のんちゃんのり弁の紹介:2009年日本映画。入江喜和の同名マンガを原作にした実写映画で、東京の下町を舞台に、ダメ亭主と離婚して自立した一人の女性として一人で子育てしようと決心した30代の主婦が、得意の料理の腕を活かしてお弁当屋を開こうと奮闘する姿を軽妙なタッチで描いたハートフルドラマ映画です。小春が作るお弁当にも必見です。
監督:緒方明 出演:小西真奈美(永井小巻)、岡田義徳(永井範朋)、村上淳(川口建夫)、佐々木りお(永井乃里子 / のんちゃん)、山口紗弥加(玉川麗華)、岸部一徳(“ととや”の主人・戸谷)、倍賞美津子(原フミヨ)、ほか
映画「のんちゃんのり弁」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「のんちゃんのり弁」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「のんちゃんのり弁」解説
この解説記事には映画「のんちゃんのり弁」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
のんちゃんのり弁のネタバレあらすじ:1.プロローグ:小巻、娘・のんちゃんと実家へ帰る
ある朝、台所で卵を割りフライパンで炒めそぼろを作り、ほうれん草を包丁で刻み、手際よくお弁当を作っている女性がいました。彼女は永井小巻、31歳、専業主婦です。テレビのある部屋からは、彼女の愛娘・永井乃里子、愛称「のんちゃん」が歌を歌いながら、幼稚園に行く着替えをしていました。また、その部屋には彼女の夫・永井範朋が布団もかぶらず、だらしなく眠っていました。そして、その横の机の上には、離婚届がありました。そこには既に小巻が署名・捺印していました。小巻は自称「作家」で親のすねをかじって何もしないダメ亭主の範朋に愛想を尽かし離婚し、家を出て京島の実家に帰るところでした。「できた!」という娘のんちゃんの声を聞くと、小巻はのんちゃんと手をつなぎ、家を出て行きました。小巻たちが駅で切符を買っていると、自転車で追いかけてきた範朋が引き留めに来ました。小巻は範朋の制止を振り切り、電車で娘と実家へと帰っていきました。電車の中、事情が分からないのんちゃんは無邪気に、母・小巻と食べ物についておしゃべりをしていました。「何が食べたい?」と問う小巻に、のんちゃんは「ママののり弁がいい!」と笑顔で答えました。
のんちゃんのり弁のネタバレあらすじ:2.小巻ののり弁
小巻はのんちゃんを連れ、京島の実家に帰りました。突然の出戻ってきた小巻に、母・原フミヨは驚きました。のんちゃんは「いただきま~す」と言って、小巻が作ったお弁当を開け、美味しそうに食べ始めました。それは一見するとただののり弁でした。「のり弁?子供には栄養取らさないと」と言うフミヨに、小巻は「断面を見てよ」と言い、のり弁の解説をしました。そののり弁は只ののり弁ではありませんでした。一番した下は「切り干し大根とじゃこの混ぜご飯」、その上には「ほうれん草のごま和え」「ゆかりごはん」「玉子そぼろ」そして「ごはん」の上にちぎられたのりをまぶした、とても手の込んだ栄養にも気を遣った美味しいお弁当でした。それも全部冷蔵庫の残り物で作っていました。また、のりをちぎることで、お弁当のふたの裏にのりがひっつくという問題をも、小巻は克服していました。小巻は料理上手でした。
のんちゃんのり弁のネタバレあらすじ:3.幼なじみ・玉川麗華との出会い
母・フミヨは着付教室と年金で、何とかひとりで生活している状態でした。フミヨには、二人の生活費までみる余裕はありませんでした。そんなことは何も考えずに出戻りした小巻は、昼間、保育園にのんちゃんを預けている間、どこかで仕事をして、母・フミヨには迷惑をかけないようにすることを考えていました。しかし、フミヨは小巻が月々の養育費や離婚の慰謝料をもらわずに帰ってきたことに対して、苦言を呈しました。また小巻は貯金もなく、来年からのんちゃんが小学校に行くこと、そしてその先々の生活費をどうするかなど、具体的なことは全く何も考えていませんでした。小巻はフミヨから指摘され、焦りました。小巻はまずのんちゃんを京島の保育園に入園させました。そこで偶然、幼なじみの玉川麗華と偶然出会いました。麗華はそこで保育士をしていました。麗華もバツイチでした。スタイルがよく美人の麗華はちょっと不良っぽいところがあり、派手好きでした。そんな麗華に小巻は仕事の相談をしました。麗華は夜の水商売をすれば、時給がよくて稼げると自身の経験から小巻にアドバイスしました。小巻はのんちゃんを麗華のいる保育園に入園させました。そこでは週に4日、お弁当を持ってくることになっていました。のんちゃんのお弁当は、みんなの注目の的となっていました。一見只ののり弁ですが、小巻が手をかけたのんちゃんのお弁当は、毎日違う構造になっていたからでした。ある日のお弁当は、一番下が「ひじきご飯」、その上に「玉子そぼろ」「にんじんとしらすご飯」「いんげん」「ご飯」そして「ちぎられたのり」といった具合で、美味しく楽しいものだったからでした。みんな、のんちゃんのお弁当をうらやましがりました。
のんちゃんのり弁のネタバレあらすじ:4.初恋の同級生・川口建夫との出会い
その頃、小巻は就活の真っ最中でした。小巻はまずは自分に合った普通の会社でのアルバイトの面接にいきました。しかし、小巻が望む形で雇ってくれる都合のよい会社はありませんでした。ある会社で、小巻は面接官から「あんた、日本経済なめてませんか」と叱咤されてしました。30過ぎで子持ち・バツイチ(まだ正式に離婚手続きはできていない)で何の資格もない小巻は、落ち込み、麗華の紹介で水商売の世界で働く決意をしました。そんな時、小巻は16年ぶりに初恋の同級生・川口建夫に偶然出会いました。建夫は実家の写真館を継いでいました。建夫はまだ結婚をしておらず、独身でした。小巻はそんな建夫との出逢いにちょっとトキメキを感じました。その翌日、小巻はのんちゃんのお弁当を作るついでに、麗華たち先生のお弁当も作ってあげました。小巻のお弁当の話は麗華たち先生の中でも話題となっていたのでした。園児たちの間でものり弁が流行り、のんちゃんのようなのり弁が流行り出しました。そんな中、小巻はちょっと工夫をして、いつもと違う「イタリア国旗風のり弁」というイタリアの国旗の色をした見た目も楽しく、食べて美味しいのり弁を作り、のんちゃんを喜ばせました。小巻は麗華ら先生たちには、のんちゃんとは違う構造の大人向けに栄養バランスも考えたお弁当を作ってあげました。それは美味しく先生方から好評を得ました。
のんちゃんのり弁のネタバレあらすじ:5.初めての水商売
その夜、小巻は麗華の紹介の「小雪」というママ一人の和風バーに行きました。初めて水商売の世界…、小巻にとっては冒険でした。小巻はその初日、男性客から抱きつかれたり、チューされたりして、セクハラを受け、嫌になり辞めてしまいました。その夜、落ち込んだ小巻は帰り道、ひとり自販機でワンカップのお酒を買い、憂さ晴らしに飲みながら帰りました。小巻は酔った勢いで、建夫に電話をして、「淋しいよ~。一緒に飲もう」と誘い出そうとしました。そこに現れたのは、夫・範朋でした。範朋はずっと小巻をつけていました。範朋は小巻の携帯電話を取り上げ、「建夫って誰?」と小巻に詰め寄りますが、小巻はあかしませんでした。小巻はしつこい範朋に「私は自立した立派な女性になるの」と言い放ち、帰ろうとしました。そんな小巻に範朋は自分のことは棚に上げ、「なれないよ。特殊な才能を使って、世の中の役に立つ人間にならなくちゃ」と説きました。その言葉を聞いた小巻は現実を全く見ずノンキャリの自分を責め、落ち込みました。範朋はそんな小巻を見て、寄りを戻そうと言いますが、小巻は頑としてそれを拒否しました。
のんちゃんのり弁のネタバレあらすじ:6.小巻と建夫
小巻はとりあえず、誰でもできるティッシュ配りのアルバイトをしました。しかし、小巻はそれもあまりうまくできませんでした。ある日、小巻は建夫の写真館を訪ねました。ちょうど建夫がお客さんのところまで配達に行くところでした。建夫の父と祖母は小巻の姿を見て、驚き、「遅くなってもいいぞ」と言いました。建夫は小巻と共に車で配達に行きました。建夫はいきなりラブホテルに入りました。小巻は驚き、口臭チェックをしたりしましたが、建夫は単に配達に来ただけでした。小巻は自分が変な妄想していたことに、少し恥ずかしくなりました。建夫と小巻は、公園でお客さんからもらった団子を食べながら、談笑しました。建夫は祖母から自分が死ぬまでに孫の顔が見たいと言われていましたが、なかなかいい相手を巡り会わないとぼやきました。小巻はそんな建夫に「結婚しなくていいよ。私がご飯作ってあげる。私が嫁になってあげようかなあ」と言いました。建夫は小巻に「うん、いいね。なってくれる」と返しました。小巻はその建夫の言葉にビックリして、言葉を詰まらせました。建夫は「冗談」と言い、笑い飛ばしましたが、二人は互いに惹かれ合っていました。
のんちゃんのり弁のネタバレあらすじ:7.「ととや」主人・戸谷長次との出会い
建夫は小巻を次の配達先に連れて行きました。そこは「ととや」という一軒の小さな居酒屋でした。「ととや」の主人・戸谷長次は新規客を開拓するため「鯖の味噌煮」を作っていました。長次はその鯖の味噌煮を小巻に味見を兼ねご馳走しました。小巻はその鯖の味噌煮を食べました。その料理の味は小巻がこれまでに味わったことのない美味しさでした。小巻は感動し、主人の長次に「私を弟子にしてくれませんか」と言いました。小巻は自分がやりたいことが見えたのでした。それは料理でした。長次は小巻の言葉に驚きましたが、小巻があまり外で食べ歩いていないことを見抜き、もっと外で料理を食べてから考えるように諭しました。小巻はその日から、「ととや」で味わった味を再現しようと、鯖の味噌煮ばかり作りました。書店で本を見て研究して、幾度も試しました。小巻は鯖の味噌煮をお弁当に入れ、保育園の先生方や建夫たちに食べてもらい、感想を聞いたりし、研究に研究を重ねました。しかし、小巻にはどうしてもあの「ととや」でのあの美味しい味は再現できませんでした。
のんちゃんのり弁のネタバレあらすじ:8.小巻の決意
ある日、麗華が小巻のもとにやってきました。麗華は小巻にお金を渡しました。それは小巻のお弁当へ、麗華たち保育園の先生方が「こんな旨いもの、タダでは申し訳ない」という気持ちから集まったお金でした。小巻は「嬉しい」と呟き、決意しました。小巻は「私、お弁当屋開く。安くて美味しいお弁当屋を」と宣言しました。麗華は賛成しました。その夜、気持ちを抑えられない小巻は「ととや」の主人・長次に味見をしてもらおうと、自作の鯖の味噌煮を持ち、「ととや」に向かいました。「ととや」にはお客さんがいっぱい来ていました。その注文を長次は一人できりもみしていました。注文が飛び交う店の状況を小巻は見かね、フロア係を務めました。そして、結局、小巻はその流れで閉店までお店のフロア係をしました。お客さんがいなくなった「ととや」で、小巻は主人・長次に「タダでいいので働かせてください。私、お弁当屋さん、やりたいんです。やっと、自分の“生き場所”が見えたんです!」と懇願しました。長次はその小巻の決意の熱意と気迫に脱帽し、小巻を雇うことにしました。さあ、小巻の「ととや」での修行が始まりました。小巻はフロア係をしながら、長次から料理のレシピや、コツなどを教えてもらいました。長次も小巻に知っていることは伝授していきました。小巻は次第に仕事をすることの意義や生き甲斐を見つけ始めました。店を開くための資金がなかなか貯まらず困っている小巻に、長次はお昼の営業時間外の「ととや」を弁当屋として使うことを提案しました。しかし、小巻は自分の力で開店することにこだわりました。そんな小巻に長次は今日まで働いた分としてバイト代を払おうとしました。小巻はそれを受け取ることを拒みました。そんな小巻に長次は「お金を得ることは悪いことではない。悪いのは何もしないでお金をもらうことだ」と諭しました。小巻は長次からバイト代を受け取りました。
のんちゃんのり弁のネタバレあらすじ:9.のんちゃん、誘拐される!?
ある日、小巻は念願のお弁当屋さんを開くための食品衛生責任者免許を取得しました。小巻はまずそれを建夫に見せに行きました。建夫は小巻に「写真館を閉めて、俺と一緒に弁当屋をしないか」とプロポーズしました。意表をつかれた小巻に一本の電話がかかってきました。それは麗華からで、「のんちゃんが男の人に誘拐された」というものでした。小巻は建夫と保育園に急行、手分けして、町中を探し回りました。しかし、のんちゃんを見つける事ができませんでした。小巻は「ととや」に今日は行けないということを伝えるため電話をしました。すると長次は「早くおいで、娘さんと旦那さんが待っているよ」と言いました。のんちゃんは父・範朋と一緒にいました。麗華が言っていた誘拐犯とは範朋のことでした。小巻は「ととや」に急行しました。建夫も小巻の後を追い、「ととや」に行きました。小巻が着くと、範朋がのんちゃんと一緒に食事をしていました。範朋はその後に来た建夫の姿を見ると、建夫に「あんたじゃ、小巻は満足できねえ」と言い放ちました。範朋は小巻に「絶対に別れないからな」と言いました。小巻はそんな範朋の態度に怒り狂いました。小巻は範朋を殴り飛ばしました。のんちゃん、駆けつけたフミヨの制止も聞かず、小巻は範朋を殴り倒しました。範朋も負けじと小巻を殴り返し、「ととや」の店内で二人は壮絶なバトルを繰り広げました。もう「ととや」の店内は無茶苦茶になってしまい、警察が来てようやく二人のバトルは収まりました。
のんちゃんのり弁のネタバレあらすじ:10.責任を取るとは?
警察で説教を受けた小巻と範朋は、建夫の車で小巻の実家に帰りました。その車中、範朋は小巻に「別れようか」と言いました。三人が帰ると、なぜか、麗華と長次がいました。フミヨ、長次、建夫、麗華、そして、範朋、小巻、のんちゃんで、夕飯を囲みました。料理は長次が作ったものでした。その席で、小巻は長次にお店を無茶苦茶にしたことを謝罪しました。そして、小巻は長次に「お昼間、『ととや』をお弁当屋として使わせてほしい。お店の修復は私が責任をもってやります」と願い出ました。長次は小巻の言葉を聞くと、静かに箸を置き、小巻に「あんたの言う責任って何なの。弁当屋始めること? 離婚して一人で生きていくこと? 何かの責任を取るってことは、だいたい他の何かをほったらかしにしなきゃいけないんだ。全部抱えてたら、みんな腐らせちまうんだ。あんた、それがわかるかい?」と叱咤しました。しかし、長次は小巻が自分の手を“大人の手”にすることを条件に、昼間、店を貸すことにしました。そんな様子を見ていたのんちゃんは、食べるのをやめてしまいました。のんちゃんは、お父さんとお母さんが別れることは、二人がいなくなると思い、泣き出しました。小巻と範朋は二人でのんちゃんに「二人はいつでものんちゃんのお母さんとお父さんで、いつでも会えるよ」と言い、慰めました。
のんちゃんのり弁の結末:11.小巻とのんちゃん、新たなスタート
そして月日が流れ、のんちゃんの保育園卒業式の日が来ました。範朋が影からそっと見に来ていました。範朋は小巻に署名捺印した離婚届を渡しました。小巻はようやくこれで正式に一人の女性として自立していくことになりました。プロポーズをした建夫も小巻と決別し、写真館を閉め、祖母の実家へと転居して行きました。のんちゃんが小学校へ行く初日、小巻は仕入れた食材を抱え、まだ日が昇らない時間に一人、「ととや」に行き、お弁当づくりに励みました。この日、小巻は「お弁当屋さん」として、第2の人生をスタートさせました。
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