ライ麦畑の反逆児 ひとりぼっちのサリンジャーの紹介:2017年アメリカ映画。J.D.サリンジャー(1919年−2010年)は1951年に発表した「ライ麦畑でつかまえて」が世界的なベストセラーになり日本でも多くの人に読まれています。この作品の発表までには、作品を出版社から拒絶され、戦争で地獄の体験をしたサリンジャーの苦悩がありました。人気作家になってからもサリンジャーは悩み、有名人とは思えない生活を送ります。『ライ麦畑の反逆児 ひとりぼっちのサリンジャー』はサリンジャーの伝記映画で、彼の作品が好きな人、小説家志望の人には、作家になること、小説を書くことの難しさなどがわかり、励みになる映画です。
監督:ダニー・ストロング 出演:ニコラス・ボルト(J.D.サリンジャー)、ゾーイ・ドウィッチ(ウーナ・オニール)、ケヴィン・スペイシー(ウイット・バーネット)、サラ・ポールソン(ドロシー・オールディング)、ほか
映画「ライ麦畑の反逆児」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ライ麦畑の反逆児」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ライ麦畑の反逆児の予告編 動画
映画「ライ麦畑の反逆児」解説
この解説記事には映画「ライ麦畑の反逆児」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ライ麦畑の反逆児のネタバレあらすじ:起・サリンジャーの小説家への夢と不採用
1930年代のニューヨーク、サリンジャー(ニコラス・ホルト)は高校生、小説家になるのが夢です。サリンジャーは恋愛小説を書き、母は気に入ります。サリンジャーは小説家になる夢を父に話しますが食品業界で働く父は反対し、ビジネスの世界へ行くことを勧めます。ところが母は大賛成で名門コロンビア大学へ行くことを勧めます。
数年後、大学中退を繰り返すサリンジャーはコロンビア大学で講義を受けますが、バーネット教授(ケヴィン・スペイシー)の評価はいまいちです。サリンジャーは文芸誌の編集者でもあるバーネット教授と面談してアドバイスを受けます。サリンジャーはニューヨーカー誌に小説を投稿しますが拒絶され、バーネット教授から「拒絶にどう対応するかも小説家の仕事」などと言われます。しかし、サリンジャーはいくら小説を書いても、不採用の通知しか受け取りません。
ライ麦畑の反逆児のネタバレあらすじ:承・短編の初掲載と戦争の訪れ
サリンジャーは小説を書きますが、親は良い感情を持ちません。ある日、バーネットはサリンジャーに最初の小説が自分の文芸誌に発表されたことを知らせます。サリンジャーはお金をもらい、酒で祝い、ウーナ(ゾーイ・ドウィッチ)という美しい女性とダンスします。その後、サリンジャーの作品は発表されず、ウーナとの恋愛もうまく行きません。しかし、サリンジャーはウーナとの恋愛体験をもとに、ホールデンとサリー(「ライ麦畑でつかまえて」の主人公)の短編を書きます。そしてニューヨーカー誌がその短編を発表することが決まります。バーネットはホールデンのキャラクターが気に入り「長編小説を書けば?」とサリンジャーに勧めます。
1941年12月7日、母がニュースを聞いて倒れます。サリジャーは心配しますが、それは日本の真珠湾攻撃を伝えるニュースでした。サリンジャーは陸軍入隊が決まり、家族はお別れパーティを開きます。ウーナと別れのキスをするサリンジャーをバーネットが笑います。バーネットはニューヨーカーの短編は戦争のためタイミングが合わずキャンセルされたことを伝え、ホールデンを主人公とした長編を書けと勧めます。
ライ麦畑の反逆児のネタバレあらすじ:転・戦争からの帰還と戦後の後遺症
陸軍でトレーニングを受けるサリンジャーは死と作品について考えます。当時の大スターのチャップリンと元恋人ウーナの結婚についてニュースを聞きショックを受けるも、サリンジャーはホールデンとサリーの小説を考えます。サリンジャーは1944年6月のアメリカ軍のフランス上陸に参加、ドイツと激しく戦います。サリンジャーは紙もペンもなく文は書けませんが、心の中でホールデンのストーリーを想像します。サリンジャーはバーネットに手紙を書き、自分の生存を知らせます。
1946年、戦争はアメリカの勝利に終わりサリンジャーは自宅に帰ります。サリンジャーは両親に会いますが、シルヴィアという女性を連れてきて結婚したことを伝えます。その後のサリンジャーは、戦争の後遺症に襲われ酒を飲むようになり、離婚を考えるようになります。バーネットの元を訪れるサリンジャーは、小説の話をしますが出版社から拒否されたことを知り、怒り狂い、もう二度と会わないと言います。サリンジャーは町では喧嘩に巻き込まれ怪我をしてしまいます。サリンジャーはたまたま会ったインド系の僧侶の思想に興味をもち、瞑想し悩みを克服しながら執筆を続けます。そんなサリンジャーに出版の話がきます。
ライ麦畑の反逆児の結末:山奥のひとりぼっちのサリンジャー
ニューヨーカーは過去の短編を出版するといい、サリンジャーは大喜びです。お祝いのパーティでサリンジャーはクレアという女性と出会います。サリンジャーは長編小説の準備をするため、瞑想しながら山荘に閉じこもります。サリンジャーは出版社を訪れ、小説「ライ麦畑でつかまえて」を見せます。しかし、出版社サイドの反応は良くなく、書き直しを頼まれますが、サリンジャーは納得いきません。他の出版社は原稿のまま出版と言いますが、サリンジャーは宣伝のポスターのホールデンの絵が気に入らず、自分のやり方を押し通します。
最終的に一部の人に原稿を渡し、反応を見ようということになります。反応はよく、ようやく1951年「ライ麦畑でつかまえて」は出版され、ベストセラーになります。本に顔写真を載せたため、町ではファンに声をかけられます、サリンジャーはそんな生活に嫌気がさし、田舎の山荘で暮らします。追いかけてきたクレアとは結婚し、子供もできます。地元の教会には通い、子どもたちに話をしますが、子供が学校新聞に載せるからという理由でインタビューの依頼に応じます。ところが、インタビューが地元の新聞に掲載されると、怒り狂い、家の周りに壁をつくり、ますます自分の世界に閉じこもります。クレアはそんな生活に嫌気がさします。「ライ麦畑でつかまえて」はハリウッドから映画化の話も来ますがサリンジャーは拒絶、もう小説は書かないと言います。
映画の最後、字幕でサリンジャーはクレアと離婚したこと、「ライ麦畑でつかまえて」は20世紀の最も重要な小説の一つで今でも多くの人に読まれていること、サリンジャーは2010年に亡くなったことが流れます。
以上『ライ麦畑の反逆児 ひとりぼっちのサリンジャー』のあらすじと結末でした。
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