群盗荒野を裂くの紹介:1966年イタリア映画。1910年代のメキシコで勃発した「メキシコ革命」を背景に、政府軍から武器を奪って革命軍に売っていた野盗団のボスとある目的をもって野盗団に近づいてきたアメリカ人青年の奇妙な関係と騙し合いを描いたマカロニ・ウエスタンの名作です。
監督:ダミアーノ・ダミアーニ 出演者:ジャン・マリア・ヴォロンテ(エル・チュンチョ)、ルー・カステル(ビル・テイト)、クラウス・キンスキー(エル・サント)、マルティーヌ・ベズウィック(アデリータ)、アルド・サンブレル(フェレイラ)、イェイム・フェルナンデス(エリアス将軍)ほか
映画「群盗荒野を裂く」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「群盗荒野を裂く」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「群盗荒野を裂く」解説
この解説記事には映画「群盗荒野を裂く」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
群盗荒野を裂くのネタバレあらすじ:起
1910年代のメキシコは、アメリカの支援を受ける政府軍とそれに反発する革命軍が激しく内戦を繰り広げていた「メキシコ革命」の真っ只中でした。
メキシコのとある町にスーツ姿のアメリカ人青年ビル・テイト(ルー・カステル)が降り立ちました。駅に入ったビルは行列に割り込んで切符を買い、現地の少年に「メキシコは好き?」と尋ねられると冷たく「嫌いだね」と言い放ちました。
ビルや政府軍兵士、貧しい人々を乗せた列車は途中で粗暴な男エル・チュンチョ(ジャン・マリア・ヴォロンテ)率いる野盗団に襲撃されました。チュンチョと弟のサント(クラウス・キンスキー)、紅一点のアデリータ(マルティーヌ・ベズウィック)ら野盗団は列車を見下ろす丘の上から政府軍兵士たちを撃ち倒していき、逃げる列車を馬で追いました。
その時、ビルは機関車に忍び寄って運転手を射殺、あたかも政府軍に捕らえられたかのように装ってチュンチョたちに近づきました。チュンチョたちは民間人には手を出さずに政府軍兵士たちを皆殺しにし、貨車から政府軍の武器や弾薬、馬を奪い取りました。
ビルはチュンチョたちの仲間になりたいと言い出し、仲間たちの中にはビルがアメリカ人であることを理由に反対する者もいましたがチュンチョはビルを仲間に迎え入れることにしました。
群盗荒野を裂くのネタバレあらすじ:承
チュンチョたちは政府軍から奪った武器や弾薬をこれから革命軍のエリアス将軍(イェイム・フェルナンデス)に売ろうとしていました。チュンチョはエリアス将軍に心酔しており、心から革命軍の勝利を願っていましたが、チュンチュ兄弟以外はみな金だけを目的としていました。
野営を張った一行は翌日、途中の町の政府軍駐屯地に狙いを定めました。ビルはチュンチョらを捕らえたフリをして駐屯地内に潜入、兵士たちを皆殺しにすると武器を略奪しました。その際、ビルはアデリータの恋人から彼女には手を出すなと釘を刺されました。更にチュンチョ一行は別の政府軍拠点も襲撃、娼婦に扮したアデリータが建物を爆破したのを合図に一気になだれ込み、サントは牢に捕らえられていた者たちを解放しました。
その後も行く先々で政府軍の拠点を潰していったチュンチョ一行は、革命軍によって解放されたサンミゲルの町に立ち寄ることにしました。ビルは先を急ぐべきだと進言しますが、チュンチョは政府軍が来る前にケリをつける考えを示しました。
一行は途中の町に立ち寄りました。人々はチュンチョ一行を歓迎しますが、町は未だに大地主のドン・フィリップ(アンドレア・ケッキ)の支配下にありました。チュンチョたちはフィリップを捕らえますが、処遇を巡って仲間割れを起こしてしまいます、チュンチョはいつしかビルに信頼を寄せるようになっていきました。
群盗荒野を裂くのネタバレあらすじ:転
チュンチョ一行はフィリップの自動車を奪い、サンミゲルの町に到着しました。人々から大歓迎を受けたチュンチョとサントはこの町に留まろうとしますが、ビルは一刻も早くエリアス将軍の元へ急ぐべきだと主張しました。アデリータは今回の旅が終わったら恋人と共に盗賊稼業から足を洗おうと考えていました。
チュンチョはフィリップを処刑し、住民に武器を与えて町の周囲にバリケードを張り、政府軍の襲来に備えますが、ビルはアデリータら仲間を引き連れてエリアス将軍の元へ出発していきました。チュンチョとサントはサンミゲルに留まり、住民に武器の使い方を教えましたが、密かにキープしておいたとっておきの最新式機関銃までもビルたちに持っていかれたことを知ったチュンチョはサントが留めるのを振り切り、すぐ戻ると伝えて急いで後を追いました。
翌日、チュンチョはビルたちと合流しましたが、水場で休憩していたところを政府軍に襲撃され、チュンチョとビル、アデリータを残して全滅してしまいます。恋人を失ったアデリータはチュンチョたちと別行動を取って去っていき、チュンチョとビルは仲間たちを埋葬すると再びエリアス将軍の元へ出発しました。途中でビルは熱病にかかってしまい、チュンチョは近くの廃屋でビルの看病を行いました。二人の間にはいつしか奇妙な友情らしきものが芽生えていました。
群盗荒野を裂くの結末
チュンチョはビルの回復を待って出発、ようやくエリアス将軍のキャンプへ辿り着きました。チュンチョが武器の査定をしてもらっている間、ビルは一目エリアス将軍の姿を確認すると馬に乗って一人いずこへと出発していきました。5千ペソの金を手に入れたチュンチョでしたが、チュンチョはエリアス将軍から、自分たちが出発した直後にサンミゲルの町は政府軍に襲撃されて皆殺しにされたと知らされました。
自らの取った行動を深く後悔したチュンチョは、ただ一人だけ生き残ったサントの姿を見ると、彼の手で処刑してほしいと願い出ました。チュンチョとサントはキャンプの外れに移動し、サントがライフルの引き金に手をかけたその時、2発の銃声が鳴り響きました。1発はサントの命を、もう1発はエリアス将軍の命を奪いました。チュンチョは使用された銃弾から、二人を撃ったのはビルであることを知ります。
ビルの正体は政府軍に雇われた賞金稼ぎであり、エリアス将軍を暗殺するためにチュンチョたちに近づいていたのです。報酬10万ペソを受け取ったビルが高級ホテルに入るところを目撃したチュンチョは拳銃を持って乱入しますが、ビルは自分がチュンチョを殺そうとした者を撃ったのだからと語りかけ、報酬の半分5万ペソをやるからアメリカで気楽に暮らそうと持ちかけました。ビルを殺す気が失せたチュンチョは髪を綺麗に整え、スーツを仕立ててもらいました。
翌日、チュンチョとビルはアメリカに向かうため駅に向かいました。しかし、ビルのメキシコ人への高圧的な態度を見たチュンチョは我に返り、ビルを先に列車に乗せる「やっぱりアメリカ行きはやめた。お前を殺す」と告げるとビルを射殺しました。チュンチョは大金を靴磨きの若者に渡し、「この金でダイナマイトでも買えよ」と告げると駅の警備員らを振り切っていずこへと走り去っていきました。
以上、映画「群盗荒野を裂く」のあらすじと結末でした。
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