オルフェの紹介:1949年フランス映画。詩人・小説家・劇作家・画家・批評家・映画監督と多彩な才能を発揮していたジャン・コクトーが、ギリシャ神話のオルフェウスの悲劇を現代(映画製作時の1940年代末期)に舞台を移して映画化した作品です。妻帯者である詩人オルフェはある出来事をきっかけに死の世界の王女に惹かれ、妻よりも王女を深く愛するようになってしまい…。
監督:ジャン・コクトー 出演者:ジャン・マレー(オルフェ)、マリー・デア(ユリディス)、マリア・カザレス(王女)、フランソワ・ペリエ(ウルトビイズ)、エドゥアール・デルミ(セジェスト)、ジュリエット・グレコ(アグラオーニス)、アンリ・クレミュー(警部)、ロジェ・ブラン(新聞記者)ほか
映画「オルフェ(1949年)」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「オルフェ(1949年)」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
オルフェの予告編 動画
映画「オルフェ(1949年)」解説
この解説記事には映画「オルフェ(1949年)」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
オルフェのネタバレあらすじ:起
ここは文学を志す青年たちが集うカフェ。その中には大衆に人気のある詩人オルフェ(ジャン・マレー)の姿がありました。ある時、若手有望株の詩人青年セジェスト(エドゥアール・デルミ)が“王女”(マリア・カザレス)と呼ばれる女性と共にカフェにやってきました。自らの才能に行き詰まりを感じ始めていたオルフェは、若く瑞々しいセジェストの才能に嫉妬を覚えていました。
そんな時、セジェストが詩人仲間といざこざを起こしました。警察まで出動したこの騒ぎは何とか収束しましたが、その直後にセジェストは2台のバイクに轢かれて死んでしまいました。王女は運転手ウルトビイズ(フランソワ・ペリエ)の運転するロールスロイスにセジェストの遺体を運び入れると、たまたま近くにいたオルフェに目撃者になってほしいと頼むとロールスロイスに乗せて走り出しました。
移動中、王女はカーラジオのスイッチをつけると、周りの景色の色がなぜか反転しました。そこに先程セジェストを轢いた二人のバイク乗りが近づいてきて、王女はなぜか「お疲れ様」と声をかけました。ラジオからは抽象的な詩のようなものが流れていました。
ロールスロイスが向かったのは警察署ではなく、謎めいた邸宅でした。オルフェはセジェストの遺体を室内に運び入れる王女たちに説明を求めましたが、王女らは何も答えませんでした。その時、死んだはずのセジェストが突然生き返り、王女やバイク乗りたちと共に部屋の鏡の中へと消えていきました。驚いたオルフェは鏡を確認しましたが、それは何の変哲もないただの鏡でした。
オルフェのネタバレあらすじ:承
失神してしまったオルフェが目を覚ました場所は邸宅ではなく荒涼とした土地でした。オルフェはウルトビイズに自宅まで送ってもらうことにしました。
オルフェの妻ユリディス(マリー・デア)は彼との子を身籠っていました。ユリディスはいつまで経ってもオルフェが帰らないことを心配し、自宅に友人のアグラオーニス(ジュリエット・グレコ)や警察を呼んでオルフェについて話し合っていました。そこにオルフェが帰宅してきましたが、ユリディスらの問いかけに対して何も答えませんでした。代わりにウルトビイズが言葉巧みにユリディスに状況を説明して安心させました。
オルフェは王女が現れた時に備え、ウルトビイズに頼んでロールスロイスを自宅で預かることにしました。この日の夜から、王女は毎晩のようにオルフェの夢枕に現れるようになりましたが、オルフェはそれには気付きませんでした。
オルフェは翌日から、ロールスロイスのカーラジオから流れてくる謎の暗号を読解しようと夢中になって聞き込むようになりました。才能の限界を感じていたオルフェはこの暗号から何かインスピレーションが得られるのではないかと考えていました。この頃からなぜかウルトビイズも度々オルフェの家を訪れ、いつの間にか居座っていることが多くなりました。いつしかオルフェの心は王女に惹かれていき、ユリディスはオルフェの心が自分から離れて行くことに気付いていました。
オルフェのネタバレあらすじ:転
ある日、オルフェは街中で王女を見つけました。しかし、王女は姿を消したかと思えば再び現れたりとオルフェを翻弄していきました。そんなオルフェを、カフェの詩人仲間はセジェストの死の主犯ではないかと思い込み、警察に捜査を求めました。しかし、警察は証拠不十分を理由に突っぱねました。
そんなある日、ユリディスはバイクに轢かれて死んでしまいました。ウルトビイズはユリディスの遺体をあの邸宅に運びましたが、鏡の中から王女とセジェストが現れました。王女はウルトビイズがユリディスに恋をしてしまったことに気付いており、死人であるはずのウルトビイズが現世の人間に恋をするとは愚かな行為だと非難しました。ウルトビイズもまた、死の世界の人間であるはずの王女がオルフェを誘惑したことを非難し、二人は口論となりました。そして王女はユリディスを死の世界へと連れていきました。
ウルトビイズはオルフェの元に向かい、ユリディスの死を伝えましたが、オルフェはカーラジオの暗号に夢中になっていて聞く耳を持とうとはしませんでした。しかし、ようやくユリディスの死に気付いたオルフェは自らの行いを深く後悔し、ウルトビイズと共に死の世界に乗り込むことにしました。
オルフェの結末
オルフェは王女が残していった手袋を使い、鏡の中に入って死の世界に入り込みました。そこでは王女がユリディスを殺害した罪で裁判を受けているところでした。死の世界の掟では現世の人間を愛することはできず、掟に背いた者は死よりも過酷な運命を背負うことになっていました。オルフェはそれでも王女への想いを抱いていましたが、王女は死人が生ある者を愛することはできないと諭しました。
裁判の判決が下り、オルフェはユリディスの姿を二度と見ないことを条件に、現世にユリディスを連れて帰ることになりました。現世に戻ったオルフェはユリディスの顔を見ることなく暮らしていましたが、オルフェの心が未だに王女に囚われていることを悟ったユリディスはロールスロイスのミラーを使ってオルフェに自らの姿を見せ、再び死の世界へと戻っていきました。
その頃、世間ではオルフェがセジェストを殺したという噂が広まっていました。そしてある時、詩人仲間たちがオルフェの家に押し入り、オルフェは銃で撃たれて命を落としました。死の世界に入ったオルフェは現れた王女に愛を告げましたが、王女はウルトビイズとセジェストに命じて時間を巻き戻し、オルフェが王女と出逢う前の時間に戻しました。
オルフェとユリディスは過去の記憶を失い、現世でいつものように暮らしていました。オルフェはこれまでと同様にユリディスと愛し合っており、もうじき自分が父親になることを喜んでいました。一方、王女とウルトビイズは裁きを受け、死よりもはるかに過酷な運命を課せられることとなりました。
以上、映画「オルフェ」のあらすじと結末でした。
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