大いなる旅路の紹介:1960年日本映画。大正末期から昭和30年代に至る激動の時代、岩手を舞台に機関士一筋の人生を送る一人の男とその家族の歴史を描いた人間ドラマ。主演の機関士役に三國連太郎、次男静夫役を高倉健、脚本は新藤兼人が担当しています。
監督:関川秀雄 出演者:三國連太郎(岩見浩造)、風見章子(岩見ゆき子)、高倉健(岩見静夫)、中村嘉葎雄(岩見孝夫)、南廣(岩見忠夫)、小宮光江(岩見咲子)、加藤嘉(佐久間太吉)ほか
映画「大いなる旅路」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「大いなる旅路」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
大いなる旅路の予告編 動画
映画「大いなる旅路」解説
この解説記事には映画「大いなる旅路」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
大いなる旅路のネタバレあらすじ:起
大正末期の岩手県盛岡駅。駅長を目指し東京の鉄道教習所に通うことになった佐久間太吉を鉄道員の仲間達が見送りにきています。仲間達との別れを惜しみながら東京へと旅立っていく太吉、その姿を複雑な表情で見守る男がいます。彼の名は岩見浩造、機関車の助手として働いている青年です。浩造もまた駅長を夢見て教習所の試験を受けましたが、合格したのは親友の佐久間だけ、鬱屈した気持ちを抱える浩造はついやけ酒を煽り、小料理屋の主人と派手な喧嘩を繰り広げてしまいます。大雪の降るある日、浩造達の貨車に親類の急病で急いでいるという若い女性ゆき子が乗ってきます。浩造は屋根のない貨車で寒さに凍えるゆき子に毛布を掛けてやります。これが縁になり浩造とゆき子は結婚することになりました。
大いなる旅路のネタバレあらすじ:承
所帯を持ち落ち着くかと思われた浩造でしたが、好きな酒をやめられず、結婚を早まったかもしれないと機関士の先輩橋本にこぼすなど、家長としての自覚はなかなか芽生えません。そんなある日浩造達の乗る貨車が雪崩に巻き込まれ、断崖へ転落するという大事故が起きてしまいます。機関車から飛び降りた浩造は無事でしたが、運転手の橋本は機関車に身体を挟まれたまま命を落とすのでした。この事故により浩造は機関士として乗客の命を預かることの大切さを改めて実感し、身を引き締めて仕事に励むようになります。そして浩造夫妻は長男の忠夫と次男静夫、三男の孝夫と長女の咲子という四人の子供に恵まれます。浩造は運転士として懸命に働き、一家を支えていきます。しかし1930年代に入っていくと、満洲事変や日支事変が起き、やがて日本は太平洋戦争へと突き進んでいきます。盛岡駅でも出兵する兵士達を見送る光景が多く見られるようになります。
大いなる旅路のネタバレあらすじ:転
やがて長男忠夫のもとにも召集令状が届き、忠夫は出征していきました。次男の静夫は父の後を継いで機関士になることを決意し、見事鉄道教習所の試験に合格します。そして三男の孝夫は予科練習生に志願し、入隊するため家を出ていきました。さらに忠夫が戦死したという知らせが届き、浩造とゆき子は悲しみに暮れます。時は流れ、昭和21年冬、年頃になった咲子は浩造達の反対を押し切ってやくざ者の田辺という男と一緒になり、家を出ていきます。東京を彷徨っていた孝夫は静夫に汽車賃を用立ててもらい盛岡へと戻ってきますが、敗戦によりすっかり生きる気力を失った孝夫は地元で働き口を見つけることもなく、再び家を出ていきます。浩造とゆき子は子供達が全員いなくなってしまったことに寂しさを募らせていきます。その後田辺に棄てられた咲子が家に舞い戻ってきますが、浩造は咲子の身勝手さを許せず、家を追い出してしまいます。しかし内心では娘が心配で仕方ない浩造は、ゆき子に金を持たせ、汽車で岩手を出ようとしていた咲子に届けさせるのでした。
大いなる旅路の結末
教習所を卒業し、晴れて機関士となった静夫は佐久間の娘芳江と結婚することが決まり、浩造夫妻は二人の結婚を心から喜びます。東京でボーイとして働いていた孝夫が再び盛岡に帰ってきますが、慣れない都会で無理をして働き続けた孝夫の身体はボロボロになっていました。数日後浩造達に見守られながら孝夫は静かに息を引き取ります。孝夫の葬儀が終わると、佐久間が久しぶりに盛岡に帰ってきました。浩造が新橋の駅長となった佐久間の出世ぶりを褒め讃えると、佐久間も機関士として一日も休まず働き続けてきた浩造の勤勉さを讃えるのでした。咲子からは名古屋の製材所で働く男性と結婚をしたという手紙が届き、浩造とゆき子は咲子が幸せにやっていることを知って安堵します。定年退職した浩造は長年の機関士としての功績が認められ、国鉄から功績章を受けることになりました。浩造はゆき子とともに上京し、授賞式に出席します。ゆき子が名古屋にいる咲子の顔を見て帰ろうと思っていることを静夫に話すと、静夫は自分の運転する新幹線こだまで浩造達を名古屋に連れていくと張り切り出すのでした。翌日浩造達は静夫の運転する新幹線で名古屋に到着しました。咲子はバラック住まいの質素な暮らしをしていましたが、夫婦共々極めて幸福そうであり、浩造とゆき子は名古屋に来てよかったと心から思うのでした。盛岡に戻ってきた浩造が通り過ぎていく汽車を見つめながら、長い旅路だったと呟くと、ゆき子はまだ終わっていませんよと返します。浩造は明日への希望を胸に線路を見守り続けるのでした。
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