怪談新耳袋 ノブヒロさんの紹介:2006年日本映画。我が子を守ろうとした悲しき母の選択。怪奇蒐集家、木原浩勝と中山市朗による実話怪談集「新耳袋」原作のTVシリーズ「怪談新耳袋」劇場版の第3弾。
監督;豊島圭介 出演者; 内山理名(里中悦子)、平田満(島崎のぶひろ)、岩本千波(里中彩香)、高橋和也(藤村明彦)、佐々木すみ江(ノブヒロの母)、でんでん(ノブヒロの兄)、筒井真理子(悦子の上司)、織本順吉(住職)、田島令子(悦子の母)ほか
映画「怪談新耳袋 ノブヒロさん」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「怪談新耳袋 ノブヒロさん」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「怪談新耳袋 ノブヒロさん」解説
この解説記事には映画「怪談新耳袋 ノブヒロさん」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
怪談新耳袋 ノブヒロさんのネタバレあらすじ:起
母に「悦ちゃん」と呼ばれた幼い少女は階段の下で先に待っているよう言われました。そこで人だかりを目にし、男女の遺体を目の当たりにしてぬいぐるみのクマを落とします。そんな彼女に一人の男が声を掛けました。「見ちゃだめだよ、えっちゃん」男は悦子の事を何故か知っていました。時が経過し、デザイナー会社に勤めるシングルマザーの悦子は仕事と育児に精神的ストレスを抱えていました。幼い一人娘の彩香とバスに乗っている最中、彩香が喘息の発作を起こしたみたいに目の前に立つ中年男に怯えていました。悦子が娘を気にかけて向こう側を見ると男はいません。ある日、仕事で画家のノブヒロという中年男のアトリエに向かい、彼に絵のモデルになってくれるよう頼まれました。
怪談新耳袋 ノブヒロさんのネタバレあらすじ:承
悦子はノブヒロのアトリエに通ううちに彼と親しくなりますが、初対面にもかかわらず自分の事を「えっちゃん」と呼んできたり、ノブヒロ自身のことを「ノブヒロ」と名前で呼ぶよう悦子に強制したりと不気味で変わったところがありました。ノブヒロの母と兄と途中で対面しますが、訪ねてきた母は怒り狂って初対面の悦子を毛嫌いし、息子に近づくなと拒絶します。それを止めるノブヒロの兄だけが唯一「まとも」でした。悦子は母に娘の面倒を見てもらいながら彼のモデルとなり、母としてのストレスを発散させようとします。娘の彩香が熱を出し、異常なまでに痙攣していた為、ノブヒロのアトリエに行けなかった悦子。その夜に、家までノブヒロが訪ねてきたので子どもが熱を出した事を伝えるとノブヒロは消えてしまいます。しかし、ノブヒロと話をしているはずの悦子の向かい側には人などいなく、窓からその様子を覗いていた悦子の母は不審に思いました。翌日、職場に警察が来て、ノブヒロが死んだと聞かされて唖然とします。今度は母が娘、彩香のように痙攣して入院することになりますが、彼女は病室でノブヒロの幽霊に操られて階段で残酷な死に方をして悦子に発見されました。この日以来、ノブヒロは悦子に対して異常なまでの執着を繰り返すようになり、悦子は母の葬儀を済ませた後、真相を知る為にノブヒロのアトリエを訪ねます。そこでやはりノブヒロの母に追い返されそうになりますが、ノブヒロの知人で彼の精神科医、芙木村が悦子の話を聞いてくれました。
怪談新耳袋 ノブヒロさんのネタバレあらすじ:転
ノブヒロの執着はとどまることなく、悦子の一人娘、彩香にも近づきます。生前、ノブヒロと悦子と彩香で会った事があり、ノブヒロは偶々、彩香が店の前で欲しがっていたビスクドールを買ってあげようかと話し掛けたことがありました。その時、彩香はノブヒロに異常なほど敵意と恐怖を感じていたのです。彩香はベランダに出ていて、人形を持っており、「あの人がくれた」というのです。悦子はノブヒロのアトリエに再び侵入し、何故彼が自分に執着するのかを確かめに行きます。そこで彼女は階段を上がり、アルバムを見つけます。そのアルバムにはなんと悦子が赤ちゃんの頃から現在に至るまでの写真が保管されていたのです。更に複数のカセットテープも。生前、ノブヒロが悦子をモデルにする時に「日記」のようなものと称した記録用のボイスレコーダーとカセットを使っていた事を思い出しました。ふいに、ノブヒロの母が息子を訪ねてきたので悦子は慌ててクローゼットへ隠れます。中からその様子を見ていると母親はノブヒロが死んだにも関わらず彼がまだこの家にいて生きているかのように振舞うのです。それを駆けつけたノブヒロの兄が止めに来ます。狂ったように息子の名前を呼ぶ年老いたノブヒロの母。彼らが去った後、悦子はカセットテープを聞きます。すると、ノブヒロは自分が誕生したとの事や成長記録を語っていて、更には娘、彩香の事も悦子に似て素晴らしい目をしていると言うので、彼が母親からは「死んだ」と聞かされていた実父なのではないかと疑います。悦子は藤村のいるクリニックにテープを持っていって相談します。彼が言うには、ノブヒロは自身の事を曾祖父の生まれ変わりだと思い込み、また、悦子を曾祖父と共に亡くなった女性だという妄想性の病気だというのです。生前、悦子はノブヒロからアトリエで曾祖父とその恋人が心中しようとしているところを描いた絵を見せられた事がありました。帰宅した悦子をノブヒロは襲い、悦子は精神的にもノブヒロに憑りつかれて洗脳状態になってしまいます。上司から会社に警察が訪ねてきて悦子を疑っている事やこれ以上、会社の存続のためにも悦子を庇えないという留守電連絡が入り、仕事も解雇されてしまいました。悦子親子を心配した彼女の母の葬儀を引き受けた住職が家を訪ねてきます。彼は直ぐに悦子がノブヒロに操られている事に気付いて手助けしようとしますがノブヒロに殺されてしまいました。彩香と帰宅した悦子は見えるノブヒロと会話し、彩香を放置しています。しかし、堪り兼ねた彩香が「ママを連れていかないで」と叫んだ瞬間、洗脳が解けて正気に戻り、娘を守ろうとします。
怪談新耳袋 ノブヒロさんの結末
追い掛けて来るノブヒロは悦子に「理想の女性に育ったはず」と父親なのかただのストーカーなのか曖昧な発言をします。屋上まで母娘を追い詰め、悦子はノブヒロに自分は学生時代、万引きした事もあるし男と付き合った数も多い、ノブヒロが思っているような女でないと伝え、ノブヒロは声を荒げて叫びながら悦子に尚近づきます。娘の彩香に耳鳴りがするよう攻撃し、彼女の幼い口から吐血させます。残忍な我が子への攻撃に悦子は怒り「娘を傷付けないでほしい」と訴えました。彩香は話せるようになると、「見てたもん、ママの事」そう、あの時、悦子と彩香を見ていたのはノブヒロで、彼はずっと悦子と彩香の姿を2人が彼と対面する前から写真で撮っていたのです。その様子を彩香は不審に思い見ていました。悦子は我が子を守る為にノブヒロの犠牲になる選択をします。彩香に先に下へ降りて待っているよう説得しますが、彩香はお母さんと一緒が良いと言ってきかず、思わず状況的に気持ちが焦って彩香に手を上げそうになる悦子ですが、娘の気持ちを汲み取り、優しく接してから彼女に下で待つよう、促しました。彩香はとぼとぼと階段を下りていきますが、その直後に悦子は飛び降りて亡くなりました。曲がった母の遺体を見つめる幼い彩香にノブヒロが悦子にした時と同じように後ろから小さな肩に手を置いてそっと声を掛けます。「見ちゃだめだよ・・・」と。
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