にひと稼ぎしようと気分も浮き立っていました。
人間のネタバレあらすじ:承
ところが、短い船旅になる予定が、嵐が襲ってきたために狂ってしまいます。雨風は非常に激しく、いくら水を汲み出しても追いつきません。
ついには帆柱が折れ、エンジンも海水を被って故障してしまいます。おまけにガソリンも海中に流れてしまったため、エンジンを直したとしても航行はできません。
船は為す術もないまま東に東に流され、もはや陸地はもちろん、他の船舶も全く見当たりませんでした。海神丸は完全に遭難してしまったのです。
人間のネタバレあらすじ:転
亀五郎たち4人はご飯を炊いたりして救援を待ちますが、何日経っても付近には漁船ひとつ通りません。食料はご飯や味噌、それに五郎助が持ってきたアワビや里芋がまだあったのですが、困ったのは水でした。
漂流が長引くにつれ、ついには備蓄が底をつきます。全員が喉の渇きに苦しみ、もうおしまいかと思われました。しかし幸い雲が現れて雨を降らしてくれたため、全員が元気を取り戻します。
ところが漂流が続くうちに、今度は食べ物が乏しくなり、八蔵は亀五郎が食材をごまかしているのではないかと疑います。
人間の結末
亀五郎と不仲になった八蔵と五郎助は、舳先の倉庫部分に寝泊まりすることになりますが、あまりの空腹に耐えかね、その肉を喰らおうと若い三吉をナタで殺害。それを知った亀五郎と殺し合いになりかけます。
しかし罪悪感に駆られた2人は反省し、亀五郎とともに三吉の遺体を水葬にします。
やがて嵐の後、サンフランシスコからの貿易船が通りかかって海神丸を発見。3人はようやく救助されます。しかし三吉を殺した罪悪感は消えず、五郎助は狂ったように暴れた挙げ句、甲板から船底に落ちて死亡。
取り調べの際に八蔵もナイフを持って船べりに走り、自ら腹を刺して海へと身を投げるのでした。
以上、映画「人間」のあらすじと結末でした。
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