映画「スターシップ9」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
スターシップ9の紹介：2016年スペイン,コロンビア映画。住めなくなった地球を捨てて、新天地へと向かうため20年もの旅を続けてきた宇宙船。そこでたった1人生きてきた女性が、修理のため派遣されたエンジニアの男性と出会う。2人は恋に落ちるが、この宇宙船には信じられない事実が隠されていた…。2012年、「注目すべき若手スペイン映画製作者」の1人にも選ばれたアテム・クライチェ監督のSFサスペンス。宇宙船で生まれ落ち、地上の人間を見たことがないという複雑なキャラクターのヒロインを、クライチェ監督の「ヒドゥン・フェイス」（2011）にも出演していたクララ・ラゴが演じている。
監督：アテム・クライチェ 出演者：クララ・ラゴ（エレナ）、アレックス・ゴンザレス（アレックス）、アンドレス・パーラ（ウーゴ）、ジョン・アレックス・カスティーロ（チャオ）、ベレン・ルエダ（シルビア）、クリスティーナ・リレイ（キャサリン）、サラ・デレー（エレナの母親）ほか
この解説記事には映画「スターシップ9」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
近未来の世界。恒星間飛行を続ける宇宙船の中に、たった１人で生きているエレナ。エレナが乗るこの船は、荒廃した地球を捨てて新天地となる星・セレステに向かっていました。彼女の母親は、かつてエレナをこの船内で出産。父親とともに3人だけで飛行を続けていました。しかしある時、突発的な給気トラブルで酸素不足に陥り、両親はエレナを生かすために船を去ったのです。救難信号を送り続け、酸素を温存しながら生きていたエレナのもとに、ようやく地球から修理要員のエンジニア・アレックスがやって来ます。エレナにとって、両親以外に生まれて初めて接する人間でした。エレナはアレックスに問いかけます。セレステに着くまで、あと20年もこの船で独り生き続けなければならない。そんな人生に何の意味があるの？と。作業を中断し、眠りについたアレックスのベッドにエレナが近づきます。彼女にはキスの経験すらありません。この先の孤独を考えるといたたまれないのです。アレックスはためらいますが、そのままエレナと結ばれます。しかし翌日、修理を終えたアレックスは昨夜の出来事を謝り、悲しそうなエレナを置いて早々にシャトルカプセルに乗り込んでしまいます。ところが、アレックスがカプセルの扉を開くとそこは森の中です。実はエレナがいるのは宇宙などではなく、地下に作られたシミュレーター施設の中。エレナは、「オービター計画」と呼ばれる人類惑星移住を成功させるための実験台として生かされている“モルモット”だったのです。
アレックスは、オービター計画に参加する科学者でした。シミュレーターは全部で10機あり、エレナがいるのは“シャトル9”です。エレナのことが忘れられないアレックスは、シャトル9に潜入して彼女に真実を伝え、地上へと導きました。エレナは大きなショックを受けますが、アレックスを信じてついて行きます。アレックスはエレナを自分のアパートに匿い、信頼する女性セラピストのシルビアに相談します。アレックスの身を案じるシルビアは、何かあったら助けると約束してくれました。アレックスは上司のウーゴに隠れてエレナのシミュレーターをハッキング。この先もエレナの脱走を隠し続けられるよう細工します。しかしエレナは自分以外の“モルモット”の存在を危惧し、アレックスを問い詰めます。地上で数日間過ごすうちに、エレナの背中に赤い斑点が現れます。アレックスは親友の医者チャオに診せますが、チャオはエレナが何者かを見破ります。一方、1人で留守場をしていたエレナは、アレックスの部屋でオービター計画に関するファイルを見つけます。そこには耐えがたい事実が書かれていました。10機のシミュレーターに閉じ込められていた乗員達は、人間ではなくクローンだったのです。ショックを受けたエレナは、自分の“両親”だと思っていた科学者夫婦の住所を見つけるとアパートを飛び出します。
科学者夫婦は、突然現れたエレナに驚きます。エレナはクローンバンクで作られた存在でした。父親は冷たく船に戻れと言い放ちますが、母親はそんな父親を阻止してエレナを抱きしめます。エレナが両親に会ってきたことを知ったアレックスは心を傷めます。2人はアパートを出て、モーテルに身を潜めます。アレックスとエレナの逃亡を知った上司のウーゴは、兵士達を従え行方を捜索。アレックスが頼ったのは、シルビアの診療所でした。シルビアは、自分の故郷に両親がいるからそこに身を隠すよう提案します。しかし診療所にウーゴ達が現れ、シルビアを射殺。アレックスとエレナは町中を走って逃げ回りますが、何かを決心したエレナはアレックスだけを逃がし、自分は進んでウーゴに取り押さえられます。追手を振り切ったアレックスはチャウと密会します。チャウはエレナの検査結果について話します。シミュレーターの中で生まれたエレナは、無菌室でしか生きられない体質でした。アレックスは悲しみます。その頃、捕らわれの身のエレナは、船の中に戻してほしいとウーゴに言いますが返事はノー。エレナは、それならアレックスを見逃してと頼むのでした。
アレックスはウーゴに電話し、ある取引を持ちかけます。科学者がモルモットに恋をするなんて、と嘲笑するウーゴは、上層部の命令によりエレナを殺害することになっていました。アレックスはウーゴに「あなたの望みを叶える」と言い、エレナが実は妊娠6週目であることを告げます。船内で出産し、胎児を観察することは法で禁じられていました。アレックスが出した条件とは、妊娠しているエレナと共に、自分もシミュレーターの中で暮らすというものだったのです。アレックスの条件は受け入れられました。それから十数年後。森の中に埋められたシャトル9の扉が開きます。大勢の科学者達が見守っており、そこには年齢を重ねたウーゴの姿もあります。シミュレーターの中から、1人の少女が静かに歩み出てきました。科学者達が見守る中、少女は笑顔で後ろを振り返ります。そこにはアレックスとエレナらしき人影がありました。
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