完全なるチェックメイトの紹介:2015年アメリカ映画。世界が東西に分断された冷戦時代。1972年、ソ連が誇るチェスの世界チャンピオン、ボリス・スパスキーの前に、幼い時からチェスの天才と呼ばれてきた若きプレイヤー、ボビー・フィッシャーが現れた。全世界が注目する対局を前にして、想像を絶するプレッシャーが彼の精神状態を破壊していく。チェスの名を借りた、アメリカのプロパガンダに利用される青年の悲劇と狂気を描く。「ラスト・サムライ」「ジャック・リ―チャ―」のエドワード・ズウィック監督作品。
監督:エドワード・ズウィック 出演:トビー・マグワイア(ボビー・フィッシャー)、リーヴ・シュレイバー(ボリス・スパスキー)、マイケル・スタールバーグ(ポール・マーシャル)、ピーター・サースガード(ビル・ロンバーディ)ほか
映画「完全なるチェックメイト」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「完全なるチェックメイト」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
完全なるチェックメイトの予告編 動画
映画「完全なるチェックメイト」解説
この解説記事には映画「完全なるチェックメイト」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
完全なるチェックメイトのネタバレあらすじ:起
1951年。ニューヨークのブルックリンに住む少年、ロバート・ジェームズ・フィッシャー。通称ボビー。父親はおらず、共産党員の母親と共に、家族はFBIの監視下に置かれていました。ボビーの楽しみはチェスだけで、独学ながら素晴らしい才能を発揮。15才で史上最年少のグランドマスターに輝きます。62年。ボビーは、ブルガリアの大会にのぞみますが、ソ連がドローを連発するという不正を行っていると主張。ソ連が謝罪しなければ自分は試合を棄権し、チェスをやめると宣言します。3年後、鬱々とした日々を送るボビーのもとに1人の弁護士、ポールが現れます。ボビーの創造性に惹かれたというポールは、無料で代理人になりたいと言うのです。承知したボビーは、かつてスパスキーに勝利した過去を持ち、今は神父になっているロンバーディにセコンドを依頼。ロサンゼルスで開催される親善試合に出場します。
完全なるチェックメイトのネタバレあらすじ:承
ボビーは、ソ連のイワノヴィッチと戦い勝利。しかし、相手と自分の待遇の差に次々と不満を訴えます。車はリムジン、チケットの売り上げ30%の要求、果ては電話が盗聴されていないか調べるよう要請。ピリピリしているボビーのことを、ポールとロンバーディは心配します。次の試合でボビーは破れ、2位になったことに怒りを爆発させます。しかしその数年後、ハンガリーの国際試合では見事復帰を果たします。再び幸運の流れに乗ったボビーは、世界チャンピオンを目指すと発表。その前に、数々のグランドマスター戦への挑戦を果たします。しかしボビーの姉は、弟を精神科に診せてほしいとポールに頼んでいました。ボビーから送られてくる手紙の内容が、明らかに妄想めいているというのです。メディアの露出が増えるにつれ、まるでロックスターのような人気者になっていくボビー。ロンバーディは、ボビーが隠し持っている不安と狂気を感じとるのでした。
完全なるチェックメイトのネタバレあらすじ:転
姉とロンバーディの予感は現実となり、ボビーの妄想はどんどん大きくなっていきます。空港でメディアに騒がれたボビーは再びキレてしまい、その後は行方不明に。しかしキッシンジャーから直接、大統領が試合を楽しみにしているという電話を受け、試合出場を決意します。72年。ついにアイスランドでスパスキーと対戦することになったボビー。世界中が注目する一局目。明らかに苛立っている彼は対戦途中に立ち上がり、「カメラの雑音で気が散る」とクレームをつけます。さらにその後も、時計や客席の音で完全に集中力を切らしてしまい、勝利を逃します。続くニ局目には、会場に姿を現すことなく棄権。スパスキーの不戦勝となります。ロンバーディは、まともにやれば負けるのがわかっていて、わざとやっているのではないかとボビーに疑惑を持ちます。
完全なるチェックメイトの結末
ところが三局目。自ら不利な手を打つ作戦に出たボビーは、周囲が「自殺行為だ」と驚愕する中、後半から逆転して見事に勝利。その後も勝ちを決め、今度はスパスキーの方が「自分の椅子から振動が出ている」とクレームをつける事態になります。張り詰めた対戦は続き、ついに六局目。ボビーが選んだのは、今までに前例のない驚くべき一手でした。その結果優勝を勝ち取り、ポールとロンバーディ、そしてテレビで対戦を見ていた姉も歓声を上げます。スパスキーですら、笑顔で勝利を称えます。拍手とカメラのフラッシュを浴びて会場を後にするボビーですが、その顔からは表情が消えていました。歴史に残る名勝負の後、彼の精神状態は悪化の一途を辿ります。数百万ドルのオファーを受けながらも試合を拒否、ボビーの姿は世間から消えました。80年、放浪罪で逮捕。一度は試合に戻るものの逮捕や亡命で世間を騒がせ、そして2008年。アイスランドで死去したことが伝えられるのでした。
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