4匹の蝿の紹介:1971年イタリア映画。謎の人物に脅迫され、次第に追い詰められていく男性の恐怖を描くサスペンス作品。ロックバンドのドラマーであるロベルトは、1週間前から見知らぬ男に付きまとわれ苛立っていた。ある夜、男を追って無人の劇場に踏み込んだロベルト。そこで男ともみ合いになり、誤って相手をナイフで刺殺してしまった。しかもその現場を不気味な仮面をつけた人物に撮影されてしまう。翌日から、ロベルトは仮面の人物の執拗な脅迫を受けるようになった。ロベルトは事態を打開すべく、私立探偵アロージオを雇って調べて貰うことにするのだが…。イタリアンホラーの帝王ダリオ・アルジェント監督の幻の傑作。
監督:ダリオ・アルジェント 出演者:マイケル・ブランドン(ロベルト)、ミムジー・ファーマー(ニーナ)、ジャン=ピエール・マリエール(アロージオ)、バッド・スペンサー(神様/ディオメーデ)、フランシーヌ・ラセット(ダリア)ほか
映画「4匹の蝿」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「4匹の蝿」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
4匹の蝿の予告編 動画
映画「4匹の蝿」解説
この解説記事には映画「4匹の蝿」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
4匹の蝿のネタバレあらすじ:始まりの事件
舞台はイタリア。ロックバンドでドラムを担当しているロベルトは、ここ1週間ほどサングラスをかけた不審な男に付け回されていました。
ある夜、ついに我慢の限界に達したロベルトは男を尾行し、無人の劇場に足を踏み入れます。ナイフを出して脅す男ともみ合いになるロベルト。そして最終的に、誤って男を刺殺してしまいました。更に、その現場を不気味な仮面をつけた謎の人物に撮影されてしまいます。
翌日、男の遺体は身元不明者として川で発見されました。ロベルトの家には手紙が届けられ、中には誤殺した男カルロ・マロージの身分証が入っています。自宅のレコードの束にも殺人現場の写真が挟まれていました。
この頃から、ロベルトは悪夢に苛まれるようになります。サウジアラビアの処刑の場面で、処刑人が罪人の首を跳ね飛ばそうとする夢でした。ロベルトがはっとして目を覚ますと、ドアが少し開いています。不審に思って寝室を出ると、侵入していた仮面の人物によって首を絞められました。犯人は「すぐにでも殺せるが今は生かしておいてやる」と言って、ロベルトを解放し逃走します。
様子を見に来た妻ニーナに問い詰められ、ロベルトは事情を正直に告白しました。怯えたニーナは家を出ようと提案しますが、ロベルトは警察に発覚することを恐れて聞き入れません。その会話を、住み込みのメイドであるアメリアがこっそり聞いていました。
4匹の蝿のネタバレあらすじ:執拗な脅迫
ロベルトは周囲から「神様」と呼ばれている友人ディオメーデを訪ね、事情を説明して助力を求めます。ディオメーデはアロージオという私立探偵を雇うよう提案しました。更にディオメーデの隣人で、「教授」と呼ばれている男性を見張りとして雇うことにします。
一方、早くも犯人の正体に気付いたアメリア。電話で犯人を脅し、金を要求します。しかし逆に犯人に追い詰められ、首を切られて殺害されてしまいました。
その後も犯人からの脅迫は続きますが、金を要求される訳でもなく、ロベルトには意図が分かりません。ニーナは犯人がロベルトの命を狙っているのだと考えていました。家を離れるか警察に相談するか、どちらか選んで欲しいと訴えるニーナ。しかし逮捕を恐れるロベルトはどちらの案も受け入れません。その会話を、ニーナのいとこで親友のダリアがこっそり聞いていました。
その頃、事件は思わぬ展開を迎えていました。カルロが生きていたのです。彼は犯人に頼まれ、おもちゃのナイフを使って殺された振りをしていただけでした。しかしアメリアの件を知って、犯人と手を切ろうとします。犯人は口封じのためカルロを殺害し、ロベルトの車に「これで最後 お前の番だ」という書置きを残しました。
4匹の蝿のネタバレあらすじ:類似点
ロベルトはディオメーデの助言に従い、アロージオの事務所を訪ねます。彼は同性愛者で、この3年で1度も事件を解決したことがないという変わり者の探偵でした。ロベルトは不安を感じつつも、アロージオに調査を依頼します。
ロベルトが帰宅すると、アメリアの件で警察が来ていました。不安と苛立ちがピークに達したニーナは、しばらく家を出て身を隠すと話します。ロベルトは1人家に残ることにしました。1人塞ぎ込むロベルト。そんな折、ダリアがニーナから全てを聞いたと言って近付いてきます。ずっとロベルトに好意を寄せていたダリアは甲斐甲斐しく世話を焼き、肉体関係を持つことに成功しました。
一方、調べを進めていたアロージオは、見比べていた写真にある類似点を見つけます。ロベルトに電話をした彼は、「ヴィラ・ラピディをご存知かしら?」と尋ねました。ロベルトが知らないと答えると、アロージオは詳細を語らず更に調べを進めると話します。
ヴィラ・ラピディ神経診療所を訪ねたアロージオは、以前入院していたある人物について聞き込みを始めました。その人物は一種のパラノイアであり、殺人の妄想が酷かったそうです。3年ほど入院していましたが、父親の死をきっかけに症状が回復したため退院していました。
アロージオはこれを聞いて、その人物が犯人だと確信します。アロージオは犯人を尾行し、駅のトイレまで追い詰めました。しかしそこで反撃され、薬物を注射されて殺害されてしまいます。
4匹の蝿のネタバレあらすじ:網膜に残されたヒント
アロージオの死を知ったディオメーデは、精神異常者がロベルトにゲームを仕掛けてきたのだろうと考察しました。口封じのために殺人を犯す内に、その快楽に目覚めてしまったのだろうと。
一方、ダリアはアロージオが話していた「類似点」について考えていました。そして唐突に犯人の正体に気付きます。急いでロベルトに伝えようとしますが連絡が取れず、その内に家に侵入してきた犯人によって殺害されてしまいました。ダリアの葬儀は悲しみの中執り行われました。
警察はロベルトに、「死ぬ直前に被害者が見た映像が網膜に、数時間残っているのです」と説明。つまり処置を行えば、ダリアが死の瞬間に見たものが分かるというのです。ダリアの眼球が取り出され検査にかけられた結果、彼女が最期に見たのは「4匹の蝿」だと判明しました。しかしロベルトには全く心当たりがありません。
4匹の蝿の結末:犯人と「4匹の蝿」の正体
ロベルトは犯人との決戦に備え、自宅で銃を手に待ち構えていました。夜も更けた頃、ディオメーデから電話がかかってきます。すると心配する彼の声が唐突に途切れました。電話線が切られたようです。俄かに緊張したロベルトの前に現れたのは、彼を心配してやって来たニーナでした。ロベルトは犯人が来る前にと急いでニーナを逃がそうとします。
その時、彼女の胸で揺れるペンダントが目に飛び込んで来ました。ペンダントトップには1匹の蝿が入っています。それが左右に揺れると、ちょうどダリアが見たような「4匹の蝿」になりました。犯人の正体は、ニーナだったのです。
ロベルトは驚愕し、ニーナを殴り飛ばします。銃を手に取ったニーナは、ロベルトを脅しながら動機について話し出しました。ニーナの父親は男の子を望んでいましたが、ニーナが女の子だったために酷い虐待を加えたそうです。母親は精神病で亡くなり、ニーナ自身もヴィラ・ラピディに入院させられました。ニーナは父親を激しく憎み、復讐を誓います。しかし入院中に父親が死亡してしまったため、復讐を遂げるべく代わりに選んだのが、父親にそっくりなロベルトでした。
ロベルトを殺害して復讐を遂げようとするニーナ。そこにディオメーデが駆けつけます。慌てたニーナは家から逃げ出し車に飛び乗りました。慌てて車を発進させたニーナ。しかし後ろばかりを気にしていたため、前方に迫るトラックに気付きません。
ブレーキを踏んだ時にはもう間に合わず、ニーナの車はトラックに突っ込んでいきました。フロントガラスが割れて滝のように落ち、衝撃でニーナの首が吹っ飛びます。車が爆発炎上し、この映画は終わりを迎えます。
以上、映画「4匹の蝿」のあらすじと結末でした。
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