大人のための残酷童話/妖精写真の紹介:1997年イギリス映画。亡き妻を求めるあまり、妖精の存在に取り憑かれた男の悲劇を描くファンタジーミステリー。1917年に起きた「コティングリー妖精事件」を基に製作された。若き写真家チャールズは、新婚旅行で最愛の妻を目の前で亡くしてしまう。以来、死んだように生きてきた彼のもとに不思議な写真が持ち込まれた。1人の少女と共に写る、妖精らしき存在。詳しく調べたチャールズは実際に妖精を目撃し、次第に夢と現実の境を見失っていく。
監督:ニック・ウィリング 出演者:トビー・スティーヴンス(チャールズ・カッスル)、ベン・キングズレー(テンプルトン牧師)、エミリー・ウーフ(リンダ)、フランシス・バーバー(ベアトリス・テンプルトン)、フィリップ・デイヴィス(ロイ)ほか
映画「大人のための残酷童話/妖精写真」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「大人のための残酷童話/妖精写真」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「大人のための残酷童話/妖精写真」解説
この解説記事には映画「大人のための残酷童話/妖精写真」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
大人のための残酷童話/妖精写真のネタバレあらすじ:1枚の写真
舞台は1912年のスイス。写真家のチャールズ・カッスルは幸せな結婚生活1日目にして、不幸な事故に遭ってしまいました。新婚旅行で訪れた雪山で遭難し、妻が深い割れ目に落ちてしまったのです。チャールズは必死に妻の手を掴みましたが引き上げることは叶わず、彼女は目の前で地の底へ滑り落ちていきました。絶望に突き落とされたチャールズはその後戦場へ向かい、大戦後はロンドンで写真館を開きます。妻を喪った悲しみを抱え、チャールズは死んだように毎日を生きていました。
ある日、参加した神智学協会で妖精と戯れる少女の写真を目にしたチャールズ。しかしすぐに絵の切り抜きだと見破り、一笑に付しました。そんなチャールズの様子をじっと見ている婦人がいます。彼女の名前はベアトリス・テンプルトン。彼女はチャールズの写真館を訪れ、謎を解いて欲しいと1枚の写真を差し出しました。その写真に写っていたのは、ベアトリスの幼い娘クララと、彼女の手の上で光る妖精らしき存在です。チャールズは馬鹿にして笑いますが、調べれば調べるほど何のトリックも使われていないことが分かりました。
大人のための残酷童話/妖精写真のネタバレあらすじ:不思議な体験
妖精はあの世とこの世を結ぶ存在だと言われています。居ても立ってもいられなくなったチャールズは、ベアトリスが住む小さな村を訪ねました。ベアトリスから「明日、川の上流の大きな木の下で会おう」と言われたチャールズは、翌日、約束の場所に向かいます。すると木のそばでベアトリスが死亡していました。どうやら木から落ちてしまったようです。チャールズは彼女の手に残っていた白く小さな花が気になり、思わず持ち帰りました。
夜、白い花を食べてみたチャールズの全身を衝撃が襲います。感覚が鋭敏になり、目の前の光景全てがスローモーションのように見えました。フラフラと森の大木に向かったチャールズは、ついに妖精を目撃します。吸い寄せられるように木に登り、足を滑らせて落ちてしまいました。落ちた先はやわらかいベッドで、近くには亡き妻の姿があります。そのまま深く愛し合った後、妻は「夢じゃないわ」と囁きました。次の瞬間、チャールズはハッと目を覚まします。どうやら木から落ちたショックで気絶していたようです。妖精の姿はどこにもありませんでした。
大人のための残酷童話/妖精写真のネタバレあらすじ:囚われていくチャールズ
村ではベアトリスの葬儀が行われ、牧師である彼女の夫が取り仕切りました。チャールズはあの白い花が気になり、どこに咲いているのかとクララ達に聞きますが、教えて貰えません。亡き妻の幻想を忘れられないチャールズは、何とかして妖精達に会おうとします。そこで写真館の助手ロイに協力して貰い、撮影機材を村に持ち込みました。写真で妖精の存在を証明するつもりなのです。
テンプルトン家の子守係リンダはチャールズに強く惹かれていました。チャールズの過去を癒し、共に未来へ進もうと励まします。それでも過去に囚われたままのチャールズは、テンプルトン家に忍び込んで、仕舞われていた白い花を入手しました。その夜、白い花を食べたチャールズは前回と同じ現象を体験します。撮影した写真にはチャールズの周囲を飛び交う妖精の姿が写っていましたが、リンダもロイも信じてはくれませんでした。
大人のための残酷童話/妖精写真のネタバレあらすじ:暴走する憎しみ
翌日、白い花を食べたクララがチャールズ達と同じように木から転落してしまいます。幸い骨折だけで済みましたが、同じ場所で妻子に異変が起きたとあって、テンプルトン牧師は怒りを覚えました。大木へ向かった彼は撮影機材を見て、全てはチャールズの犯行だと考えます。チャールズはクララ達から、白い花が大木のウロにあるとようやく聞き出しました。
ところが森へ行ってみると、大木は倒され機材も破壊されています。何とか入手した白い花を食べると、枝を燃やしていた炎に妖精が包まれ消滅したのが見えました。現れたテンプルトン牧師はニヤリと笑い、枝や機材を次々燃やしていきます。チャールズと揉み合いになった彼は尖った機材に胸を貫かれ、その場で絶命しました。愕然とするチャールズの目の前で、テンプルトン牧師の口から魂のようなものが抜け出ていきます。
大人のための残酷童話/妖精写真の結末:妖精が導く世界
チャールズは警察に出頭し、裁判の結果、絞首刑に処せられることになりました。リンダは「私の世界に戻って」と必死に訴えますが、チャールズは「別の世界もある」と応じません。リンダは姉妹を連れロンドンに移り住むことになりました。ロイも憔悴して帰る用意をしています。リンダはまだチャールズを愛していましたが、既に彼を救う手立てはありませんでした。
絞首刑当日。食事を済ませたチャールズは白い花を飲み込みます。雪が舞う中、チャールズは刑を執行されました。真っ暗になった視界に妖精が現れ、光の粒となって弾けます。気付くとチャールズは新婚旅行の雪山にいました。割れ目に落ちた妻の手を必死に掴んでいます。今度はしっかりと引き上げたチャールズは、妻と強く抱き合いました。2人が再会を果たし、この物語は終幕を迎えます。
以上、映画「大人のための残酷童話/妖精写真」のあらすじと結末でした。
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