キュリー夫人 天才科学者の愛と情熱の紹介:2019年イギリス映画。19世紀パリ。ポーランド出身の女性研究者マリ・スクウォドフスカは、大学からの性差別により十分な研究の機会や環境を与えられないでいた。そんな中、同僚の化学者ピエール・キュリーと運命的な出会いを果たした彼女は、結婚してキュリー夫人となり彼の支援で研究に没頭することができた。ラジウムとポロニウムという新しい元素を発見したことから夫婦でノーベル賞を受賞し化学界を席巻するが、幸せは長続きせず夫は不慮の事故で命を落としてしまう。さらに、彼女が発見したラジウムは癌細胞の治療に役立つ一方、核兵器としても利用されるようになり、彼女の苦悩は深まっていくのだった。誰もが聞いたことがある歴史上の偉人キュリー夫人。その輝かしい行跡とは裏腹に、知られざる波乱に満ちた激動の人生の光と影を描いた実話。
監督:マルジャン・サトラピ 出演:ロザムンド・パイク(マリ・キュリー)、サム・ライリー(ピエール・キュリー)、アナイリン・バーナード(ポール・ランジュバン)、アニャ・テイラー=ジョイ(イレーヌ・キュリー)、サイモン・ラッセル・ビール(リップマン教授)ほか
映画「キュリー夫人 天才科学者の愛と情熱」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「キュリー夫人 天才科学者の愛と情熱」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「キュリー夫人 天才科学者の愛と情熱」解説
この解説記事には映画「キュリー夫人 天才科学者の愛と情熱」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
キュリー夫人 天才科学者の愛と情熱のネタバレあらすじ:起
1934年、パリ。年老いたマリ・キュリーは自身の研究室で倒れ病院へ運ばれました。
ストレッチャーで運ばれている間、マリはこれまでの人生に想いを巡らせました。
1893年、若き学者のマリは研究室があるソルボンヌ大学から性差別を受け、ろくに研究の機会を与えられずにいました。リップマン教授から非難された挙句、研究資金まで絶たれてしまったマリは、大学まで追われることとなります。
マリはどの研究機関からも女性であることを理由に門前払いをくらいます。そんな中、以前クラブで知り合った化学者ピエールと再会します。マリの論文を読んで感銘を受けていたピエールは、研究に行き詰まっていたマリに共同研究を提案。研究資金だけではなく、研究室まで用意すると言うのです。しかしマリはこれを断りました。あくまで自分だけの研究として進めていきたかったのでした。
マリはしばらく自宅で実験を続けていましたが、ある日の実験中に引火してしまい全てを台無しにしてしまいます。仕方なく、ピエールの元を訪れ共同研究を受け入れることにしました。
キュリー夫人 天才科学者の愛と情熱のネタバレあらすじ:承
ウランが鉱石よりも放射性物質が少ないことに着目したマリは、未発見の元素の可能性を見つけ実験を進めていました。しかし、それを証明するには正しく測定するための機器が必要です。そこでピエールは自作した四分儀電磁石を彼女に贈りました。
友人のポール・ランジュバン夫妻との夕食会に参加したマリとピエール。帰り道を歩きながらピエールはマリに告白し、すぐに結婚しました。
研究に打ち込む妻マリへピエールは新しい研究室を用意し驚かせます。2人は採取した大量の鉱石から新たな元素を取り出すべく4年の月日を研究に費やしました。途中、娘イレーヌをもうけ、ついに緑色に光るポロニウムとラジウムという2つの新元素を発見しました。成果はすぐ発表され、マリは元素から出される波動を「放射能」と名付け化学界へ発表しました。
この成果によってピエールは教授となり、ふたりは第2子を授かりました。各地の学者たちもこぞって放射能の実験を開始。ピエールとマリは自分たちの仕事が世界を変えていくのを実感し心を震わせました。
キュリー夫人 天才科学者の愛と情熱のネタバレあらすじ:転
ピエールはラジウムの発見以来、体調が少しずつ悪くなり、放射能を使って降霊させる霊媒師にのめり込んでいきます。幼い頃、病で母を亡くして以来、科学しか信用しないと決めていたマリはピエールを冷ややかな目で見ていました。
そんなある日、マリはピエールから自分たちの発見がノーベル賞候補になったことを知らされます。しかし、名前はピエールのみ。のちにピエールが夫婦の研究であることを主張し、1303年に2人の賞として受賞。ピエールはストックホルムで賞を受け取り、出産したばかりのマリはパリで夫のスピーチを聞いていました。
帰宅したピエールに、まるで自分だけの手柄のようなスピーチだったと嫌味を言うマリ。嫉妬する気持ちを隠せずにいました。少しずつ夫婦に溝ができていきます。
しかし、悲劇は突然やってきます。ピエールの病は悪化の一途をたどっていました。ある夜、外出していたピエールはめまいと貧血に襲われ、おぼつかない足取りで道へ飛び出し馬車に轢かれて命を落としてしまいます。ショックがマリの全身を貫き、悪夢にうなされました。
ラジウムの毒性に気付き始めたマリは、ピエールを死に追いやったことに自責の念を抱くようになりました。ポールに慰めをもとめ2人は身体の関係を持つようになっていきました。
キュリー夫人 天才科学者の愛と情熱の結末
化学者が放射線の被ばくを説くようになり、マリの信念にも陰りが出てきました。さらには追い打ちをかけるように新聞社がマリとポールの不倫を報道したことで、マリは嫌がらせと嘲笑の的となってしまいます。
ポールもマリのもとから去っていきました。
1986年、チェルノブイリ原発事故が発生。人々は放射能の威力を知ることとなります。しかし、ラジウム論争がある中で、マリは2度目のノーベル賞を受賞します。授賞式に現れたマリに対してはじめは女性たちが、それから続いて会場全体から拍手喝采を浴びました。
1914年、第一次世界大戦開始。マリは娘イレーヌに背中を押され、リップマン教授のもとを訪れると、戦場にレントゲン機器を導入する必要性を訴えました。戦地で負傷した兵士たちは誤った判断で手足を切断されていたのです。資金として2つのノーベル賞のメダルを差し出したマリの情熱は、陸軍大臣を動かしました。
マリはイレーヌと共にレントゲン機器を積んだ車を運転し戦地へ赴きました。その光景はあまりにも悲惨で、大きなショックを受けました。
1934年、年老いたマリはベッドに横たわる戦争や放射能の犠牲者たちの間を歩きながら病院内をさまよう夢を見ていました。その中にはピエールもいます。
夢の中のピエールは言います。「君が世界を変えたんだよ」と。そして、マリに優しくキスをしました。
マリは亡くなり、ピエールの隣に埋葬されました。
研究職に就いたイレーヌは研究仲間のフレデリックと結婚し、人工放射能の発見でノーベル賞を受賞しました。
第一次世界大戦で100万人以上の兵士がレントゲンにより手足の切断を免れるなど、多くの人を助けることができました。
また、マリが発見した放射線治療は効果的なガン治療法へとつながったのでした。
以上、映画「キュリー夫人 天才科学者の愛と情熱」のあらすじと結末でした。
この映画の感想を投稿する