ROMA/ローマの紹介:2018年メキシコ映画。Netflix製作のオリジナル映画。ゼロ・グラビティの監督でメキシコ出身のアルフォンソ・キュアロン監督が、幼少時代にお世話になった家政婦に捧げた作品です。家政婦のクレオが揺れ動くメキシコで、女性らしい強さで生きていく姿を映し、第91回アカデミー賞、作品賞を含む10部門にノミネートされた超話題作です。2018年のヴェネチア国際映画祭最高賞の金獅子賞を受賞しました。
監督:アルフォンソ・キュアロン 出演:ヤリッツァ・アパリシオ(クレア)、マリーナ・テ・ダビラ(ソフィ)、ジョージ・アントニオ・ゲレーロ(フェルミン)、ベロニカ・ガルシア(テレサ)、ほか
映画「ROMA/ローマ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ROMA/ローマ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ROMA/ローマの予告編 動画
映画「ROMA/ローマ」解説
この解説記事には映画「ROMA/ローマ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ROMA/ローマのネタバレあらすじ:起
舞台は1970年代メキシコ。クレオは白人のソフィ夫婦と祖母のテレサが住む家で家政婦をしています。旦那のアントニオは医者です。クレオはソフィ夫婦の子供たち4人に好かれていて、充実した日々を過ごしていました。
ある日の休日、友達と一緒に4人で映画を見に行く予定でした。しかし、男友達のフェルミンは散歩に行きたいとクレオに提案します。他の友達と別れて、二人はフェルミンの家で過ごします。そのときにフェルミンは武術を披露してくれました。フェルミンは武術に人生を助けられてと言います。母が死んでから不良仲間とつるむようになり、酒を飲んで、シンナーを吸う日々を続け死にかけます。そんなときに武術と出会い、フェルミンは改心しました。
ソフィの旦那アントニオは足早に多くの荷物を持って出かけます。仕事でしばらく帰れないといい、ソフィに見送られながら行ってしまいます。ソフィは嫌な予感が止まりませんでした。そのあてつけかのように、ホールに落ちている犬の糞を片付けるようにソフィはクレオに怒ります。
ROMA/ローマのネタバレあらすじ:承
クレオはしばらく生理がこないことによって妊娠が発覚します。映画デートのときにフェルミンに妊娠したと不安そうに告げます。クレオは拒否されるかと心配していましたが、フェルミンは「それはいいことじゃない?」と言ってくれました。安堵したクレオでしたが、フェルミンは上着を置いてトイレに行くと言ったきり戻ってきませんでした。クレオは申し訳なさそうに、ソフィに妊娠していることを告げ、「クビですか?」と涙なからに聞くと、「そんなことないよ。」と言って、ソフィは優しく抱きしめてくれました。ソフィとクレオは一緒に病院へ行きます。
クレオのお腹の赤ちゃんは順調に育っているとのことでした。ソフィは病院の知り合いに、夫が子どもにさえ電話をくれないと愚痴っていました。まだ話し足りないのか、クレオに新生児を見てくるように伝えます。クレオは新生児を見ながら微笑みます。その時に地震が起こりました。新生児はケースの中にいたので、瓦礫から守られていました。
クリスマスの頃になってもアントニオは帰ってくる様子を見せなかったので、ソフィは家族と一緒に知り合いの家で年末を過ごします。昼間は銃を撃ちまくり、夜はパーティー三昧でした。パーティー中のある夜に森で火事が起こります。大人も子どもも一緒になって火を消しますが、酒を飲みながら呑気に見物をしている大人もいました。
知り合いの家から帰ってきて、ソフィの子どもと友達は映画を見に行くことになりました。クレオも付き添いました。すると町でアントニオと知らない女がはしゃいでいるところを目撃してしまいます。友達に「おれお前のお父さんじゃない?」と指摘されても、ソフィの子どもは違うと言い張りました。それをクレオは心配そうに見つめていました。
ROMA/ローマのネタバレあらすじ:転
クレオは上着を返しにきたという口実でフェルミンを訪ねに行きました。フェルミンは武術の練習中でした。その練習が終わってから、クレオは改めてフェルミンに妊娠していることを告げると、「冗談じゃない。二度と会いに来るな!」と言われてしまいます。そして「召使が」と吐き捨ててクレオの元を走り去っていきました。
「アントニオは愛人とアカプルコに行ってしまった。6ヶ月経つけど一銭も仕送りをしてくれない。」と泣きじゃくる電話中のソフィ。子どもがそれを盗み聞きしてしまいます。それに怒ったソフィは思わず子どもを叩いてしまいます。すぐに謝りましたが、今度は盗み聞きを止めなかったクレオを怒鳴ります。
学生デモが起こっている中、クレオとテレサはベビーベッドを買いに行きます。家具屋にいる間に学生デモはヒートアップし銃撃戦になります。クレオたちがいた家具屋でも銃撃戦になり、打たれてしまった人もいました。クレオたちに銃を向けたのはフェルミンでした。フェルミンが去るとクレオは破水をします。デモによって病院は混乱中です。クレオの状態は良くなく、すぐに奥に運ばれていきます。看護師がクレオの情報をテレサに聞きますが、テレサは「知らない。」と言うことしかできませんでした。苦しむクレオのお腹に聴診器を当てても、赤ちゃんの反応ありません。なんとかクレオから赤ちゃんが出てきましたが、赤ちゃんはうんともすんとも言いません。心臓マッサージを繰り返すも、息をしてくれることはありませんでした。死産でした。息を引き取った赤ちゃんを抱っこしながら、クレオの涙は止まりませんでした。
ROMA/ローマの結末
ソフィは新しい車を買ってきて、今まで使っていた車ギャラクシーを売ろうとしていました。その前にギャラクシーに乗って家族旅行をしようとソフィは提案します。クレオは気分ではありませんでしたが、「気晴らしになるよ。」という周りの後押しで渋々行くことにします。その旅行先の夕食でソフィは子どもたちに、パパは帰ってこないと告げます。困惑する子どもたちでしたが、ソフィは「この変化は冒険の始まり。みんなで一緒に支えあっていこう。」と明るく子どもたちに話しかけます。
旅行最終日に子どもたちが海で泳いでいると、波にのまれてしまいます。クレオは泳げませんでしたが助けに行き、子どもたちは無事でした。浜辺に戻ったクレオは急に泣き出し、「本当は子どもに生まれてきてほしくなかった。」と言います。ソフィは「みんなクレオのことが大好きよ。」と言って、子どもたちと一緒にクレオを抱きしめます。
家に戻ってきて、旅行の話で盛り上がる中、クレオは旅行の片付けを始めます。ソフィと子どもたちはクレオを家政婦としてではなく、家族の一員のように接しています。これから新しい家族としての生活が始まることを予感させて、この映画の幕は閉じます。
以上、映画「ROMA/ローマ」のあらすじと結末でした。
舞台は1970年頃のメキシコシティのコロニア・ローマというところだそうで、題名のローマはそこから来ている。
しかし、それにしてもどうしてROMAという題名をつけたのだろう、何か違和感がある、と思ってある記事を読んでいたら、面白いことに気付かされた。
ROMAは、逆から読むとAMORで、スペイン語で、“愛”という意味である。
物語を深く読めば、作り手の意図するところが、案外愛に引っかかってくるのかもしれない。
主人公はクレオという名の若い住み込みの家政婦の娘で、雇い主のアントニオ、その妻のソフィアと4人の子供、そしてソフィアの母と、クレオと同年代のもう1人の家政婦アデラと共に暮らしている。
家政婦といっても、まるで家族のように大事にされていて、ボーイフレンドと寝て、妊娠しても勿論お暇を出されるわけでもなく、むしろソフィアが病院に連れて行ってくれたり、ベビーベッドを買ってもらうためにソフィアの母が家具店に連れて行ってくれたりする。
しかし子供は死産だったが、その出産シーンのリアリティは、これは本当に妊娠して本当に死産だったのではないかとしか思えない。
実に真に迫っている。
それゆえ心に傷を負ったクレオが、たまたま海で溺れそうになった2人の子供を助けることになる場面も、これは本当に溺れているのではないか、どうやって撮影したのだろうと思わせる迫力があり、圧巻である。
でも、それよりも何よりも、1番特筆すべきはモノクロの、明晰で繊細な、実に見事な映像美だろう。
私は最近DVDなどを借りて見て、これは確かにひと味違う、ご紹介する価値があると思った作品のみを取り上げているのだが、この「ローマ」は、ネットフリックスで、その映像に一目惚れして観ることにした作品なのだ。
ご覧になっていただければ、その映像が並大抵のレベルでないことは、すぐにご理解いただけると思う。
これは確かにある新しさを持った映画だと思う。
物語というより、その語り口と映像についてである。
ベネチア国際映画祭金獅子賞、アカデミー賞外国語映画賞、及び監督賞、撮影賞受賞。