夏物語の紹介:2006年韓国映画。ひとりの女性だけを想い続けてきた初老の男がテレビ番組の企画で女性を探し求めるうちに、過去の鮮やかな記憶が蘇っていく姿を、二つの時代を交互に織り交ぜて描いた韓国発の純愛ドラマで、主演のイ・ビョンホンは過去編の20代と現代編の60代を一人で演じ分けて新境地を開きました。第15回春史大賞映画祭の最優秀作品賞受賞作です。
監督:チョ・グンシク 出演者:イ・ビョンホン(ユン・ソギョン)、スエ(ソ・ジョンイン)、イ・セウン(イ・スジン)、オ・ダルス(ナム・ギュンス)、チョン・ソギョン(キム・マンドク村長)、ユ・ヘジン(プロデューサー)ほか
映画「夏物語(2006年)」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「夏物語(2006年)」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
夏物語の予告編 動画
映画「夏物語(2006年)」解説
この解説記事には映画「夏物語(2006年)」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
夏物語のネタバレあらすじ:起
女性放送作家のイ・スジン(イ・セウン)は、初恋の人を探すというテレビ番組の企画を任され、かつての恩師である元大学教授のユン・ソギョン(イ・ビョンホン)の元を訪ねました。ソギョンは60歳を過ぎても未だに独身を貫いており、ソギョンはスジンの提案に驚きながらも彼女の熱意に負けて取材に協力することにしました。病を患っているソギョンはスジンに「キョンアの花を折った男」という一冊の古びた本を渡し、この本の持ち主である、かつて愛した女性を探してほしいと依頼しました。
スジンは本を手掛かりに、ソギョンが学生時代に農村ボランティアをしていたという田舎の農村スネリを訪れ、本の持ち主であるソギョンの初恋の人が勤めていたという図書館に向かいましたが、村人が言うにはその女性は遥か昔に男と駆け落ちしてソウルに向かったという衝撃の事実でした。ソウルに戻ったスジンは引き続き初恋の女性を探しましたが、なかなか消息を掴むには至りませんでした。
夏物語のネタバレあらすじ:承
1969年の夏。若者たちは独裁政権を敷く朴正煕大統領に反対するデモや学生運動に明け暮れていましたが、実業家の息子でプレイボーイを気取っていたソギョンはこれらの運動に全く興味を示しませんでした。
そんなある日、ソギョンは友人に誘われ、無理やりスネリへの農村ボランティアに参加させられることになりました。村の暮らしに馴染めないソギョンでしたが、偶然にも空き家の庭で歌を歌いながら体操をしていた若い女性ソ・ジョンイン(スエ)と出会い、彼女の屈託ない性格に次第に惹かれていきました。村の図書館に勤めるジョンインは文字の読めない村人に自ら本を読み聞かせてあげる活動をしており、その際に使われていた本こそが「キョンアの花を折った男」だったのです。しかし、そんなジョンインにもひとつだけ深い苦悩を抱えていました。それは、ジョンインの父は娘を村に残して北朝鮮に亡命した共産主義者だということでした。
夏物語のネタバレあらすじ:転
ある日、ソギョンはジョンインから、彼女が両親から教えてもらったある物語を聞かせてもらいました。それは竜王の子が仏となって昇天した時、後を追った魚が石になったという伝説であり、マノ寺という寺にその石があるということでした。
ソギョンはジョンインとデートを重ね、帰りのバスに乗り遅れて雨の山道を歩いて帰ったり、村人のために企画した映画の上映会を楽しんだりするなど関係を深めていきました。ジョンインはソギョンに二人が出逢った空き家が彼女が両親と過ごしていた家であることを明かし、「ヒノキの葉には人を呼ぶ力がある」と教えてくれました。
そんなある日、ジョンインは些細なことから村長(チョン・ソギョン)から、「アカの一家」と罵られてしまいます。その直後、ジョンインの勤める図書館が火事になってしまい、ジョンインはすっかり落ち込んでしまって空き家に引きこもるようになりました。その後、村長はジョンインの元を訪れて発言を謝罪、図書館を設けて村人に学ぶ機会を与えてくれたジョンインの父に感謝の意を示しました。
それから間もなく、ソギョンは仲間たちと共に風雲急を告げるソウルへ戻ることになり、ジョンインはソギョンにヒノキの葉の飾りを渡しました。しかし、ジョンインへの想いを断ち切れないソギョンは彼女との駆け落ちを決意、二人で村を離れてソウルに向かいましたが、学生運動の混乱の最中に二人は離れ離れになり、やがて当局に身柄を拘束されてしまいました。
夏物語の結末
ソギョンとジョンインには北朝鮮のスパイの容疑がかけられ、二人は当局で再会を果たしました。ソギョンはあえてジョンインとは無関係を装い、ジョンインもまた彼の気持ちを汲んで無関係と主張しましたが、取調室を出た際にソギョンは強くジョンインを抱きしめ、一生そばにいると約束しました。やがて釈放されたソギョンとジョンインはソウルを離れることを決意しましたが、ジョンインは突如として頭痛を訴え、ソギョンが薬を買いに行って戻ってきた時には既に彼女の姿はありませんでした。
時は流れて現在、病の悪化したソギョンはスジンの励ましもあって立ち直り、ジョンインがソギョンの前から姿を消してから勤務していたという小学校を訪れました。校庭にはジョンインが植えたというヒノキの木があり、そして彼女はもう既にこの世にはいないことを知りました。ソギョンはジョンインがいつかヒノキの木の葉が自分に届くことを願っていたことを知り、はらはらと涙を流しました。ソギョンの遺品の中にはかつてジョンインが話してくれた魚の石があり、ソギョンは改めて彼女に想いを馳せていました。
以上、映画「夏物語」のあらすじと結末でした。
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