パッションの紹介:1982年スイス, フランス映画。ビデオ撮影で名作絵画(『夜警』、『裸のマハ』他)を活人画として再現する映画を製作中のポーランド人監督。しかしストーリーのない映画の撮影は難航する。監督は工場労働者の若い女、工場主の妻の二人と付き合っている。『勝手に逃げろ/人生』で商業映画に復帰したゴダールが、彼の初期作品を支えた撮影監督ラウル・クタールと再び組み、「光の具合がよくない」と嘆く劇中の監督とは違い、美しい映画を完成させた。監督を演じるのは、アンジェイ・ワイダ監督『大理石の男』に主演したイェジー・ラジヴィオヴィッチ。撮影当時、やがてポーランド民主化を担うことになる独立自主管理労働組合「連帯」への政府の弾圧が強まり、それがこの映画の時代背景となっています。
監督:ジャン=リュック・ゴダール 出演者:イザベル・ユペール(イザベル)、ミシェル・ピコリ(ミシェル)、ハンナ・シグラ(ハンナ)、イェジー・ラジヴィオヴィッチ(ジェルジー)、ラズロ・サボ(ラズロ)、ミリアム・ルーセル(ミシェルの姪)ほか
映画「パッション(1982年)」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「パッション(1982年)」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「パッション(1982年)」解説
この解説記事には映画「パッション(1982年)」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
パッションのネタバレあらすじ:起・難航する撮影
スイスらしい村のスタジオで、ポーランド人監督のジェルジーが映画を撮影している。映画のスタッフがインタビューに答えている。この映画にはストーリーはない。しかるべく扮装した俳優によって有名な絵画を再現しようとしている。
レンブラントの『夜警』を撮影しているが、監督は光の具合がよくないと言って、その日の撮影をやめる。こんな状況が4か月続いていた。
この地に来てからジェルジーは工場労働者のイザベルと、撮影関係者が宿泊するホテルの女主人ハンナの二人に執心している。ジェルジーはハンナの映画出演を希望する。一方、映画より工場の方がいいと言うイザベルは工場から違約金なしで首にされ、工場主ミシェル・グラに対する抗議集会に来てほしいと、吃音になりながらジェルジーに訴えるが、ジェルジーは集会に出ることを承知しない。
彼自身が首になりそうで他人のことをかまっていられない。イザベルとジェルジーがいっしょにいるのを見て気になってしまうハンナだが、彼の夫の工場主ミシェルも妻とジェルジーの関係を疑っているようだ。
夜、イザベルの家で労働者の集会がもたれるが、自分自身の首が飛ばないか心配な彼らの気勢は上がらない。
パッションのネタバレあらすじ:承・映画と工場
地面にシャーベット状に雪が積もる。イザベラは首になった工場にやってきては仲間と共にミシェルへの抗議を続けていた。また助監督のパトリックと製作進行係のソフィーも工場にやってきては、エキストラを探している。
映画人は信用できないと言ってエキストラをやめてしまった、イザベラの友人マガリの代わりとして、ミシェルの反対にもかかわらず。彼の、耳が聞こえず口がきけない姪がエキストラに選ばれる。
ジェルジーは、スタジオを放り出して、彼が映画に主演させたいハンナを撮影したビデオをハンナに見せていた。ジェルジーにとってこれも仕事に他ならなかった。
光にこだわり、しかも物語がみつからないというジェルジーのせいで撮影は進まず、既に予算超過。プロデューサーのラズロは新しい出資者を探していた。
パッションのネタバレあらすじ:転・映画と工場の破綻
ジェルジーはついにイタリア人出資者と決裂し、映画は頓挫する。同じ時にハンナとミシェルも破局を迎える。刃物をもってミシェルを追いかけていた債権者とぶつかってジェルジーはかすり傷を負う。
ジェルジーはやっと違約金を受け取ることができたイザベルと会う。ちょうどポーランド情勢も悪化。ジェルジーは妻子の待つポーランドに帰ることにした。ラズロがやってきて、MGMの出資が決まった、カリフォルニアに行こうと言うが、ジェルジーは取り合わず、イザベルのいる二階へ行く。
だが、そこへジェルジーの繕い物をもってハンナが訪れ、イザベルとジェルジーの関係を知ることになる。そしてハンナと入れ替わりでミシェルがやってきて、工場の閉鎖をイザベルに告げた。
ジェルジーはイザベルの初体験の相手となる。
パッションの結末:皆ポーランドへ
もう一度ジェルジーに会おうと、ハンナは撮影が行われていた場所に行くが、一部のエキストラを残して撮影隊は解散していた。ジェルジーたちはハリウッドに行ったと言われる。でも、ハンナは自動車でポーランドを目指す。
途中でハンナも乗せた。その後、ジェルジーも同じ雪道に来る。ハンナのホテルをやめたばかりの女を拾い、ハンナたちを追ってやはりポーランドを目指すのだった。
以上、映画「パッション」のあらすじと結末でした。
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