プリティ・ベビーの紹介:1978年アメリカ映画。テレビCMの子役として芸能界入りし幼い頃からモデルとして活躍していたブルック・シールズ。スクリーンデビューから2作目の主演作です。人気少女モデルが娼婦役に抜擢されるという話題性から、制作発表時において映画はすでに社会的な反響を呼んでいました。また、男性誌でブルック・シールズのヌード写真が披露されるなど、キワモノ的な印象さえ免れずに映画は公開されています。監督は『死刑台のエレベーター』『さよなら子供たち』のルイ・マル。少年少女の心理に長けた監督の作品らしく、全篇ブルック・シールズの魅力で網羅されています。
監督:ルイ・マル 出演者:ブルック・シールズ(バイオレット)、キース・キャラダイン(ベロック)、スーザン・サランドン(ハティ)、フランセス・フェイ(マダム・ネル)ほか
映画「プリティ・ベビー」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「プリティ・ベビー」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
プリティ・ベビーの予告編 動画
映画「プリティ・ベビー」解説
この解説記事には映画「プリティ・ベビー」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
プリティ・ベビーのネタバレあらすじ:起
1917年。アメリカ南部の街ニューオリンズ。第一次世界大戦の最中、アメリカ人兵士たちはこの地の港から目指すヨーロッパ戦線へと歩を進めていくのでした。
12歳の少女バイオレット(ブルック・シールズ)はいま、母ハティのお産に立ち合っています。ハティ(スーザン・サランドン)は4番目の子を産む陣痛に耐えています。その様子をじっと見守るバイオレット。ハティは時に獣にも似た叫び声を上げますが、ベテランの産婆はいたって冷静です。いとも容易く男の子を取り上げて、手に汗握る思いのバイオレットを安堵させました。
お産に立ち会ったバイオレットが目を輝かせて、家中を走り回っています。「男の子よ!」。声に応じるのはバイオレットよりもずっと年嵩の女たちです。彼女たちの仕事は娼婦。バイオレットの住まいは娼館(売春宿)です。館の主はマダム・ネル(フランセス・フェイ)。バイオレットの祖母であり、母ハティの実母です。
街の一角には何件もの売春宿が建ち並んでいます。その中にマダム・ネルの館はありました。館の大広間では、夜ごと男女の哄笑と嬌声が渦巻いています。ここは男たちが欲望を露わにして女を口説く場です。酒に酔った男が女の媚態に身を預け、ひとり、ふたりと扉の奥へ消えていきました。こうして男たちはお気に入りの女の部屋で思い思いの快楽に耽るのです。
プリティ・ベビーのネタバレあらすじ:承
町に住む写真家のベロック(キース・キャラダイン)がマダム・ネルの館を訪ねてきました。ベロックは娼婦たちの媚態を写真に収めようと大金でマダム・ネルを説得します。主の許可が下りたその日、ベロックは娼館で仕事をはじめます。娼婦たちを写真に収めるかたわら、バイオレットをはじめ館の下働きの者たちともベロックは打ち解け合っていきました。
いよいよバイオレットに「その日」がやって来ます。彼女を落札したのは、館には馴染みのない田舎出の紳士です。法外な値で生娘を勝ち取った紳士は、バイオレットの部屋で事を済ませるとせわし気に立ち去って行きました。何があったの?と驚いたのは、ハティをはじめ姐さんたちです。部屋へ赴くと、「それ」を終えて仕事を済ませた少女の無邪気な笑顔がありました。
母ハティの嫁ぐ日が訪れます。父親の違う4人の子を産み落とし、実家にとどまっていたハティでしたが、館でプロポーズしてくれた男の故郷へ嫁いでいくことになりました。
ハティが遠い地へ旅立つ日、日ごろは母娘の対立さえためらわないバイオレットも母を失う寂しさを噛みしめます。
プリティ・ベビーのネタバレあらすじ:転
早くに大人の世界を知ったバイオレットですが、仕事以外の時間は悪童たちから「姐さん」扱いされる無邪気な子どもです。ある日のこと、些細な遊びが祖母マダム・ネルの癇に触れ、下男からムチ打ちの折檻を受けました。「たかが遊びに?」と腹を立てたバイオレットは、娼婦として働く誇りまで傷つけられた気がして、館を出てしまいます。
両手に荷物をまとめたバイオレットは、ベロックの家へ向かいました。目の前に現れたバイオレットにベロックは驚きます。密かな恋心を温めていたベロックにとっては、まさに棚からぼた餅です。天使が忽然と舞い降りたのです。ベロックの喜びようにバイオレットの淡い蕾も花開きます。その日から、ふたりはベッドを共にする喜びを分かち合うようになりました。
ベロックの時代は、写真乾板の時代です。カメラで撮った映像を印画紙に定着させるまでには化学実験にも似た工程を踏まなければなりませんでした。その作業を自宅で行っていたベロックにとって、バイオレットのような好奇心旺盛な子との同居は“不幸”の一字でした。
静かな日常をことごとく乱されたベロックは、とうとう少女を怒鳴りつけ、追い出すハメになったのです。
プリティ・ベビーの結末
売春宿が宗教的な弾圧を受ける時代になりました。戦争も終わり、ニューオリンズから兵士たちが故郷へ帰っていきます。市民の声もしだいに高まります。「売春婦は街から出ていけ!」。娼婦に対する非難の声は連呼する大きな輪となって街中に響き渡るようになりました。
バイオレットにも街を出る日がやってきます。そんな折、ベロックがバイオレットを迎えに現れます。「結婚しよう!」「私と!」「そうだ、みんなを集めて式を挙げよう」。ケンカ別れした日からずいぶん経ちました。けれども、ふたりの思いは離れがたく、距離を置いて生活していた日常は直ちに打ち消されてしまいました。
ニューオリンズへ残り新婚生活をはじめたバイオレットのもとへ母ハティが現われます。かつて娼婦だったハティはそこにはなく、粛然としたたたずまいの淑女になっています。バイオレットを迎えにきたハティにベロックは抵抗しますが、母娘の絆を断つ力は彼にありません。
やがては母親とおなじ道を歩むだろうバイオレットのうしろ姿を、消えゆく光芒を見るように見送るだけでした。
以上、映画「プリティ・ベビー」のあらすじと結末でした。
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